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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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弟の悩み

「うわぁ~。すっごく早いよ! やっぱりこっちの方が楽ちんだね」


「ほんとだね。魔法を使わなくてもここまで速く移動できるなんてすごいよ。僕の魔力を使わなくてもいいなんて、楽だな……」


 私とライトはレクーに引かれながら移動した。自分たちは何もせず座っているだけで目的地に到着するのだから、自動運転みたいなものだ。


 レクーの引く荷台は街に続く道を走る。


「僕は街に行くの久しぶりだな~。どんな感じになっているんだろう」


 ライトは脚を組んで後頭部に手の平を当てながら空を見ていた。


「いや、どんな感じというか、七日前に巨大なブラックベアーが街を破壊していったんだよ」


「この前もその話を聞いたけど、本当なの? 建物より大きなブラックベアーが暴れたって言う嘘みたいな話」


 ライトは目を細めて私の方を見てくる。


「本当だよ。私は無駄な嘘をつかない。ちゃんと見てきた真実だから信憑性は高い情報だよ」


「まぁ、姉さんがそう言うならそうなんだろうね。じゃあ、今頃は街に住んでいる人が復興でもしているのかな?」


「多分ね。ライトの力も貸して欲しいと思って今日、連れてきたんだよ」


「なるほど。村での仕事をしない分、街で精一杯の仕事を行えばいいんだね」


「そうだよ。手伝ってくれる?」


「もちろん。僕にできる仕事なら、できうる限り全うするよ」


「頼もしい。ライトがいれば復興も、凄く楽になると思う」


「そうだといいな……」


 ライトはまたもや空を見上げ、少し上の空になった。


「どうして、そんな顔をするの? ライトなら絶対に大丈夫だよ」


「僕が出来る仕事なんて姉さんの下位互換に過ぎないよ。僕は全部自分でしないといけないから頭を使わないといけないし、使うと必ずどこか失敗する。本当に毎回毎回失敗しないようにって言い聞かせているんだけど、結局意味ないんだ。仕事終わったあと、どこか失敗してしまっているんだよ。もう、嫌になるよね……」


 ライトは苦笑いしながら失敗を告発する。


「ライト、今さら失敗することに怖がってるの? いつも、失敗を恐れずに新しい魔法を開発しようとしてたでしょ。私は、ライトが失敗に強いと思ってたけど、そうじゃなかったの?」


「僕は失敗が怖くて仕方ないよ。失敗しないために沢山の本や話、使い方などを見て聞いて実行してきた。勉強をして魔法を考えて失敗して初めに戻る。これの繰り返し。普段で失敗したくないから部屋の中に作りかけの魔法陣が沢山あるんだよ」


「なるほどね……。ライトが失敗を恐れていたなんて初めて知ったよ。でも、失敗が出来る子供のうちにたくさん失敗したらいいと思う。大人になったら失敗なんて出来ないからね。子供が失敗しても仕方ないなとなるだけ。大人が失敗すると非難を食らう。恐怖を乗り越えて行けた人だけが自分の目標を手に入れられるんだよ」


 私は落ち込むライトの頭を撫でる。


「姉さん……」


「だからさ。ライトにはたくさん失敗してほしいな。全部完璧にしようとしなくてもいいから、失敗してもいいやって気持ちで動いてみなよ。もちろん、人の命を預かるような危険な仕事中は絶対に失敗出来ないけど、しょせんライトも人だから結果がどうなるか分からない。でも、失敗を恐れていたら成長は絶対にあり得ないよ。ライトはたくさん失敗して同じくらい成功を手に入れてほしい」


「姉さんは失敗が怖くないの?」


「私? 私はね、失敗を楽しむようにしているんだよ。失敗の中でしか学べない経験だってある。失敗したらどこがダメだったのか見直して全ての失敗の原因を潰せば、結果として大きく成長する。だから、失敗は成功のために必ず大切なんだよ」


