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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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牧場で昼休憩

「はぁ~。怖かった~、いきなり追いかけられるから、何事かと思ったわよ~」


「メリーさん。バートン達に悪気はないので怖がらないでください。ちょっとおバカなだけなので」


「それならいいんだけど……。それに、してもこの牧場…凄く良い所ね。とても落ち着く。仕事も昔に比べたら最高に楽しいし、食事に寝どこまで付いてるなんて夢みたい」


「そう言ってもらえると嬉しいです。私は、メリーさん達みたいな身寄りのない子供が将来どうやって生きたいかを考えられるようにしたいんですよ。その足掛かりになるのがメリーさん達ですから、ぜひ楽しい生活を送ってください」


「ありがとうキララちゃん。それじゃあ、私は仕事に戻るわね」


「はい、バートンに乗れるようになると、もっと楽しいので頑張ってくださいね」


私はメリーさんに手を振る。


「よし……。昨日入った3人は随分馴染んでるみたい、よかったよかった」


私は、ある程度牧場を見回ったあと露店の方に向った。


「うん、今日も繁盛してるね。いい感じ」


「あ、キララさん。いらっしゃいませ」


露店の前で仕事を頑張っていたのは、ガンマ君だった。


ガンマ君は牛乳パックの入ったクーラーボックスを何個も運んでいる。


「大丈夫、重くない?」


「はい、これも鍛錬ですから……」


「た、鍛錬?」


「そうだよ、お姉ちゃん」


「うぁあ! しゃ、シャイン。いつの間に後ろにいたの」


私の後ろにいきなりシャインが音もなく現れた。


――さっきまでいなかったはずなのに、まるで忍者だ。


「それで、ガンマ君。鍛錬って?」


「はい、シャインさんに着いていくための鍛錬です。今日の朝は不甲斐なく、着いて行けませんでしたから」


ガンマ君はクーラーボックスを運びながら私の質問に答えてくれた。


「もう、シャインさんじゃなくてシャインでいいって言ってるのに。同い歳なんだから、さん呼びは変だよ」


「いえ、僕はまだひよっ子なのでシャインさんと呼びます。いつか認めてもらえたらその時は普通の名前で、呼ばせてください」


「も~、律儀なんだから」


『バシッ!』


「痛った!」


シャインはガンマ君の背中を叩き、笑う。


「シャイン、なんかうれしそうだね」


「え、そう見えるの?」


「うん、やっぱり歳が近い子がいると楽しいのかな」


「う~ん……そうかな~、多分そうだよね」


「かわった返答だね。よく分かってないの?」


「うん、よく分からない。つい目で追っちゃうんだよね。頑張ってるところとかさ……」


シャインはクーラーボックスを懸命に運ぶガンマ君の方を向いて、眺めていた。


「そ、そうなんだ……。へぇ~、まぁいいんじゃない」


――ど、どうしよう。シャインが乙女に成りかかってる。あの剣にしか興味のなかったシャインが、キラキラした瞳をするなんて。ガンマ君、ナイス! シャインをもっと乙女にしてあげて。


