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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~
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突発的な性格の変化は虫の変態と同じ……。

「でも、お姉ちゃんはすっごくかわいいから、胸なんて関係ないよ。パイパイさんみたいな色気は出ないかもしれないけど、すっごくかわいいから問題ないよ!」


 シャインは一生懸命に私の評価をあげようとしてくれている。


 それがかえって心に刺さった……。ぐさりとね。


「は、はは……。パイパイさんってメリーさんのことかな。まぁ、あの人は異次元だから、比べないようにしないとだめだよ……」


「私は……胸なんていらないもん。剣を振る時に絶対じゃまだし」


 シャインは自身の胸に手を置いて少しくらい表情を浮かべていた。


「はぁ、そう思えるシャインの心が羨ましい……。私は欲にまみれているからなのかな。あの脂肪の塊が欲しいと思えば思うほど育たないようにできているのかも……」


「お姉ちゃん、何言ってるの?」


「何でもないよ。あと、シャイン。胸がいらないなんて言ったらダメだよ。胸が欲しいぺったんこの人に酷い言われようするからね。特に胸が大きくなった人が胸をいらないと言うともう、ぺったんこの人は激怒だよ」


「え……。わ、分かった。もう、お姉ちゃんがぺったんこなんて言わない」


「はぁ……。何度も言われるとどうでもいいやって思えてくるな」


 シャインは八歳になって早めの成長期にでも入ったのか、服の上からでも少々膨らんで見えるような気がする……。


――私は未だに成長していないんだが、どうなっているんでしょうか、神様。私、こんなつらい目に合ってるのに、小さな夢の一つも叶えてくれないんですかね。私、以前も言いましたよ。少し夢を小さくします、もうAじゃなければいいです。Bあればいいですから……。多少なりとも、私に脂肪を分けてはいただけないでしょうか。


 私は清めた体で神様に願った。


「お姉ちゃん。何で、全裸で祈ってるの……。神様はお姉ちゃんにスキルをくれたから、もう贈り物は貰えないよ」


「ふっ!」


『ザバーッツ』


「きゃ! 冷たい!」


 私は汗だくのシャインの顔に窓から桶の水をぶっかけた。


「もう何するの、お姉ちゃん。全身びちょびちょだよ……」


 シャインの胸に張り付いた服がかなり膨らんでおり、私と格の違いを見せつけてくる。


「八歳に負けた……」


「え? 何が?」


 私は完全に敗北し、部屋の床に項垂れる。


 その後、私はまだ自分には時間があると自己暗示をかけて復活した。よろめきながら歩き、濡れた体を乾いた布で拭き終えて下着と服を着る。


「はぁ~、さっぱりした。妹の発言にイライラしちゃうくらい疲れているなんて、私もまだまだだな。どんなに疲れていても人に当たってはいけないって言われてたのに」


 私はシャインのために乾いた布を持って外に向った。


「はい、シャイン。さっきはごめんね。お姉ちゃん疲れてて、かっとなっちゃった」


「別にいいよ。丁度、汗を拭こうと思ってた所だし、水がもったいないから、節約できてよかったね」


 シャインは無垢な笑顔を私に向けた。


――あぁ、私にはもう、無垢な笑顔は出来ないんだろうな……。二一歳なんて煩悩の塊みたいだし、アイドルなんて煩悩を具現化したような存在だし、私は色々とこじらせてるし、でもう、子供みたいにはなれないかも。


「ふぅ~、きもちぃ~」


 シャインは少し短めの髪をグシャグシャにかき混ぜながら乾いた布で水分を取る。


――まぁ、私が子供だったら今でも貧乏で死にそうな生活していただろうし、生きて行けるなら十分か。シャインもいつかは大人になるんだろうし、この笑顔を見れるのもあと何回あるか分からないから、しっかりと目に焼き付けておかないと。またあの時みたいな気持ちになっちゃう。


