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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~
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天使にお泊りを誘われた

『ゴーン、ゴーン、ゴーン』


「あ、もう午後五時になったんだ。早いな……。いつの間にそんな時間経っていたんだろうか」


「本当ですね。実験に夢中になりすぎて時間の流れを忘れていました。四○○グラムの粉ミルクが入っている小さい容器が八個も作れています。つまり、粉ミルクは三二○○グラム、生クリームは五○○グラムが八回ですから四○○○グラムも作れたみたいですね」


「じゃあ、私達は生乳を四○リットルくらい使った計算になる。街で売ったら金貨二○枚分……。私達はソウルよりも価値の高い物を使っていたのか……」


「でも、キララ様。凄い楽しそうでしたよ」


「そりゃあもう楽しかったよ。私の未来に必要な物が作れたんだから楽しかったに決まってるでしょ」


「キララ様はパティシエという者になりたいんでしたっけ?」


「そうだよ。菓子職人といってもいいけど、私もショウさんみたいなお菓子を沢山作りたいの。いろんな人に食べてもらって美味しいと言ってもらいたいんだ。だから、私の作った食材たちは絶対に必要なんだよ」


「キララ様は無駄に作り続けていたわけではなかったんですね」


「当たり前でしょ。私は自分と皆の未来を考えて作ってたの。まぁ、途中からは楽しくなっちゃったから、夢とか普通に忘れてたけど」


「キララ様なら、どんな困難も乗り越えて夢に向かっていきそうですね。私はとても楽しみです。キララ様の将来がどうなるのか、私のこの目で確かめないと気が済みませんよ」


 ベスパは眼を見開いて私を見てきた。


「ちょっと、怖いからあんまり近づかないで」


「おっと、すみません」


 ベスパは後ろに下がる。


「夕食の準備をそろそろしないと間に合わなくなっちゃうから、子供達のもとに向うよ。ここにあるものは冷倉庫に全部持って行ってくれる」


「了解です」


 ベスパは粉ミルクが四○○グラム入った容器を八個持ち、冷倉庫の方に飛んで行った。


「さてと、私も牧場に行きますか」


 私は子供達の食事を用意するために牧場に向った。


 牧場に向っている最中にベスパと合流する。そのまま共に行動して少し歩いていると、奥の方から黒いローブを着た少年が走ってきた。


「どうしたの、ライト、そんなに慌てて」


「姉さん。今日の仕事は全部終わったよ。子供達も皆返っていく途中さ。明日は僕の休みでしょ。だからこのままネ―ド村に行ってデイジーさんの家に行ってくる。今日はネ―ド村に泊まってくるから、母さんと父さんに言っておいて!」


 ライトは私の隣を凄い速さで走り去っていった。


「ライト! デイジーちゃんの着替えている姿は覗いたらダメだよ~!」


「どわっ!」


 ライトは私の声を聴いてずっこける。


「そ、そんなことしないよ!」


「どうだかな~」


 ライトは体をすぐさま起こして家の方まで走って行った。


「ライトはどう考えてもデイジーちゃんが好きだよね~。むふふ~。私が覗きに行っちゃおっかな~」


「キララ様。明日はお仕事がありますから無理ですよ」


「知ってるよ。ちょっと言ってみただけ。はぁ~、お泊りか~。いいな~、私もお泊りしてみたいな~」


 私がぼやいていると、後ろから誰かが抱き着いてくる。


「なら、私達のお家に来てください。キララさんなら大歓迎です!」


「て、天使……」


 私は視線を後ろに向けると左脇から、顔をひょこっと出す美少女の姿……。


 私の背中に抱き着いてきたのは、まごうことなき天使だった。


「テリアさんですよ。キララ様」


 ベスパは冷静に私の感想に指摘する。


――わ、分かってるよ。


「テリアちゃん。どうしたの?」


「キララさんがお泊りしたいって言っていたのが聞こえたので、私達の住んでいるお家に泊まりにきたらどうかと思ったんです。キララさんが来たらきっと夜も楽しいですし、いっぱいお話聞きたいです!」


