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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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ドワーフさんの容体

「えっと、メリーさん。私はリーズさんに聞きたい話があるので、受付で待っていてくれませんか」


「了解~」


私は3人と離れて、リーズさんを探す。


今日はそこまで患者さんは多くなさそうなので、きっと話を聞く程度は出来るだろう。


私は病院の中をうろうろしていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


――ん? あれはリーズさんとドワーフさん。


「だから、ちゃんと入院しないとダメですってば。いろんな箇所の骨が折れてるんですよ。さすがに一日では完治しませんから。一週間は入院してください」


「ふざけるな。こっちは仕事が溜まってるんだよ。一週間も待たされる訳にはいかないんだ。それに腕さえ折れてなければ仕事に支障はない」


「そんな訳ないですよ。移動するのも、力を入れるのも腕だけでは不可能です。力を入れるたびに激痛が走るでしょ」


「これくらい、大した痛みではない……。仕事をしなければならんのだ。仕事をしなければ死んでしまう……」


「一週間、仕事をしなかったくらいでは死にませんよ」


「儂が死ぬんじゃない、家族が死ぬのだ……」


「それでも僕は医者として怪我をしている患者を送り出せません」


『フロウ』


「な! 何をする!」


リーズさんはドワーフさんを魔法で浮かせ、病室へと戻っていく。


「ドワーフさん。全身を包帯でグルグル巻きにされてるのに出て行こうとするなんて。よっぽど仕事が大切なんだな。でも、家族が死ぬってどういう意味なんだろう」


私はドワーフさんの病室へと向かう。


すると、中からうるさい怒号が聞こえてきたのだが、リーズさんの『スリープ』の一言で鳥の声が病室内に響くほど静かになった。


「はぁ……疲れた。ん? キララちゃん、こんなところでどうしたんですか」


「リーズさんに聞きたい話があってですね」


「聞きたい話?」


「リーズさんってこの街のお店に詳しいですよね。よく食事に行かれるんでしょ」


「まぁ、それなりには……」


「私、配達の仕事を受けたんですけど、場所が分からなくてですね。店主の名前は分かるんですけど。リーズさんなら店主さんの名前だけで場所が分かるかなと思って」


「そうですね。分かる所は結構ありますけど」


その後私はリーズさんから、お店の位置を聞けた。


後から気付いたが、ベスパはもうすっかり元気に飛び回っているのだから、店の場所を聞けばよかったのではないかと気づいてしまった。でも、結果は同じなのだから気にしないでおこう。


「ありがとうございました。あの、さっきのドワーフさんですけど。大丈夫ですか?」


「見かけによらず結構酷い怪我でした。折れてるカ所が6カ所もありましたからね。骨太のドワーフ族があそこまで折れるのは中々珍しいですよ」


「そうなんですか? 誰でも大きな馬車に引かれたらそうなってしまうと思いますけど」


「ドワーフ族は頑丈さが違うんです。人の骨密度の3倍以上はありますし。背が低いのは高く成長する分を骨の強度に回しているからって言われているんですよ」


「なるほど。だから低身長の方が多いんですね」


「そうですね。でも、その分、体は頑丈に成長します。バートンに体当たりされたくらいじゃ吹き飛ぶだけで外傷はほとんど受けません」


「え、すごい……。そんなに頑丈なんですね」


「おまけに力も強く、筋肉も発達しやすいんですよ。そんなドワーフである彼があそこまで損傷するのは少しおかしいです。相当強い衝撃を受けたか、骨自体が弱っていたか、のどちらかだと思います。今、検査しようと思ってたんですけど、暴れられてしまって」


「仕事しないと家族が死ぬって言ってましたよね、それってどういう意味なんですか? 本当に家族が死んじゃうなら、可哀そうですよ」


「えっと、彼の言う死ぬは仕事を失うの死ぬだと思います。ドワーフは仕事に生きて仕事に死ぬ、そんな種族ですからね。仕事が無くなったら自分の価値もなくなり、死んだと思ってしまうらしいんですよ。家族と言うのは彼の弟子とか仕事仲間のドワーフでしょう。実際の家族は彼らの故郷にいるそうですから」


「なるほど、仕事に生きて仕事に死ぬ。仕事が命なんですね。どうかしてあげられないんですか?」


「ん……。難しいと思いますね。ドワーフは自分の認めた親方に付いて行く習性がありますから。彼は年齢もそこそこ行っていましたし、きっと親方なんだと思います。一番早い解決補法は、体をさっさと治していくことです。それじゃあ、僕は仕事が残ってますからこの辺で失礼しますね」


「あ、ありがとうございました」


私はドワーフの様子を見るために病室のドアを開ける。


「う……う……仕事、仕事」


――うわ、夢の中でも仕事しているよ。ん? やっぱりこのドワーフさん、どこかで見た覚えがあると思ったら昨日ギルドで、あったドワーフさんだ。名前は分からないけど、長いひげが特徴的だから思い出したよ。そうか、骨が弱ってたんだ。でも骨が弱っているんだったら牛乳でも飲んでもらおうかな。少しはよくなるかも。


「ベスパ、荷台から牛乳瓶を2、3本持って来てくれる。紙と石炭柱もおねがい」


「了解です」


ベスパは病室の窓から出ていき、数秒後に戻ってきた。


「お待たせしました。牛乳瓶3本と紙、石炭柱です」


「ご苦労様。それじゃあ、牛乳瓶は近くの小さな棚に置いておいて。私は今から置手紙を書くから」


「分かりました」


ベスパは、牛乳瓶を棚の上に置きにいく。


私はその間に置手紙を書き始めた。


『骨の治りが速くなる飲み物です。牛乳といって、モークルの乳から作りました。骨を速く治して仕事頑張ってくださいね。何事にも焦りは禁物ですよ。全部一気に飲むとお腹を壊してしまう可能性があるので、一日一本を目安に飲んでください』と。


「別に嘘は付いてないし、ちょっと過剰だけどいいよね。思い込みの力も借りよう」


私は手紙を牛乳瓶に立て掛け、ドワーフさんが起きた時、目につくように工夫して置いた。


「よし、これでいいかな。ベスパ、今からお店に行くんだけど一番空いているお店から向かおうと思うから、お店の状況を見てきて。あと、ルドラさんとスグルさんの位置も把握して置いてくれると助かる」


「お安い御用です! チャチャっと調べてきますよ! まぁ、私が調べるのではなくお友達が調べてくれるんですけどね」


ベスパは再び、病室の窓から飛び出していった。


「さてと、私は3人の所に行きますか」


私は病院の待合室にいる3人のもとに向かった。


「すみません。遅くなりました」


私は3人のもとに駆け寄る。


「いえいえ、全く問題ないよ。私達には時間が沢山あるからさ」


セチアさんは笑って、許してくれたが私は私自身が許せない。


「時間を無駄遣いしたらもったいですよ。時間は命、お金よりも大切なんですから。健康、時間、お金、どれも大切ですけど、時間だけは絶対に買い戻せない。どんな人間であっても一律の時間は決まっているんです! だから時間をむやみやたらに浪費したらダメですよ。って! 私が浪費させちゃってるんでした。すいません! 早く行きましょう」


「は、はい……」


私は元日本人の時間に厳しい感覚が染みついていた。


だからこそ、時間を無駄にした自分が許せない。


何とか埋め合わせをしなければと心の中で考える。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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これからもどうぞよろしくお願いします。

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