表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
全くいらない”蜂と仲良くなれる”スキル『虫使い「ビー」』を貰いました。 ~10歳偏~
24/1150

お爺ちゃんのメークル

「ひどい目に会いました……。キララ様、私の後ろにメークルがいるなら言ってくださいよ!」


「メークルの攻撃くらい、躱しなよ……」


 私は、喋りかけてくるベスパを鬱陶しいと思いながらメークルの厩舎に移動し、干し草を餌箱に入れていく。


「これはお爺ちゃんがやっていたから覚えてるんだ。きっとお腹ペコペコだから、いっぱい食べるよ」


 私は干し草を餌箱に入れ終え、備え付けてあったベルを鳴らす。すると、メークルが一斉に餌場に集まった。


「めぇー、んんめぇー、めぇぇー」


 メークル達は餌箱に頭を突っ込んで干し草を貪り食い始める。


「ねえ、ベスパ。この子たちの声って聞けないの?」


「聞けますよ、私の耳はいろんな声がずっと聞こえてきています。キララ様、聞いてみますか?」


「え……。どういうこと?」


「『視覚共有』と同じで、聴覚を共有する、『聴覚共有』ですよ。では共有します」


「ちょ! ちょっと待って! 『視覚共有』の時みたいにいきなり共有されたら……」


「『聴覚共有!』」


 ベスパは私の話しを聞かず、聴覚を共有させた。


「うめえ! うめえ! うめえ! うめえ!」


 私はベスパと聴覚を共有したが聞こえてくる声はさっきとほぼ変わらない気がする。


「鳴き声と一緒じゃん……」


「そうですね。メークルは頭が悪いので、食べることにしか興味が無いのです」


 ベスパは自分の方が優位だと言いたいのか、流暢に喋る。


「何か、怖がって損した……ん?」


「僕も……、僕も草食べたい……、僕も……、っ痛い……」


「どの子か餌が食べられていない子がいる……。ベスパは聞こえた?」


「はい。私にも聞こえました。どこでしょう、声は聞こえるのですが、どの子が言っているのかは判断が難しいですね」


 その場に、メークルは数十匹もいるため、どの子か見当が付かなかった。


 ――メークルの姿や声質はほぼ同じか。特徴的な部分が無くて困るな……。


 私は仕方なく群れから一匹ずつ放していく、そうすれば時間はかかるが見つかるはずだ。


「これで……、七匹目……」


 私はモークルの体の側面から全体を使って優しく押し込む。


「キララ様、大丈夫ですか?」


「う、うん。私の力でも動いてくれるから案外楽。それよりも、あの声のメークルが誰かわかった?」


「はい、見当がつきました。あの子だと思います」


 ベスパは見当をつけたメークルのもとに飛んで行く。


「この子です」


 ベスパは見つけたメークルの頭上で停止する。私も近寄って行った。そのまま、触れてみる。


「本当だ……痩せてる」


 メークルに直接触れてみると他のメークルと違い、痩せ細っていた。毛ばかりが成長しているため、外見では判断が出来なかったのだ。


「お姉ちゃん誰?」


 その子は私に話しかけてきた。相当弱っているのか声に力がない。


「私はキララ、君、干し草を全然食べれてないでしょ」


 私はメークルに話しかけた。私の声はベスパに翻訳され、メークルに伝わった。


「僕が草を食べる前に……全部食べられちゃって……」


「そうだったんだ、良し!」


 私はメークルを抱き上げ、餌場まで運んだ。外見は大きいが、持ち上げられないほど重くなかった。


 肉がほとんどなく骨の上に毛が乗っているような状態で、あと少し発見が遅れていたらこの子はきっと死んでいただろう。


 私は弱ったメークルに干し草を一本ずつ与えていく、初めは食べるのに時間がかかっていたが、数十本目からは食べる速度も回復していった。


「良かった……、これで心配は無さそう」


「それにしてもこの子たちは何に使われるのですか?」


 ベスパは空中に浮きながら私に疑問をしてきた。


「多分、服とか布とか……、糸を使う品に使われると思う。でも、最近は全然使われないってお爺ちゃんが言ってた」


「それはどうしてです?」


「ある植物からも糸が取れることが発見されて、安い値段で大量生産できるから、費用や手間がかかるメール達の糸は全然売れなくなったんだって」


「へ~、こんなに暖かいのに……」


 ベスパはモークルの毛に体を突っ込み、顔だけを出す。毛からベスパの顔が生えたようで気持ちが悪い。


「お爺ちゃんは殺されそうになったメークル達を引き取って……、特に使い道もないままずっとお世話だけしてきたらしいよ」


 ベスパは毛から飛び出し、首をかしげながら飛ぶ。


「なるほど……。にしても、ここはメークルを育てる環境に適していると言えないですね。草があまり生えていないですし。自由に伸び伸び暮らせませんから毛の品質が落ちてしまいます。どうせなら、もっとあっちの草が生い茂る場所まで柵を広げて飼ってあげたほうが、お腹を空かす子も減ると思うんですが」


 ベスパは柵外の土地を指さしながら言う。


「そうかもしれないけど、お爺ちゃんは歳だし柵を広げるのは難しいって言ってた。それに……」


「どうしたんですか?」


「お爺ちゃんはバートンを育ててるの」


 ベスパはなるほどといった顔で頷いた。


「そういう事ですか。だから走りやすいようにこのような平地になっているのですね。では、次はバートンのお世話をしに行くと言うことですか?」


「そういうこと! 確かバートンの厩舎はこっちだったはず」


 私はメークル達がいる厩舎をあとにしてバートン達がいる厩舎に移動する。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