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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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人間は言い訳の天才

――よし。これで残り2人になったね。ベスパ、ショウさんとスグルさんどっちに行けばいい?


「そうですね。スグルさんの方がいいと思います。今、とても乗っている状態ですので」


――乗っている状態。それはいったいどういう状態なの?


「向かえば分かると思います」


「分かった、それじゃあスグルさんの所に案内して」


「了解です」


私はベスパの言った意味を知る為、光の軌跡を追っていく。


「キララ様、スグルさんはこの中にいます」


――え……。でもここって。


私達は騎士団の目の前に来ていた。


――でもスグルさんは研究者何でしょ。騎士団にいるって、ちょっとおかしくないかな。


「どうやら建物の中に研究施設があるようです」


――そうなんだ……。でも何で騎士団の中に研究施設なんて作ったんだろう。


「私の調べによると、騎士団が領主の息が最もかかった場所らしいです。ですから、研究施設を取り囲み情報を漏らさないようにしているのかと思われます」


――なるほど、でもそうなると一般人が中に入るのは一苦労だね。


「そうかもしれません。ですが、キララ様が私達を纏えば『光学迷彩』によって透明になれます。その際、キララ様の視界は見えにくくなりますが、外にいる私と『視界共有』していただければ問題なく動けるはずです」


――うん、死んでも無理。私にビーが纏わり付くってそれはもう拷問だよ……。私がそんな体験したら多分失神じゃ済まない。最悪、半球状になって、私から5メートルは離れてもらわないと絶対に気絶するから」


「ですが、5メートルの円形を作るとなると、騎士団の建物の幅が足りません」


――それじゃあ、普通に入るしかないじゃん。とりあえず突っ込んでみようか。


「レクーさんで突進ですか……、絶対に捕まりますね」


――そういう意味じゃないから。まずは挨拶をして、中に入ってもいい許可を取らないと。


私は、レクーから降りて騎士団の入口を警備している騎士のおじさんに話しかけた。


以前、騎士団に来た時と人が変わっている。


「こんにちは~、今日はいい天気ですね~」


「ああ、そうだな……。それがどうした。ここは子供の来るところじゃないぞ」


「いや~、騎士の皆様がとても警備を頑張ってくれているおかげで私達は安心して暮らせているんですよ~、凄~く感謝しています」


「当たり前だ、ここは我々の街なのだからな。そんな当たり前の話をするためにわざわざ来たのか、暇な子供だな」


――私だってこの場所にわざわざ来たかった訳じゃないんですよ。と言うか、このおじさん全く表情を変えないな。美少女の私がせっかく褒めてるのにもっと嬉しがってもいいんだよ。


「キララ様、あまり自分を美少女と言い張るのはどうかと思います」


――ベスパ、言葉にした方が現実になるんだよ。私は元から美少女だけど、もっと美少女になるために自分を美少女とわざわざ言っているの。


「もう既に3回も美少女と言っています……。あまり言われるとムカッとしてしまう人がいるのではないですか?」


――別に口から出してるわけじゃないんだからいいでしょ。ベスパくらいしか聞いてないだろうし。


「まぁ、そうですけど……」


ベスパは納得がいかないと言いたげな表情で私を見てきた。


「今日、騎士様は何をされているんですか~」


私は猫なで声で騎士のおじさんに再度話しかける。


「今日は、ずっとここに立ってる。朝も昼、夕、夜もずっとだ。私が交代するのは明日の朝6時になった時、それまで私はここで立っていなければならない」


――え……ずっと立ってるって、24時間ずっと立ってるの。嘘でしょ、何その仕事。警備員でももっとましな仕事してるよ。


「その、楽しいですか?」


「楽しい? 仕事に楽しさを求めて何になる。仕事は苦しいものだ。苦しみを耐え抜き賃金を貰い家族を養っていく。それが男の役割だろ」


「家族に最後合ったのはいつ頃ですか?」


「元旦だ……」


「元旦ってもう半年前じゃないですか。そんなに帰れてないんですか?」


「金は送っている……。手紙も送っている。それだけで十分だ……」


おじさんの表情は逆光のせいかもしれないが凄く暗い。


ただ、俯いた際に家族を思っている父親の眼をしていた。


――全然十分そうな顔してないですよ。


「帰ってあげればいいじゃないですか。何で帰らないんですか?」


「それは出来ない。私はまだ半年間、勤務が残っている。やり遂げなければ、月給は全て帳消し、加えて膨大な借金を課せられる」


「何ですかそれ、訳が分かりません。そんなの仕事じゃないですよ」


「だが、私にはこの仕事しかない。今、仕事を止めれば家族諸共死ぬだけだ。それだけは決してあってはならない。逆に私が仕事で死ねば家族に毎年金が入る。それならば、仕事中に死ぬ方がましだ」


――これ、大分重症だよね。顔もやつれてるし……。こんなひどい仕打ちを他の人にも課してるんだろうな。なんだか領主を許せなくなってきたぞ。


私は無性に腹が立ち、領主を一発吹き飛ばしてやりたい気持ちに駆られたが何とか堪え、目的を思い出す。


――そうだ……私、スグルさんに用があったんだ。


「あの、建物の中にいる人に用があるんですけど。入れてもらってもいいですか?」


「だめだ。関係者以外は立ち入り禁止だ」


「まぁ、そうですよね。どうにか入る方法はないんですか?」


「ここを通していいのは、物資とルークス王国からの使者、領主さん、だけだ」


――物資か……。まぁ、言い方を変えれば牛乳も物資みたいなものだし、いいよね。


「キララ様、こじつけが過ぎるのではないですか?」


――いいのいいの、騎士団の中に入れれば。別に研究資料を盗むわけじゃないし、私は健全な仕事してるだけだからね。


「キララ様は言い訳を作るのが上手いですね」


――人間はね。皆、言い訳の天才なんだよ。


「あ~、そうですそうです。私、今日物資を運びに来たんですよ。研究に使う新しい飲み物です」


「あ? そんな報告は聞いていないぞ」


「すみません、秘密主義なので……」


「……とりあえず、現物を見せろ。危険物じゃないか確認する」


「はい、もちろんですよ~。何なら騎士様も1本飲んでみますか? 凄く落ちつきますよ」


「私が飲むのは仕事に試飲が必要だと判断した場合だけだ。むやみやたらに飲むわけにはいかない」


――さすが騎士、意思が固いね。


「そうですか。それじゃあ、ちょっと待っててくださいね。今、バートンを呼びますから」


「何だ、子供なのにバートンに乗ってきたのか」


「別に子供でもバートンに乗れますよ」


――ベスパ、レクーを呼んできて。


「了解しました」


レクーはベスパに連れられて、騎士団の入り口前までやってくる。


「でかいな……。ほんとにバートンなのか?」


「はい、私が育てた自慢のバートンです」


「そうなのか。では、荷台を確認するぞ」


「いろいろあって、ぐちゃぐちゃになっていますが物資は茶色い箱に入った物だけですから。それ以外はここに置いていくつもりです」


「そうか。ならその箱を見せてもらおう」


騎士のおじさんは荷台の後ろに回り、荷台を覆っている帆を開けた。


荷台の右端にクーラーボックスが見えるところに丁度積んである。


おじさんは荷台の中身全体を一度見渡した後、クーラーボックスに手を伸ばした。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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