「姉さん……。本当に姉さんは僕の欲しい答えを言ってくれるね。すっごくありがたいよ。姉さんありがとう、大好き」


「はは、私も大好きだよ」


 ライトは私に抱き着いてきた。最近ではあまりなかった姉弟の心の共有(スキンシップ)は成功したみたいだ。


――ライトはまだ八歳なのにもう、失敗が怖いとか考えてたんだ。心が成熟するの早すぎるんじゃないかな。子供の頃は失敗なんて関係なしに突っ走るものだと思ってたんだけど。まぁ、賢いがゆえにそう言った感情もふつふつと沸いてしまうのか。でも、恐怖心をこじらせる前に解消できてよかったかな。


 この時、私はライトの才能に拍車をかけていることをまだ知らない。


「僕、姉さんの悩みを聞きたくなったよ。僕に解消できる悩みなら解決してあげる」


「え? えっと……。そんな悩みないかな……」


――メリーさんみたいな大きな胸が欲しいなんて欲望丸出しの回答は出来ない。これほどまで純粋無垢な瞳で見られると自分の心の廃れ具合をはっきりと分からされてしまう。どうしようかな……。


「そうか。姉さんには悩みもないんだ。凄いな……」


 ライトは俯き、しょげてしまった。


「じゃあ、ライトに聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいい?」


「うん。いいよ。答えられることならなんでも」


「デイジーちゃんとどんな感じ?」


「えっ!」


 私はネ―ド村に住んでいる少女、デイジーちゃんとライトの進展を知りたかった。もう、私の楽しみの一つに人の色恋阿多が入っている。妹弟が成長していくたびに経験のない私が話を聞くのだ。これがとても楽しい。


「えっと……そのぉ。デイジーさんは僕を男って言う風に見ている訳じゃなくて……とっても仲がいい友達みたい。直接聞いたわけじゃないから分からないけど、多分そんな感じ……」


「へぇー。やっぱりライトはデイジーちゃんが気になるんだね。可愛いよね、デイジーちゃん。素直でいい子だし、頑張り屋だし、健気だし、いいところしかないよ」


「うん。でも、一緒にいるとデイジーさんの悪いところも分かるんだ」


「え、デイジーちゃんにも悪いところがあるの? どんなところが悪いの?」


「その……。暑い日の夜は薄着で寝たり、男勝りだったり、どこかシャインに似てると言うか」


「あぁ……。何となく分かるかも。デイジーちゃんは体を動かすのが好きそうだし、体力は男の大人より多いって言ってた。そりゃあ、シャインに似てても仕方ないよ。で、悪いところを知ってライトはどんな心境なの?」


「別にいつもと変わらなかったよ。デイジーさんのことをもっと知りたいって思った」


「いいな~いいな~、そういうの~。私もドキドキできる相手が欲しいな~」


「姉さんが気になっているのはアイクさんじゃないの?」


 アイクは私が六歳のころ、村に引っ越してきた私の幼馴染で、聖典式の際、剣聖のスキルを貰い、ルークス王国の王都へと連れていかれた少年だ。


「え? いやー、アイクに対してそんな感情は全くのゼロだよ」


「え……。だってすごく仲良かったじゃん。いつも一緒に鍛錬してたし、姉さんはアイクさんのことを気にしているのかと思ってたよ」


「あの時はアイクくらいしか私と話の合う人がいなかったんだよ。確かにアイクと話してたら楽しかったけど、私には子供すぎるんだよなぁ」


 私にショタコンの性癖は全く以て無しなのでアイクは範疇外だ。


「子供すぎるって……。アイクさんは姉さんと同い年でしょ。同年代に子供っぽいって、姉さんはどれだけ大人なんだよ。じゃあ、逆にどれくらいが子供っぽくないの?」


「んー。二○歳くらい?」


「姉さんって、年上の人が好みなんだ……。結構意外……というか、ニ○歳だったら姉さんと一〇歳も違うよ。そんな相手でいいの?」


 ライトは私を心配しているのか質問攻めをしてくる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
20歳ってフロックさんピンポイントで言ってるだろw フロックくらいの外見と精神年齢だったら15歳前後でも問題なさそうじゃないか? それに自分が成人する頃にはアイクも余裕で対象内に入ってくる気がする。
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