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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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キララの過去

「すみません、大分待たせてしまいました」


「いや、そんな待ってないよ。安心して日を過ごせるってほんとにすごい気持ちいいの。時間の流れがゆっくり感じられてさ」


「ほんとよね~。今までどうやってその日をどうやって生き抜くかをずっと考えていたのに、明日も生きていられるって思えると時間がこんなにもゆったりと流れるなんて、知らなかった」


セチアさんとメリーさんは荷台の前座席で空をボーっと見上げながら過ごしていた。


怒涛な毎日を生きて来た2人はどうやら時の流れをしっかりと感じ取れるようになったらしい。


ゆとりが持てている証拠かな。


――さてと、次はどのお店が一番空いているのかな。お昼を迎えるまでにもう一店くらい向かいたいけど、ベスパ、調べは付いてる?


「はい、キララ様。カロネさんの喫茶店が空いています。朝の忙しい時間帯が丁度終わったころです」


――そう、分かった。それじゃあカロネさんの所に行こう。牛乳は売れるから、レモネを頑張って営業するぞ! 営業なんて一回もやった覚えないけど、商品の魅力をつたえればいいんだよね。ベスパ、レクーを案内してあげて。


「了解です」


――はぁ、営業か……懐かしいな。


商品の営業という仕事は経験していないが自分を売り込むと言った営業ならした。


駆け出しアイドル時代、有名な社長やらディレクターにどれだけ自分を売り込んだか。


何度もグラサンプロデューサーにダメだしされ、幾度となく自分を売り込みに東京を回った。


変な目で見てくる奴、可愛くねえな~と鼻の下を伸ばしているキモい奴、今思い出してもいい思い出は無い。


失敗ばかりしていた私の転機は一度の失言だった。


キラキラ・キララ (田中・真由美 18歳、不人気アイドルグループのセンターを務めて1年目)の頃……。


「な~、あんたさ~、有名になりたいんだろ~。だったらさ~この俺と寝ないか~」


「は?」


とあるボサボサ頭の男にいきなり枕営業を持ち上げられた。


「そしたらさ~、いい仕事、いっぱい持って来てやるよ~」


その人の見た目からして仕事を持って来れるとは到底思えない。


髪はボサボサ、髭も伸びっぱなし、服も全く着替えていないのか異臭がする。


そして肩を掴まれた。


「なぁいいだろ~、俺にはお前が必要なんだよ~」


普通の女性ならここで声を上げたり、股間を蹴りつけていただろう。


ただ、私は違った。気が動転していたというのもあるがなぜ口走ったか、今でも分からない。


見た目からは全く想像もつかなかった……。


あまりに目が透き通っていたのだ。


「貴方の眼が好きです」


私はそう口走ってしまった。


男は掴んでいる私の肩を離すと。


「それだな……。うん、それで行こう……」


「へ……はい?」


「あ、君の名前は?」


「え、えっと……キラキラプロダクション所属、グループ名『ライト&シャイン』センターのキラキラキララです」


「キララさんね……了解。えっと、それじゃあ来週からドラマ撮影が始まるから。君主役ね」


「へ? は?」


そこからはとんとん拍子だった……。


何をやっても上手く行く状態。


歌、ダンス、テレビ、芸能、ドラマ、映画……さすがに怖かった。


いったい何が起こったのかと思いながら怒涛の1年間を過ごした。


後から知ったがその人は有名な脚本家だった。


私がその人を訪ねた時、相当なスランプだったらしく、何をやってもダメだったらしい。


私はその人に有り余るほどの仕事を回され、何とも苦しい思いをした。


だけど、楽しかった。そう思える人だった。


――元気にしてるのかな。自殺とかしてないといいけど……。あの人、メンタル弱いからな。私が死んだと知ったら、あと追ってきそうだし……。いや、さすがに無いか。


「はぁ、私はなにを思い出してるんだ。何ならもっといい情景を思い出させてくれたら良かったのに……」


「キララちゃん、いったい何をブツブツ言っているの?」


「え? いや……何でもないですよ。ちょっと、昔を思い出していただけです」


「そうなの。それならいいんだけど」


「キララ様。見えてきました。カロネさんの喫茶店です」


ベスパはレクーの頭上から指をさして教えてくれた。


「あれがそうなの。すっごい量の花……。確かに女性が好きそうな店だ」


お店の下から上まで様々な花が飾られていた。


道端にさえ花が飾られており、カロネさんのお店の場所だけ別世界だった。


「それじゃあ、私はカロネさんのお店に行ってきます。皆はまた待っていてください。私が戻って来たら一緒に昼食を食べに行きましょう」


「分かった。待ってまるね」


「気を付けていってらっしゃ~い」


セチアさんとメリーさんが私に向って手を振る。


私も手を振り返し、お店の入り口に向った。


――営業、営業。レモネが一番売れそうな喫茶店のカロネさんからまず試して、反応を見てから料亭とお菓子屋さんに持ちかけてみよう。


私は喫茶店の扉を開け、中に入る。


「すみません。カロネさんはいますか。昨日、お会いしたキララです。牛乳をお持ちしました」


店の中に入ると花の香りがより一層強まり、空間を包み込んでいた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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