「ガンマ君の姿を見るとさ……。無性に鍛えてあげたくなっちゃうんだよね」


「へ……。あ、あれ思ってたのと違う。もっとドキドキ系かと、それか甘酸っぱい関係になるのかと思ってたのに」


「何言ってるのお姉ちゃん……。私がドキドキするのはアイクさんだけだよ」


――もっと年上だったか~! と言うかそうだったの! お姉ちゃん初めて聞いたんですけど。


「え、ええ……初耳初耳」


私は食い入るように実の妹に近寄って話を聞く。


「アイクさんと戦ってる時だけ、私は息切らされたんだよ。すっごい剣さばきでさ……。全然歯が立たないの」


「あ~そっち~なのね……。そうなのね……」


「あの、キララさんとシャインさん。お客さんの邪魔ですよ」


「あ、ごめんなさい」×2


ガンマ君はしっかり者だった。


仕事も丁寧で、お客さんへの気配りも完璧。


私に石を投げつけてきた子だとは思えない。


ただ問題点を1点上げるとすれば……。


「あ~。お兄ちゃ~ん! お仕事頑張ってる~」


テリアちゃんがガンマ君に手を振っている。


「テリア! もちろん頑張ってるよ~! ちょっと待ってて、今すぐ行くから」


ガンマ君は飛び跳ねながら両手を振っていた。


その姿を見て分かる通り、ガンマ君は重度のシスコンだった。


――まぁ、妹を天使とか言うくらいだからね……。


私はほぼ全ての個所を回り、皆の仕事ぶりを見た。


一生懸命に働く姿は子供ながらに感動してしまったよ。


加えて皆楽しそうに仕事しているものだからなおさら、アイドルのお姉さんは胸を打たれてしまった。


「それじゃあ、皆で昼休憩だね。ベスパ、昼食の用意してくれる。牧場のちょっとした広場で食事にするから」


「了解しました! 黒パン29個、牛乳瓶29本、チーズ半欠片29個、ビーの子入りの袋29個、その他諸々持ってきます」


「よろしく」


私は昼休憩を伝えながら、各場所を再度回る。


数分で皆が広場に集まってきた。


私と子供たちは魔法を使って精製した水で手を洗い、うがいも忘れずに行う。


「キララ様、お持ちしました」


――それじゃあ、皆に配っていって。


「了解です」


ベスパとビー達が広場にいる、皆に昼食を配っていく。


「キララさん。また食べてもいいんですか……」


ガンマ君は申し訳なさそうに昼食を抱えている。


「いいんだよ。頑張ってお仕事したんだからすごい疲れてるでしょ。昼食はいい気分転換にもなるし、午後の活力にもなる。今のところ昼食を入れても資金は余りそうだから、気にしないで食べて」


「それじゃあ……遠慮なく」


ガンマ君は黒パンを手に取り、小さく千切ったあと口に放り込む。


黒パンは硬いので唾液や牛乳でふやかしながら食べていた。


他の子供達も皆、昼食を楽しみ始めた。


遠慮をせずに食べてくれると、私も気が楽になる。


従業員の不満を解消するのは会社を運営するうえで最も重要な改変であると私は考えているので、色々と考えた。


私達の牧場で言えば、食事を出す。


これだけでお腹が空くという不満を解消できるのだ。


子供達のやる気は漲り、効率は上昇、加えて生産性も上がれば私は、うはうはだ。


「さてと、私も何か食べようかな」


私は広場の木で作られたベンチに座る。


子供たちは自分の好きな所で食べているらしく、ちょっとした遠足気分だった。


きっと牧場の校外学習と言えば伝わるだろう。


「ハグ……。やっぱり硬い。いつか白パンを配れる日が来るのかな。そうなると、食費は10倍。大変な額になりそうだ」


私が昼食を得ている時、牧場にある人物が訪ねて来た。


「お~、何ともまぁ元気な子供たちがいっぱいだな~」


「あ、村長さん。こんにちは。大きな荷台を返して以来、挨拶に行けずにすみませんでした。わざわざ来ていただけるなんて」


「いやいや、仕事をしてないんでね。時間は余りまくってるのよ。木の加工以外特にやることもないんで、散歩がてら寄ったんだ」


「そうだったんですか。いつも牧場を贔屓にして頂きありがとうございます」


「美味いし安い、使わないわけないだろ。加えて、子供の少ない村にこれだけ多くの子供を連れてきてくれたんだ。感謝してもしきれないよ」


村長さんは光に照らされている頭をポンポンと叩きながら、笑う。


出っ張ったお腹とつるっぱげのせいで、校長先生感が漂っていた。


「キララちゃん、今は何をしているんだい?」


「今はお昼休憩がてら、皆で昼食をとっています。働きっぱなしもよくないので」


「ほぉ~、しっかりしてるな~。ジークとは大違いだ」


「ちょっと、村長。俺は関係ないでしょう」


「昔の手取りに比べたら、相当上がっているだろ。キララちゃんには頭が上がらないな」


「うぐ……」


どうやらこの世界でも月収や年収の話になると男の人は弱いらしい。


お父さんは相当根に持っているみたい。


――別に昔の月収とか今更どうでもいいのに……。まぁ、周りから見れば、私に働かせてもらっていると見えてもおかしくないか。実際はお父さんもちゃんと働いてお金貰っているのだから今の月収を誇ってもいいと思うんだけど……。


「ジークも子供たちに負けないよう懸命に働くんだぞ」


「分かってますよ」


お父さんは不貞腐れたようにそっぽを向く。


その光景を見ると、お父さんが子供っぽくて少し面白かった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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