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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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6月の売上金額

「さてと、ベスパ、家に帰るよ。全部の金貨を持ってね。私じゃ持てないから」


「任せてください」


私の頭上を飛んでいたベスパは荷台の方に飛んでいく。


硬貨の擦れる音がじゃらじゃらと聞こえ、いつの間にか私の後方に大きな袋と小さな袋が数個浮かんでいた。


「この中に金貨が入っているんだ。凄い」


「今回の儲けは牛乳パック10本を金貨5枚で5名に売ったので25枚。ルドラさんに冷蔵車を売り金貨50枚。カールさんに卵の利益を分けてもらい金貨10枚と店の売り上げの半分5枚、計15枚。こまごまとした金額は抜きに考えて約金貨90枚になります」


「凄い枚数だね。しかも材料費はほぼゼロ。まぁ、子供達も増えているし。これくらいないと普通の生活をおくらせてあげられないよね」


私達は軽い足取りで、家に帰っていた。


私の後ろには金貨がありベスパが動く度に硬貨の擦れる音が聞こえる。


なんて心地いいんだろう。


――いかんいかん、お金に目をくらませるところだった。お金自体に価値はない。お金を使って何かを得てようやく価値を生むんだよ。これを忘れちゃダメ。お金を使うときは本当に必要な物かどうかを考えないと。でも、ご褒美に良いベッドでも買っちゃおうかな……。


「キララ様、顔と気持ちがあっていませんよ」


私は前を行くベスパに話しかけられた。


「え、そうなの?」


「キララ様の顔を再現するとこうですね。にちゃ~~」


ベスパは眼を細め、口角を出来るだけ上げており、とんでもなく嫌な顔をしていた。


「うわぁ……。わっるい顏。私そんな顔してたんだ。気を付けないとお金を見ただけで悪人顔になっちゃうかも」


私は頬を掌で円を描くように揉み込む。


――表情筋を鍛えて笑顔を出来るだけ絶やさないようにしておこう。


☆☆☆☆


私達は家の前に到着した。


私は家の扉を叩く。鍵が閉まっていて開かなかったのだ。


「お母さん、ただいま~。何で扉の鍵を閉めてるの~」


ドドドドドッという音と共に扉が開いた。


「キララ、早く中に入って」


「へ? は、はい」


お母さんの顔は凄く険しい顔をしていた。


――何かあったのかな。


「あ、お姉ちゃんお帰りなさい」


「お帰り、姉さん。帰ってきていきなりだけど、聞いてほしいことがあるんだ」


シャインとライトはテーブルに座り、暗い表情を浮かべている。


「ど、どうしたの……。そんなに深刻そうな顔して。何かあった、もしかして子供たちが何か問題を起こしちゃったの」


「え? 深刻そうな顔。僕、そんな顔してるの」


「ん? 凄いしてるよ。ライトとシャインはどっちも何か悪い表情をしてる」


「え……私もなの、お姉ちゃん」


「うん。お父さんとお母さんも、悪い顔してるよ」


「そうなのか?」


「あら、そうなの?」


「ん~」×5人


「ふっ」×5人


私達は顔を見合わせ、噴き出して笑った。


「見てよ! 姉さん、この枚数」


ライトは数字がいっぱい書かれている紙を見せてきた。


「これは、牛乳の売り上げ金額だよね」


「そう、6月の利益を計算したんだ。今、僕達は村に毎日1000本の牛乳瓶を配ってる。牧場がやっている牛乳配達を利用している人は500人くらいだから、1人1日2本くらい飲んでるんだね。1本銅貨1枚だから、牛乳瓶だけで金貨10枚の売り上げ。6月の初日から30日間、毎日同じ水準を保ち続けて金貨300枚を突破したよ! これに他の売上金額も足したら……400枚! 先月の枚数を優に越したよ!」


