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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
街の崩壊 ~敵の中に首を突っ込んでいく偏~

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順調な戦い

 ロミアさんは大斧を頭上にすぐさま構え直し、残っている部分を削ぎ落すようにブラックベアーに切りかかる。


『ズシャンッ!』


 ブラックベアーの残っていた上半身がずり落ちると、魔石が露出した。


――ベスパ、お願い。


「了解」


 ベスパは魔石を持ち、天高く飛び立つ。


 その頃にはトーチさんも魔石の位置を見つけ、露出させていた。


 私はトーチさんの方向にビー達を向かわせて魔石をブラックベアーの体内から抜き取る。


 フレイさんとマイアさんは魔石を露出させるのに手こずっているみたいだ。


 魔石を抜かれた二頭のブラックベアーもどきは黒い球体状になり、触手を伸ばしてベスパの持つ魔石を追っていく。


――ベスパさっきと同じ要領で倒すよ。


「了解です!」


 私は指先に『ファイア』の魔法陣と『転移魔法陣』の二枚を展開し、ベスパの合図を待つ。


「キララ様。今です!」


『ファイア!』


 私はベスパの合図で魔法を放つ。


 『転移魔法陣』はベスパの背後とビー達の背後に繋がっているため威力が強めの『ファイア』にした。


――さっき、ディアたちが『転移魔法陣』の出口数に分割されたのを考えると、私の魔法の威力も半分になるはず。


「キララ様。黒い物体に『ファイア』が命中しました!」


――そう、良かった。もう一方の黒い触手はどうなってる?


「そちらにも『ファイア』は命中しています。やはりキララ様の考えた通り、威力が二分割されているようですね」


――やっぱり。でも、二分割された『ファイア』でも黒い塊が燃えるのなら威力は十分だね。


「はい。私達と同様に相当燃えやすい物体のようですね」


――そうじゃないと倒すのが難しすぎるからありがたいよ。


「ですね」


 ベスパと会話している間に、天高く伸びていた黒い触手を伝って黒い塊が一瞬で燃える。


 そこから、ほんの数秒で燃えカスになり、黒い塊は消滅した。


「ほ、本当に倒せた……。凄いよ、キララちゃん!」


 ロミアさんは私の方に視線を向ける。


「ロミアさん、まだ十頭中二頭を倒しただけです。あと八頭残っているので気を引き締めてください!」


「は、はい!」


一頭目を倒したロミアさんとトーチさんは二頭目の討伐に取り掛かった。


 その間もマイアさんとフレイさんはブラックベアーもどきの攻撃に手間取っている。


 マイアさんとフレイさんの動きは悪くないが、二人の攻撃がブラックベアーもどきの体にとどく前にブラックベアーもどきの攻撃に防がれている状況だった。


「ふっ! せいっ! はっ!」


『グラッ! グラッ! グラッ!』


 マイアさんの攻撃はブラックベアーもどきにかわされていた。


 マイアさんは騎士の人たちが皆持っている銀色に光る剣を使って戦っている。


 剣を使う体の動きが型にはまっており、とても綺麗だった。


 だが、その動きはどうも対人戦専用の動きに見えたので大きな魔物とは相性が悪いのかもしれない。


「マイアさん! もっと低く打ち込んでください。ブラックベアーの足下から崩しましょう。大きな相手と戦うときは、急所を狙うより動けなくしてから攻撃した方が戦いやすくなるはずです!」


「わ、分かりました!」


 マイアさんは剣を構え、ブラックベアーに直進していく。


――村で鍛錬をしているシャインの戦い方を見てたら、すっごく低い体勢で剣を魔物の真下から腹にねじ込むような動きをしていたんだよね。やっぱり剣技は低い姿勢が欠かせないのかも。私は剣を触った覚えがほぼないから分からないけど。足下を崩せば大きな体は少なからず動くはず。


 マイアさんはブラックベアーもどきの間合いに入った。


「ふっ!」


『グラアアア!!』


 マイアさんの剣はブラックベアーの右足にとどき、黒い血を噴出させる。


 だが、切断とまではいかずにすぐさま再生された。


 それを見てマイアさんは一度後ろに下がり、息を整える。


「ふぅ……。キララちゃん、なんとか行けそうです」


 どうやら今の一回で何かを掴んだらしく、マイアさんはすぐさま低姿勢をとり、走り出した。


――す、すごい低い。胸が地面に着きそうになってるんだけど。いったいどれだけ低い姿勢をとっているの。というか何で地面に着かないの!


