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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~
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アイドル神と天使

「お~よしよし、ズミちゃん。今日の土の調子はどんな感じ?」


「とてもいい感じですよ。空気が入ってふわふわとしてきました。あと七日もすれば作物を育てるのに最適な土になるはずです」


「そう、良かった。じゃあ、今日も餌を持ってきたから好きなだけ食べてね」


「わーい、ありがとうございます。いっぱい食べて、土をいっぱい耕しますね~」


「ほどほどにね……」


 私は村人たちが飲んだ牛乳パックと瓶のゴミをビー達に運ばせてズミちゃんのいる畑に持って来てもらう。


 私達の使っている牛乳パックと瓶は全て自然から作った天然素材一〇○パーセントなので、道端に捨てたり山に埋めたりしても問題ないのだが、村人の中には火起こしの際の着火剤として使う家庭もあるみたいで、ゴミになったあとも凄い利用価値がある。


 でもたまに、道端に落ちている場合もあるので村を偵察しているビー達が拾い集め、ズミちゃんの畑に持ってくるようにした。


 つまりズミちゃんの畑はゴミ処理所と一緒と言うわけだ。


 ゴミ処理所で作物を作ると言うと凄く印象が悪いのだが、全く汚くない。逆にとても綺麗だ。


 なんせ、ゴミはズミちゃんが全て食べてくれるし、排出される糞によって畑に栄養が与えられる。村は綺麗になり、畑は良い土で潤っていく。これほど、悪い点がないのも逆にすごい。


 私達が牛乳をどれだけ売ったとしても、この世界に悪影響を全く及ぼしていないのだ。まぁ、モークルのゲップは大目に見てほしい……。


「さてと、ビーンズを植えるところはどこら辺にしようかな~。トゥーベルも植えないといけないから、少し離れた位置の方がいいよな。まぁ、埋める時に考えよ」


 私はふかふかの土を踏みしめながらこの場が緑でいっぱいになり、たくさんの作物が育つのを想像してとても楽しくなっていた。


「キララ様、すごく楽しそうですね」


 ベスパは私の頭上を飛び、笑顔になっている。


「うん。楽しいよ。あれだけの事件があったあとだから、普通の生活をおくれて幸せを凄く感じてる気がするの」


「確かに、昨日は何度も死にかけましたからね。でも、仕事をして楽しくなるなんて変わっていますね」


「私は仕事をしているというより、したいことがあるから仕事を頑張れると言うか、夢に頑張って努力している時間が楽しいと言うか、まぁ、夢が現実になった時を想像すると楽しくなってくるんだよ」


