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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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売り上げの分け前

「ふぅ~。疲れましたね~。どうでしたか、おじさん。面白かったでしょ」


「あぁ……こんなに売れたのは初めてだ。それにしても、嬢ちゃん凄いな。いったいどれだけ1人でこなしてた。俺は金を数えて、その分の干し肉を包んでただけだぞ」


――ああ……そうか。おじさんには何も見えてないんだった。私が全部やっているように見えてたんだ。どうやって誤魔化そう……。


「えっと、まぁ、慣れてるので」


私は満面の笑みで誤魔化した。


やはり笑顔はいつでも使えるいい武器だ。


しかも、めちゃくちゃ可愛いんだから、効果は絶大なんだよな。


自分を可愛いってあんまり言うと自分大好き人間と思われるかもしれないが、別に私は自分の顔が特別可愛いとは思っていない。


だが、例え可愛くなくても自分だけは超絶可愛いと思っておいた方がいい。


イケメンじゃない人も同様だ。


自分に『不細工!』なんて言っていたら気分が落ち込んでしかたない。


だから自分自身だけは自分を褒めないとダメなんだよ。


と……、友達だった女芸人さんに教えてもらった。


だから今でも、私自身可愛い~って思っている。まぁ実際可愛いんだけどね。


「そうか。でも、明日から俺は1人でやっていけるだろうか……」


「大丈夫ですよ。丁寧に接客していれば少なからず常連さんは生まれます。その人を絶対に逃さないよう努力していれば、いつの間にか大きく成長しているはずです!」


――私は会ってまだ1日も経っていない人に何を教えているんだろうか。


「そうだな。ありがとう、嬢ちゃん。俺、明日からも頑張れそうだ」


おじさんの笑顔は、先ほどの怖い笑顔より多少ましになっていた。


「はい、頑張ってくださいね。私も7日に一度、この市場によく現れますから、その時に様子をうかがうかもしれません」


「ああ、俺もいっぱい儲けて、王都に進出してやるぜ! 待ってろよ、王都の貴族共。俺が貴様らの地位を奪い取ってやる」


「はは、熱量は凄いですね。まぁ、大きな夢を持つことはやる気に繋がりますから大切ですけど……」


――大きすぎる目標は挫折しやすくもあるんだよな。小っちゃい目標をコツコツ積み上げた方が結果は大きく成長しているものだし。かく言う私も、小さい仕事をこつこつ積み上げた結果、1番のアイドルになれたと思うし。


「じゃあ、おじさん。私はもう行きますね。待たせちゃっている人がいるので」


「あ、ちょっと待て。これを持ってけ!」


おじさんは私に向って、小袋と包みを投げた。


私が取ろうとしたらベスパが先に受け止めてしまい、空中に浮いている。


「いや~本当に便利だな、その空中に浮かせるやつ。スキルか?」


「ま、まぁ、スキルですね」


「そうか。俺は『乾燥(ドライ)』スキルだ。日持ちする食べ物を作れるくらいが取り柄のスキルだな」


「へぇ~。いいですね『乾燥』。洗濯物とかすぐ乾かせば干す必要ないじゃないですか」


「まぁ……、梅雨の時期には確かに使えるな」


おじさんはなぜか虚しそうな顔をする……。


「なんでそんな顔するんですか? 今の職業と凄く合っているじゃないですか」


「妥協して選んだ職だからな。実際は冒険者になりたかったんだよ。冒険者になるには、このスキルじゃ、心許なすぎるだろ」


「そうですね……。でも手で触れて相手の血液を全て乾燥させちゃえば、凄く強くないですか」


「それが出来れば苦労しないよ。俺が血液を完全に乾燥させるためには3分以上掛かっちまう。それに俺は運動神経が全くない。3分間も動かないで触らせてくれる魔物がいると思うか?」


「いないですね……」


「だろ。だから諦めてこの仕事をしているんだ。逆に嬢ちゃんのスキルは便利だな、物を浮かせるスキルだなんて。あ……魔法でも一応出来るのか。いやいや、魔法とか言い出したら俺のスキルも魔法でいいじゃねえか」


――おじさんは何をブツブツ言っているのだろう。スキルと魔法の違いなんて、簡単に使えるか、練習して覚えるかの違いでしかない。だからアイクは怒ってたんだよ。練習もせずに強い力を手に入れても意味がないって……。


私はべスパから小袋を受け取り、紐で縛ってある口を開く。


「え、金貨5枚……。何で私に投げたんですか?」


「なんで、って分け前だよ。今回、干し肉の売り上げは金貨10枚だ。その半分の金貨5枚、あれだけ頑張ってくれた嬢ちゃんに何も渡さないのはさすがに俺の気が引ける。だから受け取ってくれ」


「そうですか。分かりました、有難く受け取っておきます。えっと……名前なんでしたか?」


「ああ、そう言えばまだ自己紹介すらしてなかったのか。俺の名前はカール・ウルフィリア。25歳よろしく」


――25歳! 嘘だ……。もっとおじさんだと思ってたのに。


「えっと……私はキララ・マンダリニアと言います。10歳です」


「はぁあ! 10歳……嘘だろ。10歳でさっきの手腕なのか」


「まぁ、そうですね。逆に何歳に見えてたんですか?」


「いや……、確かによく見れば、嬢ちゃん凄く小さいな。見ていた背中が大きすぎて、別人に見えるぜ」


「それは比喩表現ですよね。私の背中自体が広い訳じゃないですよね!」


「ああ、そうだ。オーラっつーか……。魔力がブワッと広がっていたというか。すまねえ、語彙力がねえんだ」


「いえ、私の背中自体が大きい訳じゃないなら、いいんです」


――魔力を使っていたのは本当だし。ね、ベスパ。


「はい、魔力を使っていました。そうしないとさすがにあの人数はさばききれませんでしたから。助けてもらったビー達に配当としてキララ様の魔力をお渡ししていますので、その分も減っています。それでも余りあるほどキララ様の魔力は多いですけどね。カールさんの背中が広いという表現は正しいかもしれません」


――魔力でそう見えてるなら仕方ないか。


私はもう1つの包み紙を開ける。


「これは、干し肉。いいんですか?」


「ああ、それも一緒に貰ってくれ」


「ありがとうございます。齧りながら村に帰ろうと思います」


私はカールさんに一礼してその場を去った。


「今、何時くらいだろう。あ~時計台がよく見えないな」


「キララ様、午後6時15分頃になります」


「午後6時15分……。帰るには悪くない時間だね」


既に人が少なくなっていた為、私達はレクー達をすぐ見つけられた。


「すみません。遅くなってしまいました」


「お帰りなさい、キララちゃん。凄い人でにぎわっていたわね」


メリーさんは私に手を差し伸ばしてくれている。


私はメリーさんの手を握り、荷台の前座席に座った。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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