 マイアさんはブラックベアーもどきの懐に一瞬で潜り込み、剣を振り上げる。


 するとブラックベアーもどきの右足と右腕が一気に切断され、体勢が大きく崩れた。


 マイアさんはその隙を見逃さず開いたブラックベアーもどきの腹を掻っ捌いた。


『グラアアアアアアア!!』


「そこにあるんですね」


 マイアさんの体に大量の黒い血が掛かり、白銀の騎士だったのが暗黒の騎士に変わる。


 ブラックベアーもどきの再生速度は尋常ではないくらい速く、切られた右手と足、腹を即座に再生し、マイアさんに突進する。


「ぐっ!」


 マイアさんは回避が遅れ、ブラックベアーもどきの突進の直撃を食らった。


「マイアさん!」


『ドガッツ、ガシャッツ、ズガッツ』


 マイアさんは地面を数回跳ねる。


『ズザザザ……』


 マイアさんは即座に空中で体勢を立て直し、地面に靴裏を着けた摩擦を利用して停止した。


「大丈夫です……。ちょっと油断しました。動けすぎるのも問題ですね」


 マイアさんの体を覆っていた『女王の輝き(クイーンラビンス)』の光が弱まっていく。


「あれ……。体の痛みが消えました。ただ、光は少し弱まった気がします。いったい何が起こったんでしょうか?」


――『女王の輝き(クイーンラビンス)』が防御と回復を行ってくれてるんだ。凄い……。何で自分自身には掛けられないの。私が一番受けたいのに。


「マイアさん。あと数回なら、攻撃を受けられるはずです。でも、あまりに大きな損傷を受けると致命傷になりかねないので、出来るだけ攻撃は受けないよう、気をつけてください」


「分かりました。次で倒します!」


 マイアさんは走り出し、ブラックベアーもどきの懐に戻ってきた。


『ザシュ、ザシュ、ザシュ、ザシュ』


 マイアさんは宣言通り、ブラックベアーもどきの体を切り刻み、魔石を綺麗に露出させた。


 私はすぐさまビー達に魔石を天高く運ばせて『ファイア』と『転移魔法時』の合わせ技で黒い塊になったブラックベアーもどきを倒す。


「やりました! 私も倒せましたよ!」


「凄いですよ。マイアさん」


「キララちゃんのおかげですよ、ありがとうございます。この勢いでもう一頭倒してみせます!」


――マイアさんはもう大丈夫そうだ。あとは……フレイさんか。


「はぁああああ!」


『グラアアアアアアア!』


「くっ!」


 フレイさんは自身の身長と同じくらいある大剣を振りかざし、ブラックベアーもどきに切りかかるも、腰が引けているのか最後まで踏み込めておらず、中途半端な威力となり傷を与えられていなかった。


「フレイさん、もっと踏み込んでください。力が乗り切っていません!」


「わ、分かってるわ。で、でも……、脚が竦んでこれより先に行けないの」


「え……」


 私はフレイさんの脚を見ると確かに震えていた。


「私……。昔、レッドベアーに殺されかけて……、それから似たような魔物に合うと震えちゃうようになって」


――フレイさんにもトラウマがあったのか。


「フレイさん、無理に戦わなくてもいいですから。そのブラックベアーを引き付けるよう努力してください」


「い、いやよ……。私がこいつを倒すわ……」


 フレイさんは足を一歩前に出し、構える。


「でも、体が震えてますよ! その状態で戦うのは危険です!」


「いつか克服しなきゃいけないと思っていたの。こんな丁度いい場面、一生巡ってきそうにもないから。さっさと克服して人質を助けるのよ!」


――フレイさん……。凄い、トラウマに立ち向かおうとしている。私は逃げてばかりだけど、強い人は自ら向かっていくんだ。


「はぁああああ!」


『グラアアアアアアア!』


『ドガッツ!』


「うぐっ! まだまだ!」


 フレイさんはブラックベアーもどきの頭部を狙って大剣を振りかざした。


 だが、ブラックベアーもどきの右手で防がれ、上に弾かれてしまう。


 フレイさんの開いた懐にブラックベアーもどきの突進がもろに入った。


 だが、フレイさんはその場で踏ん張り、ブラックベアーもどきと力勝負で押しあっている。


――ち、力が強い……。さすが、男の騎士達に人間ブラックベアーって言われているだけはある。


 フレイさんは持っている大剣の先端をブラックベアーもどきの襟首に真上から差し込み、頭を切り落とす。


 そのまま、フレイさんは地面に倒れ込んで動きの鈍くなったブラックベアーの背中を切り裂き、魔石の位置を確認した。


「そこにあるのね」


 ブラックベアーもどきの体が再生し、攻撃してくる寸前だった為、フレイさんは一度下がり、再び大剣を構える。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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