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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~

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コーヒーと紙コップ

「それじゃあ、これが牛乳の料金だ。調べてくれ」


 ウロトさんは私に小袋を手渡してきた。


「分かりました。調べますね」


 私は閉じられている袋を開けて金貨の枚数を確認する。


「はい、五枚確かに入っています。では、牛乳パックの入ったクーラーボックスはテーブルの上に置いておきますから。あとは好きな場所に運んでください」


「ああ、分かった」


 私はウロトさんのお店を出てレクーの背中に乗り、カロネさんのお店に向う。


☆☆☆☆


「うわぁ……。花が台無しだ……」


 私達はカロネさんのお店に到着した。


 だが、店前のお花や綺麗な草ががれきに潰されており、以前の綺麗な外見ではなくなっていた。


「ベスパ、がれきをどけてくれる」


「了解しました」


 ベスパは倒れてきたら危ないがれきをビー達に運ばせた。


「ありがとう。じゃあ、ベスパはクーラーボックスを持って私についてきて」


「了解です」


 私はカロネさんのお店に向かい、扉を開けて中に入る。


 ベスパはクーラーボックスを持って私の後ろに着いてきた。


「すみません。カロネさんはいますか……」


「あ、キララちゃん。いらっしゃい。お金は準備してあるから。牛乳は調理場の方にお願いできるかな?」


 カロネさんは私に気づき、駆け足で寄ってきた。


「分かりました」


――ベスパ、調理場の方に運んで。


「了解」


 ベスパは調理場の方に向って飛んで行く。


「今日はもう遅いので長居は出来ません。コーヒーを一杯だけ貰えますか?」


「ええ、分かった。ちょっと待っていてね」


 カロネさんは調理場の方に向い、コーヒー豆を引く音が聞こえ始める。


『ゴリゴリ……』


 数メートル離れていても漂う高級なコーヒーの深い香り……、すごい良い匂い。懐かしいな。地球にいたとき、24時間、テレビに出続けるとか言う番組に無償で出てた時とか徹夜する前によく飲んでたな。


 いつも缶コーヒーばっかりだったけど、入れたてのコーヒーを仕事前に飲めるのは贅沢だ。


 カロネさんのお店のコーヒーは一杯いくらだっけ。確か銀貨五枚くらいだったような気がするんだけど。今考えると相当高いよな。でも、ここに入ったら無性に飲みたくなってしまった。これがカフェの魔力……。いや、カフェインの中毒性か。


 私は椅子に座り、コーヒーを待っていた。


「あ~! しまった! コーヒー用のグラスが全部割れてるんだった!」


「ん?」


 調理場の方にいるカロネさんの声が一室に響く。


「カロネさん、どうかしましたか?」


「い、いや、その……。今回の騒動で何度も地面が揺れるような振動が合ったからコーヒーを入れるカップが全部床に落ちて割れちゃったんだよ。紅茶のカップに入れるとどうしても匂いや色が移るから入れたくないんだよね……。コーヒー豆をせっかく砕いたのに」


「なら、ちょっとだけ待っていてもらえますか」


「え?」


――ベスパ、紙コップを作って持ってきて。出来れば二重構造にして熱が逃げにくいようにしたやつがいいな。あと、紙コップの蓋も作ってほしい。飲み口だけ開けられる構造にして、飲みやすいように飲み口を山のように吐出させておいて。出来る?


「もちろんですよ。すぐに作ってまいります」


 ベスパはお店の入口から外に飛び出していき、1から2分程で帰ってきた。


「キララ様、これでどうでしょうか?」


 ベスパはテーブルに紙コップと蓋を置いた。


 その2つを私は手に取り、よく見る。


――良い感じ。これで外でも飲めそうだよ。わざわざ高級なカップに入れてもらう必要もないし、洗わなくてもいい、燃やしてしまえば塵になって土にかえるから環境にも優しい。


 私は地球のカフェで持ち帰りの際よく使われる紙コップと蓋をベスパに作ってもらった。


 色は原料が木なので茶色。


 ただ、木目っぽいのが浮かび上がっているので趣を結構感じる。


「カロネさん。この紙コップにコーヒーを淹れてください。少し時間が押しているので外で飲もうと思います」


「これ……、紙なの?」


「木から作ったので紙ですね。私の仲間にこういった小物を作るのが得意な者がいるんですよ」


 カロネさんは私の渡した紙コップをまじまじと見まわし、頷いた。


「キララちゃん。これ、何個くらい作れるの?」


「え? 周りから原料がなくなるまで……、ですかね」


「じゃあ、とりあえず100個作って持って来てほしい。7日後でも14日後でもいいから。もちろんお金は払うよ」


「じゃあ、今から持ってきますね」


「今から?」


――ベスパ、100個だって。作れる?


