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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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4人の女騎士

私はベスパを追って少し歩いて行くと、沢山のテーブルと椅子が並べられている部屋に着いた。


壁に立て掛けてある木製の板に『食堂』と書いてある。


「ここが食堂、広いな……。どんな料理が出てるのかな。すごく気になる」


「キララ様、この部屋を通過します。他の人物に気をつけてください」


「え……うん。でも私が騎士に暴行されたらベスパ達が守ってくれるんでしょ」


「それはもう、当たり前です。何たってキララ様は私達の女王様ですから」


ベスパは胸に手を当てて背筋を伸ばし、翅を羽ばたかせる。


「あ、私が却下させた呼び名……懐かしい。初めはそう呼んでたよね」


「事実なのでそう呼んでいただけですよ。ささ、行きましょう」


私は開いている扉から、食堂の中に入っていく。


すると、昼時を過ぎているのに食堂でだべっている騎士たちがいた。


――1、2、3、4人くらいか……。騎士って男の人達だけかと思ってたけど女の人たちもいるんだな。


食堂にいたのは女性4人で、いかにも気さくな人たちだった。


その姿を見ると、どこか部活の日々を思い起こさせる。


ただ、その4人は私に気づいたとたんに慌てふためいた表情で駆け寄ってきた。


「ちょっと、ちょっと! どうしてこんな所にいるの! 迷っちゃった?」


「凄い、凄い。これ、どうやって浮いてるの。魔法? こんなに小さいのにもう魔法が使えるなんて、天才なの!」


「いや……魔法にしては魔力の流れを感じないぞ。魔法を使っていれば魔法陣が浮かび上がるはずだ。きっとこれは彼女の『スキル』だろう」


「いやいや、そんな考察しなくていいから。この子を早く外に出してあげないと」


私は4人同時に話しかけられて、あたふたとしてしまった。


「えっと、私は仕事でここまで来たんです。物資の配達という名義で……」


「え~、もう仕事してるの。早すぎるでしょ~。もっと遊びたい年頃なんじゃないの?」


「そ……そう言われても、私、仕事が好きなので」


「子供なのにえらいな。きっとこの子は大物になるぞ。うんうん……さぼっている私達とは大違いだな。ハハハ!」


「ちょっと! 笑ってる場合じゃないでしょ。教官にバレたらどうするの!」


「なに、丁度いい言い訳が目の前にいるじゃないか。この子にお願いして、私達はいかにも迷ってしまった少女を助けていたという騎士の心を貫いたと力説すればいいんだよ」


「なるほど~、やっぱりトーチは頭いいね~」


「え、えっと……私、スグルさんの所に行かないといけないんです」


「スグルさん。ああ~研究班の部長ね。あの人と知り合い何て、お嬢ちゃんやるね」


――何が……?


「私達が案内してあげるから、もし教官に見つかったら迷子のふりしてくれる?」


――いや『私はスグルさんのいる所が分かっているので大丈夫です』と言いたいけど……潔く下がってくれなさそうだな。仕方ない、案内してもらおう。


「分かりました。その教官という方が来たら迷子のふりをすればいいんですね」


「ありがと~、恩に着るよ~」


私は4人の女性騎士に連れられ、建物の廊下を歩く。


「えっと、皆さんは騎士なんですか?」


「そうだよ~。まぁ、成りたくてなったわけじゃないけどね~」


「騎士は激務と聞きましたが、何で騎士をしているんですか?」


「まぁ、家柄が騎士の家系だからかな~。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも弟も、皆騎士だからさ。私も騎士になるんだって張りきってた時期もあるけど……今さらになって、私のしたい仕事って騎士じゃ無くね~って気づいたの。皆も大体同じでしょ?」


「そうだね、でも私は騎士やっていて楽しいよ。給料は良いし、世間体もいい。まぁ、鍛錬は辛いけどね」


「別に仕事は騎士じゃなくてもいいが、他の職種より騎士は安定している。そうだな、戦いさえ起こらなければ十分楽な仕事だ。ただ、家族がいるものは不憫だがな。その点私達は凄く気楽だ」