 私は地球にいたころ小学校からの友達がいた。


 その子は中学に上がり、高校に上がるにつれて、小学生の面影は無くなり、別人のような性格になった。


 それはもう、虫の変態と大差ない。


 幼虫が成虫になる過程で何が起こったというあれだ。


 中学校まで純粋無垢な笑顔を振りまいていた子が、高校になったとたん悪態をつき、悪い先輩とつるみ出した。


 私は高校からアイドル活動が本格化していったため、友達と疎遠になってしまい、今ではどうしているか分からない。まぁ、相手から見たら私も相当な変化だったか……。


 シャインもどう変化するか分からない。


――そう考えると私の感情はこのままの状態が続くわけだから、性格が変わらないのか……。それがいいか悪いかはわからないな。


 私はシャインの未来が楽しみな反面、虫の変態張りに性格が変わらないことを祈る。


「じゃあ、私は仕事に行ってくるから、シャインも準備し終わったら来なよ」


「分かった。私もすぐ行く」


 シャインは木剣を持ちながら家の中に入っていった。


「さてと。ベスパ、仕事に行くよ」


「了解です」


 ベスパは地面から顔をにゅっと出して、私の頭上まで飛んできた。


「ベスパ、地中に隠れてたんだね」


「どこでもよかったんですがね。まぁ、キララ様とシャインさん、どちらもさほど変わりませんよ」


「え? 何が?」


「何がって……、はっ!」


 ベスパは自分がのぞき見していた行為を自分から白状した。


 ベスパが超高速で大空に飛んで行く。


「『転移魔法陣』『ファイア』」


 私はベスパが一〇○○メートルを超える前に詠唱を放ち、暗い空に一瞬明るい太陽を作り出した。


「はぁ、ベスパ。それじゃあ本当の変態だよ」


☆☆☆☆


 私と生まれ変わったベスパは共に牧場に向っていた。


「キララ様、酷いですよ。昨日あんなに爆発させたのに、今日も早朝から燃やされるなんて思っていませんでした」


「ベスパが覗いてたからでしょうが。魔力体で見つけにくいにも拘らず、どんな所もすり抜けるんだから覗き魔としては最悪だよ」


「私は悪魔じゃないですよ。一度焼き尽くされたんですから、その話はもうおしまいにしましょうよ」


「そうだね。この話はもうおしまい。あ、言っておくけど覗きは犯罪だからね。捕まるよ」


「だから、私は別に覗こうとして覗いている訳ではないんですよ。キララ様の感情がそうさせるんです。私はキララ様の魔力なんですから」


「じゃ、じゃあ……つまるところ、私が覗きたいと思ってたってわけ?」


「まぁ、そう言ったところなんじゃないですかね。私も意思を持っていますが、それはキララ様を模したものになります。つまり、私とキララ様は似た者同士と言うことになりますね」


 ベスパは嬉しそうに笑った。


「さ、最悪だ……」


「ちょっと! 露骨に嫌がらないでくださいよ!」


 私は心が廃れていたところもあって、ベスパの話を聞き入れるには少々時間が掛かった。


 ベスパと話し合いながら牧場に向うと、広場でバートンに乗っている一人の男性が燥いでいた。


「うわ~! すっご~! 何ですかここの牧場のバートン! どの個体も王都に献上できそうです~! うわ~はえ~!」


 ルドラさんがバートンに乗って燥いでいる声だった。


「はは……、大人の男の人が燥いでいる姿って、ちょっと見苦しいかも」


「ですね……」


 私はそっと見ないふりをして子供達のための朝食と牛乳配達の準備をした。


 私がする仕事はほぼベスパがしてくれるので、私は現場監督としてビー達を取り締まる。


 私達は牛乳を積んだ荷台をレクーに引っ張ってもらいながら、いつの通りの牛乳配達を行った。


 ライトとシャインも各自で荷台に牛乳パックと牛乳瓶を積み、牛乳配達に向う。


 その間、ルドラさんは私達の異常な光景を目の当たりにしていた。


「おりゃああ~~! ガンマ君付いてきてる! セチアさんはもっと頑張って!」

「は、はい!」

「も、もう限界だよ~!」


 シャインは牛乳を大量に積んだ荷台を引きながら、走っている。


 その後ろを何とかギリギリくらいつているガンマ君の姿があった。その後ろにもう離脱しそうなセチアさんもいる。


――凄い、七日間くらい鍛錬しただけで、シャインにくらいついていってる。まぁ、シャインも手加減して走ってるけど、それでもガンマ君とセチアさんは、すごいな。


「な、何ですか。シャインさんが荷台一杯に積んだ牛乳パックと瓶を一人で運んでますよ! どれだけ重いか分かってるんですかね!」


 ルドラさんはシャインの力に驚いていた。


「キララさん。シャインさんは、さすがに『身体強化』を使用していますよね?」


「いえ、あれは素ですよ。シャインは魔法が苦手なので鍛錬だけであそこまで力が強くなりました」


「う、嘘だ……、そんな訳」


「ほんとですよ。よく見てくださいよ。シャインの体の周りに魔力の靄が見えないじゃないですか」


「た、確かにそうですけど、あの力と速さを通常の状態で出せるんですか? 加えてまだ八歳になったばかりですよね」


「まぁ、私もおかしいと思ったんですけど、本人ができてるのならそれでいいかなと考えるようになりました。仕事にも差し支えないですからね」


「はぁ、そういうものですか」


「そういうものですよ」


 荷台の前座席に私とルドラさんが座っており、牛乳配達の体験をしてもらうことにした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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