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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~
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休みなのに二度寝をしない

 次の日。


『チュンチュン、チュンチュン』


「ん……。ふぁあ~~。もぅ、朝か……。って、ここはどこだ……」


 私は目を覚ました。自宅のベッドの上ではなく、硬い床に大きな布やシーツを引いただけの場所で眠っていた。


 子供達も私と同じように地べたで寝ている。


「こんな状態で皆、寝ていたのか……。雑魚寝にもほどがあるでしょ……」


 私は辺りを見渡す。


「う、うぅ……。お姉ちゃん、苦しいよぉ……」


「カイト君、ぎゅ~ってしてあげるねぇ……」


「うぐぅ……」


 カイト君はメリーさんの大きなおっぱいに顔を挟まれながら抱き着かれている。どうやらメーさんはノーブラらしい……。


 メリーさんは寝ぼけているのか、カイト君を抱き枕の代わりにしていた。


「あのままだとカイト君窒息しちゃうよ。放してあげないと」


 私は立ちあがり、カイト君とメリーさんを少しだけ放したあと、カイト君の向きを入れ替えてメリーさんにもう一度抱き着かせる。


「これで、カイト君は窒息せずに済むね」


 メリーさんの大きな双丘はカイト君の頭を挟み、存在を主張していた。


「こう見るとほんと……。羨ましい……」


 私はメリーさんの大きな大きな脂肪を見続けていたら負の感情が生まれてしまうと気づき、見るのを止める。


 他の場所を見るとセチアさんが子供達に膝枕をしながら壁にもたれかかるようにして眠っていた。


「セチアさん、あんな格好で寝てたんだ。あれじゃあ、疲れが取れなそうだよな。そもそも、こんな固い床で寝てたら疲れなんてとれるわけないか」


「うぅ……。ラルフ……。私、もっと頑張るよ……心配しないで……」


「セチアさん……」


 セチアさんは目尻から一筋の涙を流しながら眠っていた。どうやら心の傷はまだ癒えてないらしい。


――回復魔法が得意なメルさんでもラルフさんを完全には治せないって言ってた。本当にラルフさん自身の力に掛かってる。ラルフさん、頑張って目を覚ましてください。あなたを思う、大切な人が今も涙を流して待っているんです。このまま目を覚まさなかったら、感覚がどんどんずれちゃいますよ。


 私は心の中でラルフさんを鼓舞した。こんなことをしても、ラルフさんが目を覚ますはずないのだが、やらずにはいられなかった。セチアさんが健気すぎて可哀そうだったのだ……。


 私はセチアさんを見ていられず、違う方を向いた。


「シャインさん……」


「ガンマ君……」


「パパ……、ママ……」


 シャインとライトがテリアちゃんを挟むようにして眠っていた。


――なになに~。昨日の夜に絶対面白いことがあったじゃん。見そびれた……。残念過ぎる。


 三人の寝言からして、おままごとでもしていたのではないかと想像し、私は寝ぼけていた頭が冴える。


――ガンマ君がお父さんでシャインがお母さん、テリアちゃんは子供かな~。もう、家族構成を考えてるの~。いいな~いいな~。私も犬役でいいから混ざりたいな~。へへへ~ってね。


「キララ様。考えが少し下品ですよ。それと、もう時間ですから仕事に行きましょう」


 ベスパは眼をこすりながら私の頭上を飛ぶ。


――下品とは失礼な。ちょっとした楽しい未来を想像をしていただけなのに……。


「その時点で、少々下品だと思いませんか?」


――別に~。だって、楽しい未来を想像してたんだよ。暗い先を考えるのは辛いから嫌なの。明るくて楽しい未来が私を待っているんだよ~。きっとね~。


「キララ様。朝から気分が上々ですね。そんなに楽しいんですか?」


――昨日よりも体調がいいからさ。気分も上がるよ。やっぱり大切なのはお金よりも健康だね~。今なら何でもできる気がするよ。私の体調が戻ったということは手伝ってくれた虫たちに魔力を配り終えたってことでいいのかな?


