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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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部屋を埋め尽くすほど増殖

「それでは、ディア。キララ様は今から就寝ですから、家の屋根裏に戻ってください」


「了解しました、べスパ様!!」


ベスパが命令すると、ベッドを囲んでいたブラットディアは闇に消えていった。


「うおおおおお!!」


ディアは有り余る体力を大声で発散しながら木の隙間に駈け込んでいく。


「やっと無音になったね」


「そうですね。ですが、ディアたちに任せてうまくいくのでしょうか」


「やってみないと分からないよ。こんど街に行くとき、ディアも連れて行こう」


「そうしましょう。今日はお疲れさまでした、キララ様」


ベスパは空中で一礼する。


「うん、相当疲れたよ。まさか人の仲間よりも、人以外の仲間が2種類も増えるなんて思ってなかった」


「この世界にはまだまだ数えきれないほどの種類がいるので、楽しみですね」


「いや……、もうお腹いっぱいだよ。べスパだけでも大変なのに、これ以上増えたら私の負担が大きすぎる」


「キララ様、どういう意味ですか?」


ベスパは空中で頭をかしげている。


「そのままの意味だよ」


「そうですか。私の優秀な能力を上手く使いこなせず大変という意味ですね。いや~、そんなに褒めていただけるとありがたいです~」


ベスパは頭を小さく上下に振りながら、丸太の寝床に向う。


「まぁ、それも確かにあるけど。面倒を見るのが大変なんだよ……」


私は天井の眺めながらボーっとしていると、眠気がしだいに襲って来た。


それに従うように私は瞼を閉じて眠る。


次の日。


「キララ女王様!! おはようございます!!」


私の耳元で大きな声が聞こえた。


私は上体を起こし、辺りを見渡す。


「う……うぅ……、な!! いったい何匹に増えてるの!!」


ディアは部屋を埋め尽くすほど増えていた。


床だけでなく、壁や天井までブラットディアで埋め尽くされている。


日の光が窓や家の隙間から入ってくるはずが、ブラットディアに防がれて部屋が暗黒に満ちている。


――やばい、トラウマになりそう……。


「ど、どうしてこんなに増えちゃったの……」


私は顔を引きつらせてディアに聞く。


「分かりません!! 魔力が有り余りすぎてこれだけ繁殖してしまいました!!」


「べ、ベスパ……。お、起きてる」


「起きてますよ……。って! こんなにでてきても仕方ないでしょう! さっさと戻ってください!」


ベスパが叫ぶと大量のブラットディアがゾゾゾゾッと移動し、布団の上にディアだけがぽつんと残る。


「出てくるのなら1匹だけにしてね」


「大変申し訳ありませんでした!! 以後気を付けます!!」


「す、すごく潔いね。それで、何か用?」


「私達は何をしたらいいのでしょうか!!」


「あぁ、言ってなかったね」


私は魔造ウトサの話をディアに説明した。


「ななな……何と、それは許されませんね!! 私達もキララ女王様に力を貸します。魔造ウトサを食べあさり、消滅させたあと街に蔓延ればいいのですよね!!」


「簡単に言うとそうだね。魔造ウトサに大量の虫が寄ってくるという悪い印象を付けさせれば、王都で使用したりしないと思う。そう上手くいくかは分からないけど、何もしないよりは全然ましだよ」


「そうですね。我々は人族に相当嫌われているようですから!! 最悪の印象を与えられるでしょう!!」


ディアは自分をけなした。


「自分で言っていて、悲しくならないの?」


「全く悲しくありません!! 逆に誇らしいです。私達を容易に倒せる人族が恐怖しているその姿を見るのがとても楽しいのです!!」


「はは……、変わった性格してるね」


「そう言えば、キララ女王様は私達を見ても平然とされていましたね」


「まぁ、他にもっと苦手な虫がいるからかな……」


私はベスパの方を向く。


「ちょっと、キララ様! 私とディアを比べないでくださいよ。どう見ても、私の方が美しいじゃないですか!」


ベスパは黄色の短髪を靡かせながら、空中を優雅に漂っている。


「はいはい、そうですねー。黄色と黒色を基調にした外装を着たベスパ。黒光りのディア。はぁ……何で私には可愛らしい虫が寄ってこないのかな」


私はため息をついて頭を抱える。


私はドリミア教会を驚愕させられるくらいの数増えておいてとディアに伝えておいた。


ディアは大きな声で『了解!!』とだけ言い、家の隙間に潜り込んで行った。


「キララ様、あのような言い方でよかったのですか。私は嫌な予感しかしません」


「でも、あの子、どう見ても頭悪そうだし、難しい話しても理解できなさそうじゃん。だから単純な命令にしておいたんだよ」


「まぁ、確かにそれがいいかもしれませんね」


私はベッドから降りて寝間着からいつものボロ服に着替える。


着替えたあと部屋を出て、居間に向いテーブルに手をつきながら椅子に座る。


「はぁ……、なんか朝からドッと疲れたよ」


「いきなりあれだけの数が増えましたからね。ですが、私にとっては魔力の分散対象が増えて楽になりました。ブラットディアはビーよりも体が大きいので、その分魔力を多く溜めてくれます。キララ様にとっては、受け取る量と分散する量が増えますから、初めは疲れると思いますがすぐ収まりますよ」


「そうだね。動いていればしだいに楽になるかな。それじゃあ、仕事に行こう」


「了解です!」


私とベスパは玄関を出て牧場に向った。


牧場の休憩所に立ち寄り、畑の進行状況を見る。


「えっと。この四角だけだと思ってたんだけど……」


私の目の前には耕されまくった土が広がっていた。


「おーい! ズミちゃん! どこー」


私はズミちゃんに呼び掛ける。


すると、土が浮き上がりつるつるの頭が見える。


「あ、キララさん。おはようございます。四角内の土は食べ終わったので、周りの草と土も食べておきました。夢中で食べていたらいつの間にか5倍くらいに広がってしまいましたね」


「そ、そうなんだ……。えっと、うん、まぁ仕方ないか。ベスパの時よりマシだし」


「キララ様、私とまた比べているのですか」


ベスパはやれやれと言った表情で空中を浮遊している。


「だって、ベスパの時はほんとうにどうしたらいいか分からなかったんだから。山みたいな牛乳パック、今でも少し残ってるでしょ」


「そ、それは私が優秀だという証明ですよ」


ベスパは胸を張って主張する。


「はいはい……。それじゃあ、ベスパ。ズミちゃんに牛乳パックと牛乳瓶をあげて」


「了解です。今日の朝に丁度飲み終わって、捨てるはずだった物を持ってきました」


ベスパはオメちゃんの近くに牛乳パックと牛乳瓶を落とす。


「ありがとうございます。いただきます」


ズミちゃんは覆いかぶさるように食べた。


今のところまだ愛らしさはあるが、オメちゃんみたいな大きさになると思うと、ぞっとする。


私はズミちゃんの頭を撫でたあと、土の状態を確認した。


その場にしゃがみ込み、土を手に取って握る。


「うん、いい感じ。あとは14日くらい放置すればいいかな」


私は畑をあとにして、日々の仕事に取り掛かった。


それから5日間、仕事漬けの生活が繰り返される。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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