「キララ様。私達は一日に何個の牛乳パックと瓶を作っていると思っているんですか? その程度余裕ですよ。すぐに持ってきます」


 ベスパはふっ、やれやれと言った表情で外に飛んで行く。


 5分と程して10個ずつ重ねられた紙コップが10本と100個の蓋が入れられた麻袋がお店に入ってくる。


「では、10個の紙コップを銅貨1枚でどうですか? 高かったら、もっと安くしますけど」


「え……、もう作れたの。あと、この紙コップが10個で銅貨1枚……って。100個で銀貨1枚。そんな価格ありえるの?」


「まぁ、始めはこれくらいの値段でいいんじゃないですかね」


――紙コップを作るときの人件費と材料費はゼロ。紙コップにお金をいっぱい使わせてしまったらもっと生活が大変になってしまう。カロネさんもいったいどれくらいの値段で買おうとしていたかは知らないけど、街で大体的に使われると私が後々困る……。


「紙コップはあまり多用しない方がいいですよ。何度も使うと液漏れしますし、水につけておくとふにゃふにゃになるかもしれません。一回使ったら紙コップは捨てていただいたほうが衛生的でいいです」


「なるほど、紙コップは一回で使い捨てなんだ。でも、凄い便利なコップだよ。街で頑張っている人達に飲み物を配れるんだもん。ガラス製や木製のコップやグラスに液体を入れなくても飲み物が飲めるなんて、革新だよ! 紙コップを使えば、お店の外でもお店で入れた紅茶やコーヒーが飲めるんだよね。凄いお金のにおいがする!」


「す、すごい食いつきですね……。でも、確かにお店で飲む時間のない人なら外で歩きながら飲めるのも魅力かもしれません。と言うか、そう言った紙コップってなかったんですか?」


「ないない! ルークス王国の王都でも紙をこんな風に硬くしてコップにするなんてしてないよ。まぁ、王都の貴族は飲むよりも紅茶をたしなむという形式を大事にするから高級なガラス製のカップを使うの。一般の人ならこの紙コップでも全然喜んで買ってくれるよ。まだ、分からないけど……」


「じゃあ、この紙コップに紅茶やコーヒーを入れて街の頑張っている人達に配ってみたらどうですか? そんなに高級な茶葉やコーヒー豆を使わずに、無難で美味しい飲み物でも、皆さん喜んでくれると思いますよ。カロネさんの財布が痩せない程度にとどめておいてくださいね」


「そうね。例え安い茶葉やコーヒー豆を使ったとしても私の腕で何とかしてみせる。今回頑張ってくれた、騎士団、バルディアギルド、病院の方々に配ってみようと思うよ!」


「いい評判がもらえたら教えてください。改良点なども教えていただければその都度変えます」


「分かった。ありがとうキララちゃん。今日のコーヒー代は無料にしておくね!」


「本当ですか! ありがとうございます!」


「えっと、牛乳以外にレモネとレモネの葉はどこにあるの?」


「あ! ごめんなさい、今すぐ運びます!」


――ベスパ、レモネとレモネの葉が入った木箱を持ってきて。


「了解」


 ベスパには何度も悪いが、配達要員として頑張ってもらう。


 レモネがぱんぱんに詰まった木箱とレモネの葉が敷き詰められた木箱がテーブルに置かれた。


「これで全部ですね」


「ありがとう。個数は分からないけど、レモネと葉で牛乳と同じ値段でいいかな?」


「はい。構いません」


 カロネさんは調理場の方に歩いてき、小袋を持ってきた。


「この中に金貨10枚と銀貨1枚入っているから、確認してくれる?」


「分かりました」


 私は袋の中身を見て、貨幣の枚数を数えた。


「はい。確かに金額通りあります」


「じゃあ、これ。コーヒー」


 カロネさんは紙コップにコーヒーを注ぎ、ふたを閉めた状態で手渡してきた。


「ありがとうございます」


 私は紙コップを受け取る。


 紙コップの内側が二重になっているので掌に熱さを感じない。


 紙コップは少々凸凹しており凄く持ちやすく、移動しても中身がこぼれない蓋が付いているため、レクーに乗りながら飲んでもこぼれなさそうだ。


――さすがにそれはないか。でも、ゆっくり歩く速度なら飲めそうだな。


 私はコーヒーを片手にカロネさんのお店を出た。


 徹夜するキャリアウーマンっぽいかも……。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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