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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
全くいらない”蜂と仲良くなれる”スキル『虫使い「ビー」』を貰いました。 ~10歳偏~
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モークルたち

 私はお爺ちゃんの家から移動し、バートン達の厩舎に到着した。


「ごめんね、餌あげるの遅くなっちゃって」


 私は干し草をバートン一頭一頭の餌箱に入れていく。


「ホントっすよ! もう死ぬかと思ったんすから」


 バートン達はお腹が相当空いていたのか、餌を入れるとすぐに食いつく。まるで餌付けされた鯉みたいだ。


「ねえ、食べ終わったら、乗せてくれない?」


 私は干し草をむしゃむしゃ食べているバートンに訊いた。


「ん? いいっすよ。俺も走りたかったんで丁度良いっす」


 私は姉さんの背中が恐怖過ぎてもう乗れない……。だから、別のバートンに頼んだ。


 バートンに乗るのはとても楽しかった。ベスパのおかげでバートン達と会話ができ、手綱で操作しなくても指示通りに動いてくれる。言葉がわかると動物達との触れ合いがこんなにも楽しいなんて知らなかった。


「良いですよ! キララ様! かっこいいです! 女王様みたいです!」


 ベスパは空を飛びながら私の姿を見て、これでもかと褒めてきた。どこかカメラマンのようで鬱陶しい。


「はぁ、はぁ、はぁ……。バートンに乗るのがこんなに楽しいなんて知らなかった。ありがとう」


 私はバートンの首辺りを摩り、感謝した。


「いえ、俺も普段はオッサンばっかり乗せてるんで子供を乗せるのが新鮮だったっす」


「あなたたちはいったいどんな仕事をしているの?」


 私はバートンがどんな仕事をしているのか知りたかったので乗っている子に訊いてみた。


「俺たちは簡単に言えば街まで何かを送る仕事をしてるっす。村でバートンを飼っている人は少ないっすからね。爺さんから俺たちを借りて街に行ったほうが、バートン車で行くよりも移動費が安くなるみたいっす。なんで結構使われてるっすよ。でも、最近は少なくなってきたっすけどね……」


 バートンは私を乗せ、牧場の中にあるなだらかな土地が広がるバートン場で軽く歩いていた。


「そうなんだ……」


「まぁ、爺さんも歳なんで、ここら辺で仕事を辞めた方が身のためだと思うっす。牧場はこんなに広いのに、バートンは俺あわせて八頭もいないっすからね」


 ――何かいい方法は無いだろうか。この広い土地を活用できてプラスになるもの……。ぱっと思いつかないな。


「まあ、何か考えてみるよ」


 姉さんを助け出してから数日が経ち、お爺ちゃんの腰も無事回復した。その後すぐ、大きな変化があったのだ。


「お、お爺ちゃん! この……、この動物はなに!」


 私は牧場に運ばれてきた動物を見て叫ぶ。見かけが牛にそっくりなのだ。


「ん? ああ、モークルのことかい? 山を一個越えたの酪農家が『もう飼えねえ!』っていうからわしが引き取ったんだ」


 お爺ちゃんはモークルと言う動物を開いている厩舎に移動させ、飼育を始めた。


 ――モークルって言うんだこの動物。でも私にとっては幸運も幸運。姿は私の知る牛そのもの! しかも雌が三頭、子牛も三頭、オスが一頭こんな幸運があっていいのだろうか! でもおかしい。どうしてこんなに素晴らしい動物を手放したんだろうか。


「ねえ? お爺ちゃん、この子たちすごくいい動物たよね? どうして『もう飼えねえ!』ってなったの?」


「そりゃあモークルを育てるのは相当難しいからだろうな。酪農のスキルが無いと普通に育てるのはまず無理だ。しかも、上手く育てても肉しか取れないから、コスパが最悪なんだ」


 お爺ちゃんは環境がいきなり変わり怯えているモークルに優しく触れ、ブラシで体の汚れを取っていく。


「え? 牛乳が出るでしょ?」


「牛乳? ってなんだい」


 お爺ちゃんは首を傾げ、訊いてきた。どうやらこの世界に牛乳という単語が無いらしい。


「え、えっと……、乳を加工した液体のことだけど……」


「ああ、モークルの(ミルク)か。ありゃダメだ、すぐ腐る。採れたては確かに上手いが日持ちしない品は売れないよ」


 ――そうか、この世界は食品の加工技術がまだ発展してないんだ。でもそれなら私の夢の第一歩になるかもしれない!


