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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
全くいらない”蜂と仲良くなれる”スキル『虫使い「ビー」』を貰いました。 ~10歳偏~
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バートンと冒険者(三人称)

 冒険者はバートンを甘く見ていた。


「え!私の初任務がバートンの討伐ですか? そんな簡単なことを私に任せるなんて……無能なギルドですね。お父様に言いつけてもいいんですけど」


 冒険者は受付嬢を見下し、威圧する。


「大変申し訳ございません。ただいま多くの冒険者が出払っており、今すぐ向かうことが出来る冒険者がチャーチル様しかいないのです」


「そうか……私が最後の砦と言うわけか。それを早く言いたまえ。最後の砦である私が向かおうじゃないか。任せておきたまえ、バートンごとき私の剣にかかれば、一瞬で一刀両断することが出来る!」


 チャーチルは腰に掛けている剣を引き抜き、高く掲げる。


 鞘部分に多くの宝石が埋め込まれており、ギルドを照らす明かりでギラギラに輝いている。剣身は銀色に輝き、眩しい輝きを放っていた。


「素晴らしい剣です、まるで勇者のようですよ!」


 チャーチルを褒める受付嬢の顔は全く笑っていない。


「当然だ、私は勇者になる男なのだから。世の中も腐っているな……。私を勇者と奉ればいいものを、ただの少年を敬うなんて……。この依頼を華麗にこなし、私の名を国中に知らしめる第一歩にしようじゃないか!」


 そしてチャーチルは意気揚々と村にやってきたのだが……今、死にかけている。


「待て待てって!」


 チャーチルは鼻水をたらし、涙で視界が見えなくなる。


 冒険者とは思えないほどの情けない声をさらし、腰が抜けてその場から全く動けないでいた。


「冒険者様! 早くお逃げください! その場にいたらひき殺されてしまいます!」


 村長が大声を上げるが、チャーチルに聞こえない。もはやそれどころではないのだ。


「ブルルル……。ブルルルルルルルッツ!」

(何だ、この人間……。私を油断させているのか? ――なめるな! そんな簡単に罠にはまると思うなよ!)


 黒いバートンは更に速度を上げ、すぐそこまで迫っていた。


「があぁぁぁぁああああーー!」


 チャーチルは恐怖のあまり、その場で気絶する。だが、黒いバートンは止まるそぶりを見せない。


 バートンは戦場で油断することこそ、最大の敵だと学んでいたからだ。多くの村人が目を背ける中、バートンにのみ聞こえる声が響く。


「止まってください! その人を殺してはなりません!」


 バートンはその声を聴き、チャーチルの目の前で地面を強く蹴り、跳躍する。

 数十メートル先に着地するすると声の主を目で探すために首を動かす。


「誰だ! 私の邪魔をしたのは」


 バートンが声を上げると空中から真っ黒の球体が降ってくる。見かけは超大きな砲弾。戦場でも見た覚えが無いほどの大きさで、鉄球の比ではなかった。


 バートンが身構えていると球体が崩れさり中から少女が現れる。目を見張るほど美しく、子供とは思えないほどの魔力を感じた。だが、気を失っているのか起き上がる素振りは見せない。


 球体をつくっていた黒い物体は一瞬にして四方八方に飛び去った。突風が吹けば埃が舞うように散り散りになるほど弱いビーが大量に集まっている状況はバートンにとって異常だった。


「ブルルル……」

(少女……それにビーが一匹。どういうことだ……)


 バートンは困惑する、戦場でもこのような光景は見た覚えが無かったからだ。


「ブルルルル……」

(この者たちが敵ならば、潰す……)


「すみません、あなたが姉さんですか?」


 ベスパはキララの代わりに声を掛ける。


「ブルルルッ」

(その呼び方をするのは、舎弟たちだけだがどういうことだ? 舎弟たちに何かしたのか!)


 黒いバートンは草食動物とは思えない気迫を放ち、ベスパは動揺する。


「い、いえ……私はただ、あなたを探しに来たのですよ。この呼び方は、あなたがいた厩舎にいるバートンの皆さんに聞いたんです」


「ブルルルッツ!」

(それをどう証明する……。私はきさまなど見た覚えがないぞ。そこの少女もな!)


 黒いバートンは話しを疑う。相手を簡単に信用して死んでいった仲間を見ていたからだ。


「証明しろと言われましても……。舎弟さんたちを連れてきましょうか?」


「ブルルルルッツ!」

(それじゃぁ遅い、すぐに説明できないのなら、私はきさまらを信用しない!)


「そんなことを言われましても……」


 ベスパは空中で八の字に飛び回るが、何も思い浮かばない。キララが眠っている分、自分の頭も働かなかった。


「ブルルルルッ!」

(もういい、それならば私を倒してみろ。バートンは強者に従う動物だ。きさまが私よりも強いことを証明すればきさまを信用しよう!)


「そ、そそそんな!」


 ベスパは両手と両足をブンブン振り、慌てた。


「ブルルッツ!」

(行くぞ!)


 黒いバートンはその場で先ほどよりも高く跳躍し、ベスパ目掛けて降ってくる。


 少女に当たらないようギリギリの所を踏みつけるが、ベスパにも当たらなかった


 ベスパは逃げる。逃げる。逃げる。その小さな体で出せる限界の速度でただひたすら逃げる。


 試しに針で刺してみようと考えたが、黒いバートンの体は鋼その物……。鋼のように硬い筋肉の塊に針が刺さるわけが無いと思いやめた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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