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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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地下の金庫

「あれ? みんなどうしたの……」


「姉さん、こんな所に石の蓋なんてあった?」


ライトは畳一枚分ほどの石の上に乗っていた。


「え……。あ! あぁ~忘れてた。皆に説明しておかないといけなかったね」


今朝、金庫がとっくに完成していたのを、私はすっかりと忘れていた。


でも、夜に言おうと思っていたので丁度よかった。


――それで、ベスパ。あのふたは何?


私は石の蓋を指差して聞く。


「あの石蓋は金庫までの入り口です。あの蓋を開ければ、中は空洞になっています」


ーーそうなんだ。


「ライト、その石蓋を開けると金庫に繋がっているんだよ」


「金庫……、え、昨日、姉さんが言ってたやつ?」


「そう。もう完成したみたい、あはは……皆んなに言うのを忘れていたよ」


私は右手を後頭部に当て苦笑いを浮かべる。


「じゃあお姉ちゃん、この蓋を開ければいいの?」


シャインは石蓋に1つある凹みに手を添えながら聞いてくる。


――ベスパ、開けていいの?


「はい、問題ありません。この蓋を開けられたところで金庫にはたどり着けませんから」


――え、どういう意味……。


「それは見てのお楽しみですよ」


――何それ。まぁ、いいけど。


「シャイン、開けてみて」


「了解〜」


シャインが力を入れると畳状の石蓋が持ち上がる。


ーー石の蓋だよ。畳一枚くらいあって、厚さ15センチくらいあるのになんでシャインは片手で簡単に持ち上げられるの……。


私はシャインの怪力を目の当たりにして引いてしまった。


「真っ暗だ。光を出すね『ライト』」


ライトは魔法杖の先から光を放ち、洞窟の中を照らすと階段が見えた。


「何か、ダンジョンみたいなんだけど……」


「キララ様、正解です~。私達張りきってダンジョンを作ってしまいました~」


――はぁ? ダンジョンを作ったって……何で? 金庫を作るって言ってたじゃん。


「それがですね……。金庫は早々に作れたんですけど、あまりにもつまらないので、金庫を最終地点としたダンジョン形式にしてみました。これで強盗が来ても、心配する必要は全くありません。万が一侵入されても、このダンジョン内で閉じ込めておけちゃう優れものです」


――まぁ、確かに一本道だったらすぐ誰かに見つかっちゃうけど。ダンジョンなんて面倒な施設をよく作ったね。地面が沈没したりしない?


「問題ありません。キララ様の魔力を練り込んだ地面を使っております。圧縮に強く、加えて柔軟性も兼ね備えてますので押しつぶす圧力や地震の揺れに対応して完璧な処置をしております。たとえ、キララ様の魔力が消えた場合でも、ダンジョン全体が六角形の形になっており、圧力が分散する仕組みですのでご安心ください」


――まさか、土にまで私の魔力が渡るなんて……。まぁ、いいや。


「姉さん、これダンジョンなの!」


「お姉ちゃん、私ちょっと見てきてもいい!」


ライトとシャインは瞳を輝かせている。


ーー好奇心旺盛な時期だから仕方ないけど、ダンジョンの何が楽しいんだろう……。


「うん、ダンジョンになってるみたい。行ってみようか」


「それじゃあ、僕が先に行くよ」


「いやいや、私が先に行くよ」


「シャインが先に行っても道を照らせないだろ」


「ライトが先に行ってもビビって進めないくせに」


――あぁ……。また始まった。


「こらこら、2人とも。仲良くしなよ」


お父さんが2人の間に入り、喧嘩を止めようとする。


「お父さんは黙ってて!」×2


ライトとシャインは物凄い剣幕でお父さんに怒鳴った。


お父さんは口を半開きにして、呆然としている。


その姿に父の威厳は微塵も感じられなかった。


「それじゃあ、2人で先に行きなさい。私達はその後に付いて行くから」


お母さんがライトとシャインに助言すると、2人はおとなしく従い、ダンジョンの中に入っていく。


――さすがお母さん。ライトとシャインに何も言わせず喧嘩を治めるなんて。2人もこれ以上やると怒らせると思ったのかな。


「姉さん、道が何本も枝分かれしてるよ!」


ライトの声が入り口にまで聞こえてきた。


「分かった。私達も行くよ」


私とお父さん、お母さんはダンジョンの中に入っていく。


私たちはライトの灯りを目印にしてまっすぐ進んだ。


初めは狭かったのだが、進むにつれて広くなっていく。


少し歩くと一室ほどの空間にたどり着いた。


ーー1.2.3.4.5.6.7.8……8つの道って、多すぎない。


「それはお金を守る為ですから。道はまだまだありますよ」


ベスパは胸を張って飛ぶ。


「ライト、シャイン戻ろう。このまま行くと大変な目に合いそう」


「え~、もうちょっと遊びたいのに~」


「そうだよ~。ダンジョンなんてワクワクするじゃん」


――ベスパ、この入り口から金庫のある場所へどれくらいの時間がかかるの?


「そうですね。8つの道を抜けたあと、8階層同じ部屋があります。全て一発で通り抜けていけばそれほどかかりませんけど、別の道に入ると底なし沼にはまりますから、一生到達できません」


――何それ。8の8乗で……16777216分の1でたどり着ける計算になるんだけど。


「本当は8つの道の88階層でもよかったんですけど……。さすがに1日では作れませんでした」


――じゃあ。1日じゃなかったら88階層になってたんだ。計算できないや……。まず、何で金庫をダンジョンにしちゃったの?


「お金をとられないようにするにはどうすればいいか考えた時、ダンジョン型金庫にすれば、簡単に取られないと思いついたのです!」


――まぁ、絶対に取られないだろうね。私達も取りに行くの大変だけど。


「心配いりません。ライトさんの魔法陣を事前に置いておきました。あとは金貨をもう一方の魔法陣から金庫に送ればダンジョン金庫の完成になります」


――なんだ、もう先に置いてあったの。だったら先に言ってよ、わざわざ入る必要なかったじゃん。


「せっかく作ったんですからキララ様に一度見て貰おうと思いまして」


――はいはい、見たよ。これでいいね。


「十分です。キララ様の笑顔が見れただけで、私は感無量です」


――私がいつ笑ったよ。まぁ、いいか……。


「2人とも、早く帰るよ~! 間違った道に行くと底なし沼にはまるんだって~!」


私は入ってきた道に戻りながら2人に声を掛ける。


「ん~~、シャイン。なんか行けそうだね」


「そうだね。ライト、道案内お願い。私が突っ走るから」


「ちょ! 2人とも」


「『ウィンド』『空間把握』」


「いっちに~さんし~ごおろく~しちは~ち」


ライトとシャインはそれぞれ準備を始める。


どうやらスイッチが入ってしまったようだ。


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