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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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荷台の商品とチーズを交換

「それならよかったです。これからの季節、正午にかけてどんどん熱くなるので氷が全て溶け切ってしまう場合があると思います。その都度、氷の補充をして冷蔵車の温度は常に氷のある状態を維持してください。この温度管理がとても重要なので必ず守ってくださいね」


「は、はい。頑張ります」


「最後に王都に着いた時、牛乳を1パック開けて状態を確かめてください。目で見て、臭いを嗅いで、味を舌で確かめて問題がなかった場合のみ売って問題ありません。とても厳しく確認してくださいね、少しでもおかしいと思った場合は売らないでください。いいですか、絶対に売らないでくださいね」


私はルドラさんの目をしっかりと見て念押しする。


「わ、分かりました。それで商品名は牛乳でいいんですか? 牧場の名前にした方が皆に知られるきっかけになると思うんですけど。実際、王都で売られている商品の名前は作られた場所の名を記載している場合が多いんですよ」


「あ~、牛乳で問題ありません。私達は牛乳さえ売れればそれでいいので牧場の名前を売ろうなんて考えてません。逆にどこで作られたか知られると面倒な騒動になりそうなので、秘密厳守でお願いします」


「分かりました。では、牛乳以外ほぼ秘密厳守で交渉してきます。キララさんの名前も伏せますよね」


「そうですね、出来る限りは名前を伏せてください。どうしても、教えなければならないのなら私は目を瞑ります。まだ、検査結果が出ていないので王都では大体的に売れないでしょう。ルドラさんの人脈を回って、牛乳と言う商品があると知ってもらう程度でいいですから」


「なるほど、了解です。僕、凄くうずうずしてきました。それじゃあ、早速準備しますね」


ルドラさんは冷蔵車の中に魔法で氷を出現させ牛乳パック10本を冷蔵車の中に入れた。


――冷蔵車の中に10本しか入ってないのなんか面白いな。いつかこの冷蔵車の中を牛乳でいっぱいに出来るだろうか。


「これでよしっと。バートンも1頭借りましたし、すぐ王都に向おうと思います」


「そうですか、分かりました。気を付けてくださいね」


「はい。あ…そうだ。キララさん以外の3人も一緒にちょっと来てもらえますか」


「ん?」


ルドラさんは私達を自身の荷台に案内した。


「この中から好きな物を持っていってください。売れ残った物ばかりで申し訳ないんですけど」


ルドラさんの荷台には、剣や魔法の杖などの武器、服や靴などの衣類、紙やインクなどの日用品が大量に残っていた。


「え……。でもこれ、まだ使えそうな物ばかりじゃないですか。貰えませんよ」


「いえいえ、貰ってください。ここにある物を王都に持っていっても売れないですから。出来るだけ軽くしていきたいので、好きなだけ持っていってください」


「そうなんですか。なら、有難くいただきます」


私達は、ルドラさんの荷台を物色した。


――杖と剣はライトとシャインの練習に使えるから持って帰ってあげよう。服はどれもシンプルで着やすい綿製の物。あぁ、メークルの存在を脅かしているコットンの服か。でもすごく通気性が良さそう、これからの季節にぴったりだ。子供達も多いし服と靴は貰っていきたいな。日用品も迷う。どうしよう、全部ほしくなってきちゃった。さすがに全部ただでくださいとは言えないよな……。


「キララ様、ただが無理なのでしたら交換でどうでしょうか。今のキララ様には交換できる物があるはずです」


――あ、そうか。チーズがあったね。でも、チーズと荷台の中身をすべて交換してくださいって言うのは気が引けるな。


「提案するのは、ただですよ」


――確かに……。提案するのは、ただなのか。そうだね、だめもとで聞いてみよう。


「あの、ルドラさん。お願いがあるんですけど……」


「はい、何ですか?」


「この荷台の中身とルドラさんの食事を少し高級にする食べ物を交換していただけないでしょうか」


「はて? 食卓を高級にする食べ物とはいったい何ですか?」


私は自身の荷台に走り、1ホールを四等分した4分の1チーズを持ってルドラさんの元にすぐ戻る。


「はぁはぁはぁ、こ、これです」


「これはいったい……何なんですか?」


「お酒やパンに合うチーズという食べ物です。牛乳から作りました。味は保証します。えっと、このチーズと荷台の中身を交換して貰えないですかね」


「売れ残りを受け取って貰えるのはとても有難いんですが、いいんですか。このような貴重な食べ物を戴いても」


――別に貴重ではないんだよな……。でも、今は持ってきたチーズが少ないから否定しないでいいか。


「はい、一度食べていただいて感想を貰えたら嬉しいです。薄く切って食べてもいいですし。粉々にしてもいいです。私のお勧めはパンに薄く切ったチーズをのせて、火で少しあぶると美味しく召し上がれます。私はまだお酒が飲めないので村の人に聞いた話ですが、お酒にとても合うと言っていました。特に葡萄酒だと最高に美味しいんだとか。ルドラさんもお酒を飲む席で試してください」


「えっと、ありがとうございます。それじゃあ、この荷台の荷物をキララさんの荷台に移しましょう。って……もう無い。いつの間に運んだんですか?」


「人が運ぶと手間取るので先に運んでもらいました。勝手な行動をしてしまい申し訳ありません」


「いや、別に有難いんですけどね。キララさんは、本当に仕事が早いですね。話し方も礼儀正しいですし、まるで1人の大人と話しているみたいですよ」


「あはは……よく言われます。逆境は子供をここまで成長させてくれるんですよ、なんて言ってみましょうか。私は、まだまだ成長しますけどね」


「キララさんの将来は全く想像できませんね。僕の考えのはるか上を行くのでしょうけど、その時でも僕をご贔屓にお願いしますね」


「私に期待しても時間の無駄ですよ。そんな無駄に時間を使うんでしたらもっと色々勉強した方が有意義に時間を使えます」


「本当に子供がする話とは思えないですね……。えっと、この袋の中に金貨55枚入っていますので。落とさないようにしてください。キララさんの荷台に乗せておきますから、くれぐれも野盗には気を付けてくださいね。子供の操縦するバートン車には近づく野党はあまりいないかもしれませんが、万が一を考えておくのが良い商人の教え方です」


「そうですね。でも先に野盗を見つけてしまえば対処は簡単なので心配しないでください。私、こう見えて結構強いんですよ」


「そうですか、それならいいんですけど……。油断は禁物ですよ。毎年、商人の多くは油断で命を落としますから。世界は日常のように甘くないのです」


「はい、胆に銘じておきますね」


ルドラさんは、私の荷台に金貨の入った革袋を乗せてくれた。


その後、空っぽになった荷台と冷蔵車を2頭のバートンに引かせながらルドラさんは王都まで向かって行った。


「それではキララさん。また7日後にお会いしましょう」


ルドラさんは、出発して少しのところで私に手を振る。


「はい、良い返事を待っています。期待はしていませんけどね~」


「期待してくださっても大丈夫ですよ~ それでは行って参ります」


「頑張ってくださ~い」


私はルドラさんに声援を送った。


美少女の声援だ相当効くだろう。


これでルドラさんの商売力に私の声援が合わさったのだ。


ルドラさんが前を向いた時、少し笑っていた。


きっと上手くいくだろう。そう確信した瞬間だった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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