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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ブラックベアー事件の後始末 ~自分の進む道を決めていく偏~
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メルさんの秘密

「いいですか、キララちゃん。今日はこれくらいの説教で終わらせておきますが、また同じような行動をしたらただではすみませんよ!」


「は、はい……。すみません……」


 私はリーズさんの説教を一時間以上聞き続けており、耳が痛い。


「はぁ~。説教はここまでです。ここからは感謝の気持ちを述べますよ」


「え……?」


 私は長い間、説教されていたため感情の起伏が激しく困惑してしまう。


「キララちゃん。囮役を買って出てくれてありがとうございました。そのおかげで、街は最小限の被害に抑えられたのだと思います。あのまま、ブラックベアーが街に滞在していたらどこまで被害が広がっていたか分かりません」


 リーズさんは私に頭を下げてきた。


「い、いやぁ……。足の速いバートンに丁度乗ってたので、私にしかできない仕事だと思ったんですよ」


 私は頭に手を置いてあたかも偶然かのように話す。


「キララちゃんには感謝してもしきれません。加えて、ブラックベアーの咆哮で気絶した私達を助けてくれた方にも厚く御礼申し上げたいのですが……、どこの誰か分からなくてですね、探そうにも探せないんですよ」


――あぁ、リーズさんの探している人は私じゃん。どうしよう、いうとまた説教が伸びそうだ……。黙っておこう。


「り、リーズさんはどこで眼を覚ましたんですか?」


 私はリーズさんがどこまで記憶があるのかを聞いた。話の辻褄を合わせるためだ。


「私はあの時気絶して気が付いた時にはこの病院内にいたんですよ。ブラックベアーの囮役を買って出たキララちゃんなら私達を助けてくれた人を見ていると思ったんですが、どうでしょうか?」


 リーズさんは私の肩に手を置き、グイグイと近寄りながら聞いてくる。


――なるほど、ほぼ記憶がないのか。なら、適当な話をでっちあげても問題なさそう。


 リーズさんを助けたのは私なのだがここで私ですと言っても信じてもらえなさそうなので、言わない。


 リーズさんに言ったら他にも色々聞かれそうで怖いし、出来るだけ私の情報は伏せておきたいのだ。


「さ、さぁ……。私もブラックベアーの咆哮を受けて気絶していて誰かに助けられたんです。その後、他の人より早く起きただけなんですよ。そこから囮役として逃げて……、フロックさんに助けられて今に至ります」


「そうですか……。この街にいる人達の命の恩人がどこにいるかも分からない人だなんて……。どうにかして感謝したいんですが痕跡が全くないんですよ。ほんとここまで痕跡を消せるなんて、ただ者じゃないですね」


――リーズさん、今目の前にいる超絶可愛い女の子が命の恩人なんですよ~。何て言っても、デコピンを食らうだけだから言わない。


「多分、冒険者の誰かだと思うんですが……、冒険者の序列の上位層に援助系の魔法を使う人が全くいないんですよ。ほんと、どこにいて何をしている人なのか凄く気になります」


「そ、そうですね~。わ、私も気になります……」


――ベスパ、私達の痕跡を全部隠しているんだね。


「もちろんですよ。何もかも消し去りました。簡単には気づかれませんよ」


――ほんと助かった。もし、気づかれてたら、色々と面倒くさい話になりそうだったよ。


「キララ様が認知されるとドリミア教会に気づかれますから、キララ様以外の誰かが行ったと思ってもらえていれば私達としても都合がいいです」


――そうだね。あと、私の時間が取られないのが一番大きいよ。私は早く仕事がしたいのに、色々と拘束されたら困るもん。あぁ、仕事したすぎてそわそわしてきた……。


「キララ様は、仕事依存症ですね。治し方は不明です」


 ベスパはやれやれと言った表情で頭を横に振った。


――はは……、そうかも。魔造ウトサ依存症より百倍ましだけどね。


「そうですね。あ、キララ様、左腕を早く見せた方がよろしいのではないでしょうか? 綺麗に治っていないので後遺症が残るかもしれませんよ」


――そ、それを早く言ってよ。


「あの、リーズさん。私の左腕を治してもらえませんか?」


 私はリーズさんに左腕を見せる。


「左腕ですか? 怪我しているようには見えませんが……」


「触ってもらえば分かると思います」


「分かりました」


 リーズさんは左腕を触診し始めた。


「これは欠けた骨が筋肉に刺さって炎症を起こしているのかもしれませんね。骨は既に治っていますが、古い骨が体内に残っているのが痛みの原因でしょう。私でも治せますが、もっと完璧に直せる者が今、この病院にいるのでその方に見てもらいましょうか?」


