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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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お菓子を待つ人の様子がおかしい

ベスパは既に建物の道を覚えているらしく、他の人と出会わないように私を先導した。


私は騎士団の建物から出ると、グラウンドで男性の騎士たちが訓練をしている。


バレないように道をそそくさと歩き、騎士団の敷地内から出て時計台の方を見ると午後3時を過ぎていた。


――午後3時か。日本だったらおやつの時間だな。


『ぐぅ~』


私は甘いお菓子を思いだすとお腹が鳴った。


「この時間帯は、お菓子屋さんに人が多いんじゃない?」


「そうですね。最後のお店は人でいつも溢れています。それもお金を沢山持っていそうな人たちばかりです」


「そりゃ、そうだろうね。使っている材料が相当高い物ばかりだから。売っているお菓子も高くなっちゃうよ。高い物は買う人が限られてくるし。お金持ちくらいしか買えないもん」


「やはり貴族や経営者はお金持ちなのですかね?」


「どうだろうね……。貧乏な貴族もいるだろうし、経営不振の会社は貧乏だと思うよ。どんな仕事でもお金を稼いでいる人は稼いでるし、稼げない人は稼げないんだよ」


「キララ様は稼げるお人ですよね。今日は既に金貨15枚以上売り上げています。原価は餌代だけですので、ほぼゼロです。とんでもない儲けですね」


「そうだね。でも従業員が増えたからその分、売上金は分散する。だから私達が特段にお金持ちになるわけじゃないよ。ただ私達は少し仕事に余裕ができて生活しやすくなるだけ。でも、さらに売れれば、お金持ちも夢じゃない。高級なベッドで寝られる日が来るかも……」


「私も超高級な木で寝てみたいです~」


ベスパは私の頭上を8の字に飛ぶ。


「木なんてどれも一緒でしょ……」


私達はレクーの待つ騎士団前の道に戻って来た。


「あ、キララさん。戻って来られたのですね」


レクーは道の端でおとなしく待っていた。


荷台に乗る3人の子供達は昼寝をしている。


――まぁ、子供と言っても、今の私より年上が2人いるんだけどね。


昼寝時を少し過ぎているが気持ちよさそうに眠っているので起こすのは可哀そうだ。


私は子供たちを起こさないよう、静かに荷台の前座席に乗る。


「それじゃあ、レクー。ベスパが最後のお店まで連れて行ってくれるから。周りに気をつけて移動してね」


「はい、分かっています。安全走行ですよね」


「その通り。私も出来るだけ周りを気にしながら見てるから。もし移動中に危ないと思った時はすぐ手綱を引っ張るからね」


「はい、その時はすぐ止まります」


私達は移動し始めた。


ベスパの進む方向に行くと、大通に出た。


多くのバートン車が行きかい、両脇にお店がたくさん並んでいる。


中世ヨーロッパ風の建物が並び、街並みがとても綺麗だった。


どうやらここは街で一番賑わっている通りらしい。


すぐ近くに領主邸があり、新しくできたドリミア教会の建物も目で取られられるほどの所にある。遠目でもかなり大きく見えるため、きっと近くで眺めたらさぞ見上げるだろう。


「ベスパ、ここの通りは始めて来たね。お菓子屋さんはこっちにあるの?」


「はい、どうやら以前に伺ったお店がこちらに移転しているようです」


「前……、あ~昔1回だけウトサの値段を確かめるためにお菓子の売っているお店を見に行ったね。懐かしい、あのお店はショウさんがやってたんだ」


「そのようですね。短い期間で大きく成長したお店のようです。もうすぐ見えてくると思いますよ」


「そうなの、ちょっとドキドキするな~。お菓子と対面するのは今回が初めてだし」


「自我を忘れぬよう、気をつけてくださいね」


「分かってるよ。冷静さを欠いたらいい商売は出来ないからね」


私達が少し進むと、両脇の歩道に人の列が現れた。


長い長い列の先には、一店のお店がある。


「キララ様、あれです」


ベスパの指差す方向には真っ白な外壁に、白い屋根、その屋根にはでかでかと赤文字で『ベリーズ・スウィート』と書かれた看板が掲げてあるお店があった。


「どう見てもあそこだね。人の流れが集結してるし。どれだけの人が並んでるの。もしかして……私達も待たなきゃダメかな」


「どうでしょう。並んで店内に入っても、ショウさんと話せる時間があるかどうか分かりませんね。1対1で合わなければ、これからの話も出来ませんよ」


「そうだよね……。どうにかしてショウさんと1対1になる状況を作り出さないといけないのか。でも、それは難しそうだよ。と言うか、なんか人の様子おかしくない……」


「お菓子だけに~、ですか?」


ベスパは上手いことを言ったと自信満々な表情を私に見せてくる。


「いや……違うから。見てよ、お菓子は高いはずなのに、そこまでお金持ちじゃなさそうな人まで並んでる。あの人の服とか、私の服と同じくらいボロボロなのに、お菓子を買ってる余裕あるの?」


「そう言われると確かにそうですね。楽しそうにしている方が1人もおりません。美味しものを買うのですから嬉しくなると思うのですが……」


「そうだよね……。みんな『何としてでもお菓子を食べたい』っていう顔をしてる」


「く………………」


「おい! まだかよ! さっさと進めや!」


「うるせえ! 俺だって早く進んでほしいんだよ! こんなに並びやがって! 全員ぶっ殺してやろうか! あ!」


「あ……また、お金を落としてしまった……。何してるのかしら……私」


「食べたい食べたい食べたい食べたい……」


――貧乏ゆすり、罵倒、集中力の低下、衝動の震え……何かの禁断症状出ちゃってるじゃん。やばいよ……、絶対におかしい。砂糖を食べただけでこんな症状出るのかな。


周りの人が誰1人、楽しそうにしていない状況に私は目を疑う。


「ベスパ……お店の中がどうなってるか見てきてくれる。天井に張り付いて『視覚共有』と『聴覚共有』をお願い」


「了解です」


ベスパは行列の頭上を飛び、お店の中に入っていった。


お店の中は騒音でいっぱいだった。


主に鼓膜を劈くほど大きな叫び声が響いている。


「キララ様。『視覚共有』してもよろしいでしょうか?」


「うん、よろしく」


「それでは『視覚共有』」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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