「お爺ちゃん! モークルの世話を私が見てもいい?」


「キララが世話? モークルの世話は難しいぞ。遊びじゃないんだ、命を扱う事なんだぞ。それを分かって行っているのか?」


「うん! 初めは一頭からでもいいから、私に世話をさせて欲しいの。もし、お爺ちゃんがダメだと思ったらすぐに止めるから」


「そこまで言うならいいだろう。ただし、ダメだと思ったらすぐ止めさせるからな」


「ありがとうお爺ちゃん!」


 私はお爺ちゃんから三頭の子供モークルの世話を許された。そんな時、背筋に悪寒が走る。


「あんた! ちょっといいかい?」


 ――この声は。


「姉さん………」


 私は姉さんの本性を知った日からちょっと気まずくなっていた。


「ちょっとついて来てくれるかい」


 私は姉さんに呼ばれ、バートンの厩舎に向った。


「爺さんからモークルの世話を許されたようだったね。ついでにこの子もお願いできる?」


 姉さんは一頭の子バートンを連れてきた。その子バートンは姉さんの後ろから引っ付いて離れない。


「お母さん……誰? あの人……」


「今度からお前の世話係になる人だよ。挨拶しな」


 姉さんは後ろ足で子バートン離れさせようとするが、子バードンは姉さんの後ろから離れようとしない。


「こういうことなんだ、さっさと親離れしてほしいんだよ。そこであんたに、この子の世話を頼みたいんだ」


 ――今思ったけど、姉さん子持ちだったんだ。


「わ……私でいいの?」


「あんたは私を負かしたやつだろ、それだけで十分だよ」


「そ、それなら……わかった。任せて。それで、その子の名前は?」


「レクティタ……」


 子バートンは姉さんが名前を言うよりも先に答えた。


「レクティタ君ね、言いにくいな……。レクーでもいい?」


 子バートンは頭を縦に振る。


「良し! レクー、明日からよろしくね! それにしても姉さんと似ても似つかないね。真っ白だし」


 レクーの毛並みは黒い毛並の姉さんと全く違い、真っ白だった。アルビノかな?


「ほんと誰に似たんだか」


 ――甘えん坊な性格は物凄くよく似てると思うけどね……。


「良し! 明日から頑張るぞ!」


「あの……キララ様。私の存在を忘れていませんか?」


 ベスパが力なくフラフラと飛んでいる。


「ベスパ、顔が干からびてるよ。どうしちゃったの?」


「どうしたも、こうしたもないですよ! 『聴覚共有』をずっと行ってるんです! 魔力がもう空っぽなんですよ。私に魔力をわけてください!」


「ごめんごめん、ちょっと幸運に幸運が続いて、ベスパの存在をすっかり忘れてた」


「は~、周りをちゃんと見てくださいよ。そもそも、キララ様、家に何日帰ってないんですか?」


「あ……、忘れてた……。ど、どうしよう、お母さんに怒られる……」


 私はベスパに言われ、初めて自分が家に帰るのを忘れていたと気づく。


「私は知りません!」


「あ~! どうしよ~。お母さん、絶対に怒ってるよ」


「一応……、ほんとに一応ですが置手紙を置いてきましたので、そこまで怒られないかと」


 ベスパが後ろを向きながら答える。


「ほんと! ベスパ、あなた史上最も素晴らしい行動じゃない! それじゃ、久々の凱旋と行きますか」


 私は家に久々に帰る。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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