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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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毒精製『ハルシオン』

「どの方も疲労困憊ですね。キララ様、調理場の方ではまだ多くの人が働き続けています。止めますか?」


「さっきの事態にすら気づいて無いなんて。相当集中していると思うから、ぽっくり死人が出てもおかしくない。あんまり驚かせるのは危険だから、優しく止めて」


「そうですね……。では、毒でも注入しますか?」


「毒って……。ベスパは毒なんて危険な物もってるの?」


「はい、私達は毒を作る体内器官を元々持っています。普段、あまり使う機会はないのですが、キララ様の魔力によって様々な毒を作れるようになりました。キララ様の知る毒を私達は作成可能です」


「何それ、私の知ってる毒……? 私、毒なんてほとんど知らないけど……」


「なぜか分かりませんが、キララ様は昔、数多くの毒をくらっているようです。その中の1つが『ハルシオン:トリアゾラムを使用した、ベンゾジアゼピン系の超短時間作用型睡眠導入剤』私には全く分かりませんが、どういうわけか作成可能のようです」


「ハルシオン……、それって」


――私が昔、仕事がきつすぎた時に飲んでた睡眠薬だ。確かに薬も量を間違えれば毒になるって言うから、毒認定されてるのかな……。くらっていたのは昔の体なのに、どうしてこの体でもくらった認定されてるんだろう。でもあれが使えるのなら相当便利だし、深く考えるのはやめようか。ハルシオンの原料はトリアゾラムって今言ってたし、これが毒なのかな。


「お願いベスパ。ショウさん以外の人を眠らせてあげて。『ハルシオン』(トリアゾラム精製)」


私は腕の力を使って何とか体を起こし、ベスパに命令した。


「了解!」


ベスパは調理場の方に飛んで行く。


叫び声の聞こえていた料理場から、1人の声しか聞こえなくなった。


「な! ど、どど、どうなってるんだ。人が倒れて……、え、大丈夫なのか!」


奥から出てきたのはショウさんだった。


どうやら疲労困憊な脳に現状を冷静に判断できなかったようだ。


「こんにちはショウさん。昨日会ったキララ・マンダリニアです」


「あ……ああ、キララちゃん。こんにちは」


「はい、こんにちはショウさん」


「えっと……これはどういった状況なんでしょうか」


「とりあえず座りましょう。ショウさん足がずっと震えています」


「え……、本当だ。全然気づきませんでした」


多くの人が、床に倒れ込みながら眠る中、私とショウさんは休憩室なる場所に移動し、椅子に座った。


「ついさっきまで、とんでもなく忙しかったと思うんだけど……」


「はい。仕事中に倒れている人がいましたので相当やばい状況だと思い、お客さんを分散させました」


「分散……。それじゃあ、やっと休憩出来るんですね……」


ショウさんは被っている白いコック帽を取り、机の上に置いた。


「ショウさん、なぜここの店があれだけの人を呼び寄せているんですか? 他にもお菓子屋さんはあるのに」


私は理由が知りたかった。


今は牛乳の話より、なぜあのような状況になっていたのかを聞きたい。


「えっと、もっといろんな人にお菓子を食べてもらいたいと思って、値段の安いウトサを探してたんです。ウトサのせいでお菓子の値段が凄く高くなってしまうから、安くて上質なウトサを使えば値段を下げられると考えたんです」


「そうなんですか。それで、安くて上質なウトサは見つかったんですか?」


「見つかったと言いますか、使わされたと言いますか……」


「ん? はっきりしないですね」


「実は領主さんから話を聞きまして、ぴったりな物があるからと教会からの差し入れを見せてもらいました。クッキーだったのですが市場の価格より格段に安かったんです……」


「格段ってどれくらい安かったんですか?」


「クッキー1枚でだいたい金貨1枚くらいの値段が普通なのですが、10分の1の値段で銀貨1枚だったんです」


「え……。凄い安くなってる。でもどうしてそんなに安くできたんでしょうか」


――クッキー1枚で金貨1枚はとんでもなく高い。でも銀貨1枚まで下げられたら1回食べてみたくなるな。


「領主さんからドリミア教会が魔法でウトサの精製に成功したと、聞かされました」


「魔法でウトサの精製。そんな凄い偉業を達成した人がいるんですか」


「僕も初めは驚きました。ウトサは本来、極希少な植物から摂取するしかありません。そのウトサを魔法で作れるのだとしたら、革命です。僕は実際に魔法で作られたウトサを見せてもらい、驚愕しました」


「どんな物だったんですか……」


「高級なウトサより白かったんです」


「白い……ですか。でも、ウトサはもともと白いんですよね?」


「はい、確かにウトサは白い固形物です。多少茶色っぽいウトサもあります。ですが、僕が見たウトサは今まで見たどのウトサよりも真っ白だったんです。不純物の全く入っていない絹の様な白さ。これが10分の1の値段と聞いて、再度驚愕してしまいました」


「えっと……凄く良さそうな話なんですけど。何でそんなに不穏そうな顔をしているんですか?」


「僕も初めは凄く上質なウトサだと思ってドリミア教会に話を取り付けました。このウトサを使わせてもらえないか……と」


「ドリミア教会に話をしに行ったんですね」


「行きました。話を聞くと、まだ市場では取り扱っていないと言われたんです。ただ、王都での使用を検討するために試験調査として使わせてもらえるようになり、魔法で作られた大量のウトサを仕入れ、お菓子を作りました」


「試験調査……。あまり良い響きじゃないですね」


「その通りです。僕が使い始めてから異常なほど入店するお客が増えました。お菓子を買う人は殆どがお金持ちの方です。ただ……とんでもなく安いお菓子があると街で噂になり一般の方も購入していく頻度が増えたんです。みんな笑顔になってとても嬉しそうでした。初めのうちは……」


「それじゃあ、少ししたらどうなったんですか」


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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