「ちょっと! 私達が売れ残りみたいな言い方しないでよ! まだまだ結婚を諦めたわけじゃないんだから!」


――この人達……よく喋るな。いったい何歳くらいなんだろう。でも、さすがに15歳は超えてると思うから、20歳くらいかな。


「皆さんはいつから騎士として働いているんですか?」


「んっと~今年の4月くらいから働いているから、丁度3ヶ月経とうとしてるところだよ。ここの4人は皆、同期なんだ~。だからいつの間にか仲良く成ってたんだよ~」


「まぁ、元々女騎士は少ないから、この4人が必然的に集まっただけなんですけどね」


「はたから見れば、女騎士は筋肉ゴーリラだの、人間ブラックベアーなどと言われているな」


「ちょっと! 気にしてるんだから! はきはきと言わないでよ!」


――人間グラックベアー、そんなに力が強いんだ。それじゃあ、力の強くなる『スキル』を持っているのかな。


「つまり皆さんは、騎士に向いた『スキル』をもっているんですね」


「そう、どうやら私達は神様から『騎士になりなさい』って言われていたんだよ~。ほんとに無責任な神様、何だから~」


「まぁ、日常生活で使いにくいのは確かですね……」


「騎士はとんでもないくらい王都の教会から影響を受けてるからな。強いスキルは軒並み騎士団に入れられる。最近だと……『勇者』とか『剣聖』だとかが教会の勧誘を受けているそうだ。どちらもまだ子供なのにな。まぁ、その幼い心に付け入るのも教会の得意分野って訳だ」


「勇者と剣聖のスキルに比べられる私達って……。何なの、だってぶっ飛んでるんだもん! 勝てるわけないじゃない!」


「まぁまぁ、仕方ないって。あの経験は忘れよう」


――剣聖、って……アイク。


「あの、もしかして剣聖に会ったんですか」


「うん、会ったよ。剣聖だけじゃなく勇者ともね。えっと……騎士になるための勉強をする学園があるんだけど、私達の卒業式の日に……」


「卒業式の日に?」


「正教会の大司教様がいきなりお見えになって、卒業生の私達と戦わせたんです。男性も交えた数百人で……」


「嘘……。そんなの勝てるわけないじゃないですか」


――騎士と戦ったら、剣聖のアイクでも……。と言うか、アイクを迎えに来た真っ白な服を着た男、正教会の大司教だったのかも。騎士たちの卒業式っていつの話だろう、働き始めたのが4月くらいからなら、3月くらいかな。確か聖典式は1月だから、スキルを貰ってすぐではない時か。


「それが……ズタボロでな。誰もあの少年に攻撃を当てれなかったんだ。卒業生で首席だった奴も歯が立たず、大司教様は笑っておられた。少年は笑うどころか悲しそうな眼をしてた。そして剣を折ったんだ。『こんなの……俺の力じゃない!』と言ってな……」


「ほんっと、ムカつく! あの大司教。何しに来たんだって話よ!」


――アイク……。


「それで、私達は王都にいるのが嫌になって、地元のこの街に戻ってきたんだけど。昔と変っているというか、何というか」


「黒くなった……」


「そうそう、めっちゃ黒くなってるの。いつの間にか正教会の下に着いているドリミア教会の建物が建てられてるし。私達のスキルをくれたカトリック教会は廃れてるし……。領主まで変わってた。ほんとに何でこうなってるんだか……」


――この人達もいろいろと大変なんだな。


私は、未だに4人に連れられて道を歩いている。


「ねえ、あなたの名前はなんて言うの~? 私はロミア・モート。それでこっちが」


「マイア・アンデシュと言います。私の隣が」


「トーチ・ラストロだ。以後お見知りおきよ。最後が」


「フレイ・スカーレットよ! 別に覚えなくてもいいわ」


「えっと……私の名前は、キララ・マンダリニアです」


――今更自己紹介するの。もう会う機会もないと思うんだけど。いや、牛乳の調査が続くんだったら来週も来るのか。


「ねねね、キララちゃんはどんなスキルを持ってるの~? その箱を浮かしているのはキララちゃんのスキル?」


ロミアさんが私に顔を寄せて聞いてきた。


「え! えっと……スキルと言えばスキルですね」


「へ~、それじゃあ、物を浮かせたりするスキルだよね。もしかして空も飛べるの!」


――そっか、ベスパは他の人には見えないし、ビー達は光学迷彩で見えてないんだ。だから、私のスキルを誤解しているのか。


「ど、どうでしょう……。飛べるとは思いますけど、私は飛べません」


「なんだ、自分には干渉できない出来ないスキルなのか。だが、物を浮かせられるのは便利だな。私も欲しいくらいだ。上限はあるのか?」


トーチさんが顎に手を置いて考えながら私に質問してきた。


「それも、よく分かりません。なんせ試した覚えがないので……」


――どうしよう、何かスキルの話になってる。話題を変えないと。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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