「なるほど。そういう理屈があったんですね」


「ベスパは仕事をするのが好きでしょ」


「私はキララ様に使われるのが好きなんですよ。なんせ社畜の称号を持っていますからね」


 ベスパは胸をぐっと張る。


「はは……。そうなんだ。でもまぁ、いいか。仕事を助けてもらっている私は凄くありがたいし」


 私は裸足になって土の中を走っていた。


 ズミちゃんが言うには危険な物が一切無いので裸足で踏みつけても安全らしい。


 足裏に感じる柔らかい土は少しひんやりとしているため、凄く心地よかった。


 このまま寝ころんで土のベッドで昼寝でもしようと思ったがさすがに服が汚れすぎる思い、踏みとどまった。


 私が走り疲れたころ……。


『ゴーン、ゴーン、ゴーン』


「あ、教会の鐘が鳴った。もう正午か。皆にお昼休憩を取ってもらわないとな」


 私は畑から出て足裏の土を簡単に払い、ボロボロの靴下を履く。


 靴に足を入れ、つま先を地面にコンコンと叩きながら履いた。


「じゃあ、ズミちゃん。私達は行くね」


「はい。お仕事、頑張ってください」


 ズミちゃんは頭を横に振って手を振ったようにしている。その姿はあまりにもシュールだがとても可愛らしい。


 私は牧場の広場に駆け足で向っていた。


「ベスパ、昼食の準備はしてある?」


「はい。すでに配り始めていますよ」


「そう。さすが早いね。じゃあ、私はここまで急ぐ必要ないのか」


 私は駆け足から、ゆっくり歩いて行くことにした。


 私達が広間に到着したころには皆、昼食を得ていた。


 私もベスパから昼食を貰い、木陰に座って食べる。


 私のすぐ近くには兄妹揃って昼食を楽しんでいるガンマ君とテリアちゃんの姿があった。


「お兄ちゃん、あ~ん」


 テリアちゃんはガンマ君に黒パンを食べさせていた。


「あ~ん。うん、美味しい。ありがとう、テリア。やっぱりテリアは天使みたいに可愛いな~」


 ガンマ君は黒パンを美味しそうに頬張ったあと、テリアちゃんにぎゅっと抱き着いて頭を撫でている。


「もう、お兄ちゃんやめてよ~、くすぐったいって」


――ガンマ君……シスコン度合いが増してきたのかな。まぁ、少し前まで危ない環境下だったわけだし、危険が無くなってどこでもイチャイチャできるようになっちゃったのか。兄妹が仲睦まじいのはいいけど、少し度が過ぎる気もする。テリアちゃんに『ガンマ君にあんまり甘えるとダメな男になるから、止めた方がいいよ』なんて言えないしな……。


 私はウンウンと唸りながらシスコンを治す方法を模索していた。そんな時……。


「ねえ、ガンマ君。私も座っていいかな?」


「え、シャインさん。はい、どうぞ、どうぞ」


 ガンマ君とテリアちゃんがいちゃついている中に、午前中の仕事を終えたシャインが空気を読まずに入っていった。


――シャイン。なぜあの輪の中に入ったんだ……。さすがに空気を読まなすぎでは……。


 シャインはガンマ君の隣に座り、昼食をとり始めた。


「えっと……シャインさん。他にも食べる場所はいっぱい開いているのに、なぜここに?」


「別に……、理由は特にないけど、私がいたら邪魔?」


「いえいえ、そんなことは思っていませんよ」


 ガンマ君は両手をあたふたさせて、シャインの言葉を否定した。


「なら、ここにいてもいいでしょ」


「そ、そうですけど……」


――なになに! シャインどうしちゃったの! 何でそんないたいけな顔するの! あ~、後ろからじゃ、よく見えない。ベスパ! シャインたちの前に移動して『視覚共有』をして。


「キララ様、興奮しすぎですよ。落ち着いてください」


――落ち着いていられないよ。だって、兄妹でイチャイチャしているところに入っていくなんて相当な理由がないと出来ない。シャインは空気をちゃんと読める子だから、普通あの中に入っていかないはず。なのに、隣に座ってもいいと声を掛けるなんてありえない。私はその理由が知りたいの!


「まぁ、キララ様の命令なので従いますけど……」


 ベスパはしぶしぶ飛んで行き、三人の表情がよく見える絶好の場所に移動して『視覚共有』を行った。


「…………」

「…………」

「?」


 シャインとガンマ君は黙りこくってしまい、テリアちゃんは何が起きているのかよく分かっていない様子だった。


――テリアちゃん、その場を離れて……。その場を離れて……。


「キララ様、いったい何をしているんですか?」


――テリアちゃんにアイドル神からの天命をおくっているの。その場を離れてと言う天命をね。


「天命って……。キララ様は神様ではありませんよ」


 ベスパが呆れていた時……、どうやら私の願いがとどいたらしくテリアちゃんに天命が下ったらしい。


「はっ! お兄ちゃん。ちょっと私、用事を思い出しちゃった。ここで待ってて!」


「ちょ! テリア、どこに行くの!」


「用事を思い出しただけだから、すぐ戻ってくるよ~!」


――素晴らしい、テリアちゃん。素晴らしすぎるよ。さすが天使、アイドル神からのお告げをしっかりと聞き入れてくれた!


「噓ぉ……」


 ベスパは驚いた声を漏らす。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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