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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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3人の子供達を連れて村に帰る

「ただいま戻りました……。よいしょっと。ふぅ~、凄く疲れましたよ」


「ほんとにすごかったね、キララちゃん。お金をいっぱい浴びていて凄い嬉しそうだった」


セチアさんは私に満面の笑みを向けてくる。


「な、なんかその言い方だと私が凄い悪人みたいじゃないですか。セチアさん……」


「あはは……、ごめん」


「カイト君はもう寝ちゃったんですね。疲れちゃったのかな」


「そうね……。ずっとはしゃいでいたから、相当疲れてると思うわ」


カイト君はメリーさんの肩に寄りかかり、眠っている。その寝顔はとても幸せそうだ。


「それじゃあ、帰りましょうか。村の皆が待っています」


「うん。行こう……」


セチアさんは少し悲しげな表情をしていた。


そりゃそうだろう、大切な人が意識不明の状態なのだから。


でも、未来のためにお金を稼がなければならないと、セチアさんは決心した。


若干12歳で、お金を稼ごうと決意するなんて凄いと思う。


「よ~し、いっぱい働くわよ~」


メリーさんは昨日の暗かった表情から一転し、美人な巨乳お姉さんになった。


「レクー。安全走行でお願いね。急に発進するのと、急に止まるのは危ないから気を付けて」


「はい、分かっています。ベスパさんもいるので問題なく運べます」


――大分、頼りにされてるんだね。ベスパ。


私はレクーの頭上に飛んでいるベスパに脳内で語りかける。


「そりゃ~もう、私とレクーさんは親友関係ですから~。キララ様にはまだいませんよね~。親友~」


ベスパは私を煽るように語尾を伸ばして発言する。


――な~んでそんなイラつく言い方するかな~。燃やしてほしいの~。


「いやいや~。キララ様にも親友の大切さを知ってもらいたいのですよ~」


――私でも親友の大切さくらい知ってるから……。いいもん、親友くらいすぐ作れるもん。


「そうだといいですね~。キララ様~」


私には親友を作れないとベスパに思われていた。


――はは、私もなめられたものだな……。親友の作り方くらい……、親友の作り方くらい、あれ? まずそもそも、友達ってどう作るんだっけ。えっと、ベスパ、友達の定義ってなに。


「そこからですか……キララ様」


私は必死に親友の作り方件、友達の作り方を思いだしながら街を出て村に戻った。


移動中に何とか思い出すだろうと考えていたが、一向に分からない。


――あれ、私に友達っていた……? スキルを貰う前はアイクとよく魔法の練習をしてたけど、ただの練習相手だったような気もする。また会おうとは伝えたけど……。アイクは友達、それとも親友、境目が分からない。