「もしかして、メルさんも病院にいるんですか?」


「はい。魔力が回復してきたそうなので治療をしてもらえると思いますよ。早速行きましょう」


「お願いします」


 私はリーズさんに連れられてノルドさんの傍にいた緑髪の少女がいるという診察室に向った。


「メルさん。少し見てもらいたい人がいるんですけどいいですか?」


 リーズさんは診察室の扉を開き、中にいる人に話しかけていた。


「はい。問題ないですよ」


 私はメルさんの了承を貰い、診察室に入った。


「あ、あなたはブラックベアーで皆を……」


 メルさんは私を見るや否や、私の行為を喋ろうとした。


「わー! わー! わー!」


 私は大声でメルさんの言葉を遮る。


「キララちゃん、病院内でいきなり大きな声を出すのは禁止ですよ!」


 私はリーズさんにまたもや怒られた。


「ご、ごめんなさい……」


 私はメルさんのもとに駆けていき、耳打ちする。


(どうか、皆を助けたのは内密にお願いします)


(え、どうしてですか? 私、凄い感謝しているんですけど)


(色々と面倒になりそうなので)


(まぁ、別に構いませんよ)


 メルさんは快く承諾してくれた。理解の速い子ですっごく助かる。


(えっとメルさんを信用していない訳じゃないんですけど……、万が一私の行動が誰かに気づかれた時、メルさんの秘密をノルドさんに話しますね)


 私はメルさんの情報など一切持っていないが、あたかも秘密を知っているかのように話、脅迫まがいな行いをした。


 自分を守るためだ。犯罪一歩手前だが仕方ない。


(え、ええ、わ、私の秘密。そ、それっていったいなんですか……? も、もしかして、私が寝てるノルド様の唇にキスしたとか、眠っているノルド様を着替えさせる時、体を艶めかしく眺めていたとか、ぱ、パンツの匂いを嗅いでたとか。ど、どこまで知ってるんですか)


 メルさんは私の頬に両手を置いてあたふたした表情を浮かべていた。


――え~、この人、結構変態さんなんだ~。顔との差が凄いすぎて感情の自由落下だよ。


「キララ様、説明がよく分かりません」


――別に分かりやすさとかどうでもいいの。ちょっと脅すつもりだったのに、メルさん全部自分で言っちゃってるし。とりあえず、合わせておこう。


(私は全部知ってますよ……)


(えぇ~、そ、そんなぁ~。ぜ、ぜったいに秘密にしますから、ノルド様にはご内密にお願いします)


 メルさんは涙目で私を見つめてきた。可愛らしくて悪戯したくなってしまうが、今は堪える。


「もちろんです。でも、色々と私に手を貸してくださいね!」


「うぅ~。わ、分かりました……」


 メルさんは私に頭を下げた。


「キララちゃんとメルさん、いったい何を話しているんですか?」


「いえ、何でもないですよ。リーズさんは何も気にしないでください」


「そう言われるとよけい気になるんですが……」


「キララちゃんに今から治療しますのでちょっとしたお話をして、仲を深めようと思いまして」


「そうですか。メルさんがそう言うのならそうなのでしょう」


 リーズさんはメルさんの発言を一度で信じた。


「あれ、リーズさん、私への信用度さがってませんか?」


「そりゃあ、キララちゃんが私の言うことを聴かずに危険な行動ばかりとるからですよ」


「うぅ……、あらためてごめんなさい……」


 私はリーズさんにもう一度頭を下げる。


 リーズさんの信用を失うのは大きな痛手だ。何としてでも回避しなくてはならない。


「ちゃんと聞き入れてくれているのならいいですよ。あと、私はキララちゃんをちゃんと信用していますから、そんなに落ち込まないでください」


 リーズさんは笑顔で言う。


――信用は一度無くすともう一度取り返すのが本当に大変だからなるべく落とさないようにしないと。芸能界で信用を落とした人がどれだけ苦労していたか私は知っている。不倫、薬物、性事件……。実際、業界に帰ってくるのは難しい。私には全く縁のない話だったけどね。なんせ恋人なんていなかったんだから。と言うか、仕事が忙しすぎてそんな暇なかったし。


「あの、キララちゃん。左腕を見せてもらってもいいですか?」


 メルさんは私の左腕に触り、言ってくる。


「はい、お願いします」


 私は左腕をメルさんに見やすいよう動かした。


 メルさんは私の左腕を触診しながら、状態を見る。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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