 テリアちゃんは私にぎゅっとしがみ付き、その愛くるしい笑顔を目一杯見せてくる。


――か、かわええ……。だが、あの家にはあまりにも多くの子供達がいる。疲れている私があの中に飛び込んでいったらいったいどうなるのか、眼に見えているんよな……。


「えへへ~。キララさんとのお泊り~。楽しみだな~」


 テリアちゃんは私とすでにお泊りをする予定らしい。満面の笑みを全く崩さない。


 もう、一分以上満面の笑みを保ち続けていた。


――凄い。私でも一〇○パーセントの笑顔を一分保つのは難しいのに、やっぱりこの子……アイドルの才能があるよ。


 私はこの世界でどうでもいい才能を見つけ、元アイドルだった自分とテリアちゃんを比べる。


「キララさん。お家に早く行きましょうよ。皆も直に帰ってきますから」


 テリアちゃんは私の左腕を掴み、ぐいぐいと引っ張る。


「わ、わわ……。テリアちゃん、引っ張らないで」


――ベスパ、子供達と私の食事を用意して家まで持ってきて。


「了解しました」


 ベスパは牧場の方に飛んで行き、私はテリアちゃんに引っ張られながら走り、連れ込まれるようにして大きな家に入る。


 玄関に入ると、砂埃や虫の死骸などが亡くなっていた。


「あれ、すごく綺麗になってる……。いつの間に掃除したの?」


「毎日少しずつ掃除しているんですよ。同居人がいっぱいいるのでゴミも溜まりやすいんですけど、掃除も分担してやってます」


「へぇ……。もう、皆は仲良しになったんだね」


「はい! 私、友達がたっくさん出来ました。街にいたころはお兄ちゃんしか話す人がいなかったのに、この村に来てから毎日いろんな友達とお話ししてとっても楽しいんです!」


 テリアちゃんは未だに満面の笑みを崩さず私に見せている。もう、天性の笑顔としか言いようがない。


「そうなんだ。よかった。そう思ってもらえて私も嬉しいいよ」


「じゃあ、キララさん。私は服を着替えてくるので居間でちょっと待っていてください」


「分かった。手洗いとうがいも、ちゃんとしないと風邪をひいちゃうからね」


「は~い、分かってます」


 テリアちゃんは汚れた作業着を脱ぎ、薄手の可愛らしい内着を私にさらしながら家の中を走る。


「はぁ~、愛らしいにもほどがある。シャインにもあんな時があったな~」


「え? 何、お姉ちゃん。私がどうかしたの?」


「どわっ!」


 私は家の通路を歩いて居間に向っていたら、居間ですでにくつろいでいるシャインの姿があった。シャインは椅子に座り、何かを見ていた。


「しゃ、シャイン。い、いつの間に……」


「いつの間にというか、初めから家の中にいたよ」


「そうなんだ。気づかなかった。でも、何で家にいるの?」


「何でって、言われても……。あれ」


 シャインはある一方向に手に持っている木剣を向ける。


「グぬぬ……」


「が、ガンマ君」


 私の視線の先でガンマ君が空気椅子をしていた。膝の上に大きな重しを乗せ、壁に背中を着けている。ガンマ君は歯を食いしばり、両手も握り締めて全身がプルプルと震えている。


「ガンマ君が家の中でもできる鍛錬を教えてほしいって言うから、こうやって教えてあげの。実戦でね」


「ちょ、ちょっと飛躍しすぎなんじゃないかな……。さすがに辛そうだよ」


「だ、大丈夫です。キララさん。僕、これくらいなら耐えて見せます……」


「で、でも……。太ももがパンパンに膨れてるよ……」


「大丈夫だよ、お姉ちゃん。これくらいやって、筋肉がやっとずたぼろになるんだから。いっぱい筋肉を使ってボロボロになると太く大きくなるんだよ。だから、もうちょっと行けるよね。ガンマ君」


 シャインは足下に置いてあった、高さ一〇センチ、横三○センチ奥行き一五センチほどある石の(ブロック)をガンマ君の膝に乗せた。元から三個のブロックが乗っていたので四個になる。


「は~い、ドンドン~」


「ぐぁうう!」


 シャインのえげつなくかわいい笑顔でとんでもなく厳しい鍛錬を行うさまは狂気すら覚えてしまう。いったいどこでこんな性格になってしまったんだろうか……。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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