「キララ様~。あんまり深く考えると沼に落ちますよ~」


――確かに……、友達と親友の境目を考えだしたら、一生が終わってしまいそうだね。


「キララちゃん、この干し肉凄く美味しいよ。はい」


セチアさんは一口大に裂かれた干し肉を私に手渡してきた。


「ありがとうございます。はぐ……。うん、美味しい。これがうま味か! って思うくらい味が出てきますね」


魔物の干し肉の味を言うなれば、鰹節を噛んでいる時と同じだ。


硬さで言えばスルメに近い。


確かなうま味を干し肉から感じる。


――あれ、普通に焼いて食べるより美味しいのではないだろうか。味のしないただの焼肉より、うま味を感じる干し肉の方が食欲をそそられるのだけど。


私は千切った干し肉を噛み締めながら、手綱を持っている。


車内でガムを噛みながら運転している気分になる。


異世界で夜道のドライブだ。


――友達だとか、親友だとか、今は置いておいてまったりとした気分を味わおう。ああ……干し肉美味しい。そう思えるだけで幸せを感じられる。


私達は、夜の空気に触れながら村まで戻った。


☆☆☆☆


「ここが、キララちゃんの住んでいる村か~。なんか落ち着いているね。寒気を全然感じないよ」


セチアさんは息を大きく吸って、深く吐き出す。すっきりした表情で口角を上げた。


「この村では、犯罪がほぼ起こらないんです。お酒を飲んだお爺ちゃん達が子供っぽい争いをするくらいですね」


「え~、何それ~。凄い平和じゃない。こんなに良い所があるなんて~。私達、ここに住めるのよね」


メリーさんは大きく伸びをしてだらんと腕を落とす。


そのさい、大きな胸が震え、音を立てるかと思った。


「ん……あれ。ここは……」


カイト君は手の甲で目尻を擦りながら、辺りを見渡す。


「ここは、私の住んでいる村だよ。これからカイト君の住む村にもなるんだ」


「キララさんの住んでいる村。ここがそうなんですね」


カイト君は口角を嬉しそうに上げてメリーさんに抱き着いた。


「今日からここに住むんだよね、お姉ちゃん」


「うん、そうだよ~。明日からいっぱい働こうね~」


「うん! 僕、頑張るよ」


どうやら皆は村の雰囲気を気に入ってくれたみたいだ。


「それじゃあ、皆さんの住む家に送ります。先に住んでいる人がいますから。知り合いだといいんですけど。セチアさんと一緒にいた子供たちはそこにいますから、きっと喜ぶと思いますよ」


「そうだった。私、ラルフのために街に残ったんだ。みんなをほっておいちゃった。どうしよう、嫌われてるかも……」


セチアさんは視線を下に向けて、表情を暗くした。


「何、言ってるんですか。みんな待ってますよ」


「そうだといいな……」


私は昨日決めたお家に3人を連れて行く。


これでやっと24人、あと1人は今も戦っている。


25人、そろう日を願おう。


「ん? あ~みてみて、お兄ちゃん。キララさんのバートンだよ~」


「あ……、本当だ。街から帰ってきたんだ。3人あたらしい人を連れてる。あの人たちが今朝、言ってた人たちか」


テリアちゃんとガンマ君は私達の方を向いて手を振ってくれた。


私も右手を上げて大きく振る。


「お帰りなさい、キララさん。えっと、こちらの方々は……」


ガンマ君は3人を見て名前が分からず動揺している。


「初めまして……かな。セチア・サスリエ、12歳。よろしく」


「私はメリー・ポーシャ、13歳。よろしくね。こっちは……」


「僕の名前はカイト・ポーシャです。5歳です。よろしくお願います」


3人は荷台を降りて、テリアちゃんとガンマ君に挨拶をした。


「初めまして、私の名前はテリア・サリンズと言います。4歳です」


「初めまして、僕の名前はガンマ・サリンズと言います。7歳です」


5人は簡単に挨拶を交わした。


「それじゃあ、テリアちゃんとガンマ君、新しく村に来た3人をよろしくね。今日はもう遅いから、家の中でゆっくり話をしたらいいよ」


「は、はい。分かりました。えっと、お三方こちらです」


ガンマ君は緊張しながら、3人を家の中に招き入れた。


家の中から再開を喜ぶ声が聞こえる。


きっとセチアさんを知っている子供たちが泣き付いているのだろう。


本当の親子じゃないけど、子供たちにとってはお姉さんそのものなんだ。


「テリアちゃん、もう夕食は食べた?」


「はい。シャインさんとライトさんが持って来てくれました。今日も美味しかったです。お腹いっぱいで、凄い幸せなんです。キララさん、ありがとうございます!」


テリアちゃんは天使のような笑顔を私にくれた。


「それはよかった。テリアちゃんが幸せそうな顔を浮かべていると、私も嬉しくなっちゃう」


私はテリアちゃんの頭を撫でた。


――テリアちゃんは本当にいい笑顔をするね。ガンマ君が天使と称するだけはあるな……。


「それじゃあ、お休み。明日もよろしくね」


「はい! 一生懸命に頑張ります」


テリアちゃんは、私達が見えなくなるまで手を振ってくれていた。


その後、私はレクーを厩舎に送りとどけて食事を与えた。


「今日もありがとうね、レクー。お疲れさま」


私はレクーの頭を撫でてお礼を言う。


「今日も、キララさん達を安全に運べてよかったです」


「明日からの7日間は、レクーにとってお休みみたいな日々だと思うから、しっかり休んでね」


「はい、日頃の鍛錬は怠りませんけど、好きに走ります」


私はレクーと少し話をしたあと、実家に向う。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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