「はい。昨日、魔力を配り続けていたのですが昨晩まで掛かってしまいました。それだけ多くの虫が手伝ってくれたわけですから、感謝しないといけません」


――そうだよね。助けてもらったらお返しをするのが当たり前だよ。さてと今日の仕事も頑張りますか~! 時間があればバターを作るぞ!


「はい、しっかりお供します!」


 今日、私は多くの仕事をこなし、家の帰って来た頃には抜け殻のようになってしまったため、バター作りは持ち越しとなった。


 その後、私達は仕事に明け暮れ、休みの日まで働きっぱなしの毎日を過ごした。


 事件が発生してから六日後である七月一三日。天気、晴。私の愛する休日がやってきた。


 ☆☆☆☆


「ん~~っぐあぁ~。先週は寝て過ごしたからな……。今日こそは良い休日にせねば……」


 私は大きく寝がえりをうち、ベッドの上で仰向けになる。


 外は暗いままなので午前五時にもなっていない時間らしい。


「もう少し寝ようかな……。って、ダメダメ。この前もそう言って気づいたら一日が終わっていただから、もう、二度寝はしない。起きて体を動かしてこよう」


 私はベッドから飛び起きて寝間着を脱ぎ捨てたあと、いつものボロボロのオーバーオールと長袖の服を着る。


「ベスパ、起きてる?」


「ふわぁ~~。起きてます……ムニャムニャ」


 ベスパは円柱状の木の丸太の中でメークルの毛を丸めて枕にした物を抱えながら眠っていた。


「どう見ても寝てるよね」


「起きてま~す……スピ~」


 私はベスパに人差し指を向ける。


「お、起きます!」


 ベスパは両手を上げて木の穴から飛び出してきた。


「よろしい。では私達は散歩に向う」


「散歩ならキララ様一人で……」


 眠たいのか、眼を擦るベスパに向って私は指を向ける。


「お、お供します」


 ベスパはシャキッと背筋を正し、私達は家の外に向った。


 外はまだ薄暗く、星がギリギリみせている時間帯。あと一時間もすれば日が出て明るくなってくる。


「キララ様は散歩なんていう趣味がありましたか?」


「眠気冷ましに歩こうと思っただけだよ」


 私は村の中を散歩した。


 散歩をしているのは私だけではない。村のお年寄りは大抵、朝っぱらから起きている。


 お年寄りの朝が早いのは地球と同じだ。


 私は朝の挨拶を行い、印象を良くしておく。


 挨拶周りみたいで作業のようだったが眠たいので了承してほしい。


 私達が向かったのは教会だった。


 教会は朝昼夜関係なく開いている。理由は村の治安がいいのと、教会から盗まれる物が何もないからだと神父様は言っていた。


 私は薄暗い建物の中に入り、長椅子に座ってステンドグラスから日の光が差し込んでくるのを待った。


「あれ、キララちゃんじゃないですか。今日は早いですね。お仕事がお休みなのですか?」


 神父様が教会の一室から出てきた。


 短い髪を整え、小さな眼鏡が鼻に乗っている。いつもながら質素なのにも拘わらず、神々しく見えてしまう白いローブを身に纏っていた。


「あ、神父様。おはようございます。いや~、二度寝しそうになったので歩いてここまで来ました。七日前は二度寝して一日潰しちゃったんですよ。あはは……」


「おはようございます。二度寝しそうになるというのはそれだけお疲れなのですよ。別に二度寝してもいいではありませんか。お休みなら」


「い、いや~、お休みだからって一日中ベッドの上でごろごろしていられませんよ。でも、神父様はお休みなく働いているんですよね。尊敬します」


「私は神の遣いであって仕事とは違いますよ。なのでお休みという概念はありません。言うなれば常に休みのようであり、仕事をしている。そう言った職なのです」


「はぁ……。よく分からない。でも、教会の鐘があるおかげで時間が把握できているのでいつも鳴らしてくれてありがとうございます」


「あれも、神にこの場に我々がいると知らせる合図ですから。お礼を言われる筋合いはありませんよ。して、キララちゃんはなぜ教会に来たのですか?」


「今日は聖典式のことについて聞いておきたくて、やってきました」


「聖典式……。それがどうかしたんですか?」


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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