「す、すごい……。でもこっちも負けてないよ~」


――ベスパ、テーブルの上に金貨の入った袋を置いて。


「了解」


ベスパはテーブルの上に金貨の入った袋をすべて置いた。


ライトはテーブルに置かれた袋の中身を覗き、瞳に金色の光を反射させた。


「こ、これ……。全部金貨なの、姉さん」


「そう、90枚。1日で金貨90枚は凄いでしょ~。今回はたまたまだけどね。本当はもっと少ない」


「それでも、90枚は凄いよ。父さんの昔の給料90ヶ月分をたった1日で稼ぐなんて、さすが姉さん!」


「ら、ライト……、お父さんの昔働いていたころを基準にするのは……」


「それを言うなら6月は私達でお父さんの400ヶ月分を1ヶ月で稼いだんだよ!」


「うぐぐ……シャインまで」


お父さんは家の隅っこで蹲り、全身から負の雰囲気を放っていた。


「あなた達、もうやめてあげて……。お父さん、ふさぎ込んじゃったわ」


お母さんはお父さんの背中をさすりながら2人に話しかけた。


「ご、ごめんなさい……」×ライト、シャイン


「でもこうなると……。お金を置く場所が大変だね」


「そうなんだよ、姉さん。この家に置いてあっても盗んでいく人は、この村にいない。そんな悪人は僕の魔法で消す」


ライトは『消す』の一言で眼の色を真っ黒に変えた。


「私の木剣で真っ二つの方がいいんじゃない?」


シャインは『真っ二つ』の一言で声色を変える。


「いやいや、2人とも甘いですね。お金を盗む悪人は上空8888メートルに吊るす方がいいでしょう!」


――ベスパ、何言ってるの……。それにライトとシャインも目が怖いよ。


「まぁ、悪人の懲らしめ方は置いておいて。金貨を家に置いておく部屋がないんだよ。どうしよう、姉さん」


「そうだな……。本当は金庫とかに入れておきたいけど、毎回取り出すの面倒だよね。金庫を置く場所も無いし」


「キララ様、私達が金庫を作りましょうか? 難なく出来ますよ」


――ベスパ達の作ったものは火に弱いでしょ。火事になったら燃えちゃうじゃん。


「なら、地下に作りましょう。必要な時に都度、私達が取りに行けばいいだけです」


――地下か……。確かに安全そうだけど、ベスパ達に運ばせるのもな。私がいつも村にいるわけじゃないし。


「姉さん、僕の作った魔法陣なんだけど。使えないかな?」


私が悩んでいたところ、ライトは2枚の紙を取り出し、見せてきた。


「これはいったい何の魔法陣なの?」


「物や魔力が移動するんだよ。こっちの魔法陣から、もう1枚の魔法陣に一瞬でね」


「え……凄い。それって人も移動できるの?」


「それは無理だよ。生き物が入ったらばらばらに分解されて消えちゃう。だから物とか魔法にしか使えない。加えて距離が1キロメートくらいしか離せないんだ。たった1キロメートなら普通に走って持って行くのと変わらない。あと、何枚も分けて使えない。実際は使えるんだけど複数枚使うと、行き先がばらけるんだ。だから実用性はあんまりないんだけど……」


私はライトの魔法陣を見て、考えがまとまった。


「いいね。凄くいい……。やっぱりライトは天才だよ。よし、地下に金庫を作ろう」


「え、姉さん、いきなり何言っているの?」


私の発言にライトが呆気に取られていた。その時の表情が私とそっくりでやはり姉弟なのだと痛感させられる。


「だから、地下に金庫を作るんだよ。今からね」


「い、今から……」


――ベスパ、家の地盤が緩まないようしっかりと補強したあと、出来るだけ広めの金庫を地下に作って。さっき出来るって言ってたよね。


「もちろんです! たとえ噴火や地震が起きても潰れない完璧に地盤を補強したあと、キララ様に見合った巨大な金庫を作成します! こればっかりは時間が掛かりますので、キララ様の魔力をふんだんに使わせていただきますね」


――もちろん。好きなだけ持って行ってよ。私の体に不調が出ない程度でね。

「了解! では、今から作業を開始します」


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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