表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
全くいらない”蜂と仲良くなれる”スキル『虫使い「ビー」』を貰いました。 ~10歳偏~
20/1150

スキルの使いよう

 教会での仕事のとき……。


「ふ~、掃除終わり! 結構綺麗にしたな!」


 私は汗を額にじんわりと掻き、背筋を伸ばしてやり切った感を出す。


「キララ様、こちらがまだ汚れています! それに外に雑草が残っていますよ」


 ベスパは見落としがちな溝や陰に隠れた雑草などを教えてきた。


「あれ……、ほんとだ」


 ベスパは物事に良く気が付く。私の見落としをすぐに見つけて報告してくれるのだ。


「どうしてそんなに、気が付くの?」


「私はお友達がたくさんいますから」


「友達……、そんなのどこにいるの?」


 あたりを見渡すが、ビーらしき生き物はどこにもいない。


「私はビーはもちろん、昆虫や魔獣、動物などの言葉がわかるのです。ですから、何か気づいたことがあれば、私に報告してくれるんですよ」


「それって、いろんな生き物と会話ができるってこと!」


「そうなりますね。ただ、あまりにも距離が離れていると聞き取れないのです。ビー同士ならいくら離れていても会話が出来ます」


 ――戦闘はダメダメだが、援助(サポート)なら結構いい線行ってるのでは……。もっと研究すれば便利なスキルになるかも。



 お出かけの時……。


「良し! お金が結構貯まったぞ!」


 私は毎日少しずつ、働いたお金を貯めていた。


「これは何ですか?」


 ベスパは硬貨を指さす。


「これは国のお金だよ。これがあれば、好きなものが買えるの」


「へ~、沢山あるように見えますが、いくらほどあるのですか?」


「どうだろう……。金貨二枚分くらいかな」


「好きな物が買えるとおっしゃっていましたが、お金は足りるのですか?」


「え? さぁ、私……。ちゃんと買い物したことがないからわからないかな」


「それならば、もう少し増やしましょう!」


 ベスパはお金が入った木箱の中を見た後、声を張り上げる。


「へ? ベスパ、何するつもり?」


「皆さん! これと同じものを集めてください!」


 ベスパは銅貨や銀貨を手に取り、窓から外に出るとビー達に硬貨を見せながら言った。


「ベスパ、何したの?」


「少し待っていただければわかると思いますよ」


「は~、何したか知らないけど、私ちょっと寝るから起こさないでよ」


「了解しました! お休みなさいませっ!」


「……」


 時間がたち、私は目を覚ました。


「ん……、んん。なんか重いな……。へ?」


 私の視界に映っていたのは部屋いっぱいに積まれた銅貨や銀貨、はたまた金貨まであるではないか。今、私は硬貨に埋もれかかっている。


「ちょっと! ベスパなにこれ!」


「私の友達に落ちているお金を拾ってもらいました。いや~こんなに集まるなんて、人って物をこんなに落とすのですね」


 ベスパはお金の山の頂点に立ち、胸を張って堂々としていた。


「返しなさい……」


 私の心の中でお金を落とした人たちの気持ちが沸々と湧き出してきた。厳しい世の中で銅貨一枚を落とすと言うことがどれだけ命に拘わるか……、私は五年間の生活で十二分に理解していた。


「へ? キララ様」


「返してきなさい! この泥棒!」


 私は人差し指をベスパに向ける。


「キララ様! ちょ……、ちょっと、まってください。私はキララ様のためを思って……」


 ベスパはあたふたし始め、両手を前に出す。


「たとえ落ちていたお金だとしても、お金を取ったら泥棒と同じでしょ!」


「キララ様、いったん落ち着いて、その指をしまってください」


「一回生まれ変わって来なさい! ベスパ!」


「ちょっとま!」


「『ファイア!』」


「ぎゃわあああああんっ!」


 ベスパは灰になった。


「申し訳ありませんでした……」


「はぁ……。落とし物だから誰が落としたまではわからないし、同じ場所に置いておくのも違う気がする……。ベスパ、拾ったお金は教会に全て預けてきなさい」


「はい……。では皆さんお願いします」


 すると、ビーの大群が窓から入ってきた。


 私は身をかがめ丸くなる。


「そろそろ慣れたらどうですか、キララ様」


 ベスパは私の頭上をブンブンと飛び回る。


「無理無理、絶対無理!」


 部屋にあったお金がどんどん消えていく。


 そしてあっという間に無くなった。


「は~、やっと落ち着いたよ。それじゃあ、街に行こう」


 そう思い、私が働いて貯めたお金が入っていた木箱を覗くと……。


「あれ、お金は?」


 私は気が付いた。


「もしかして、持ってかれた……」


「まぁ、どれがキララ様のお金か言うの忘れてましたねー」


 ベスパは後頭部に手を置き、舌を出しながら黄色っぽい瞳を輝かせる。


「ベスパー! どうしてくれちゃってるの!」


「す、すみません!」


 私は神父様に頼んでお金を返してもらった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
キララはパティシエになる前に金が必要なはずなのになんでこんな思考なんだ?前世の記憶のない10歳ならまだ納得できるんだけど。前世合わせて25年は生きてるよね?
[一言] 落ちていたお金は、有効に活用したらいいのに、頭が固いね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