仕事への支障
「メリーさんはまだ寝ているんだね……」
「はい、お姉ちゃんの回復は順調だって、先生が言ってました。目を覚ましたら退院してもいいって……」
「そうなんだ……、ならメリーさんが早く目覚めるといいね」
「はい。お姉ちゃんがこんなに無理しているなんて、知りませんでした……。ずっと助けてもらってたんだって、お姉ちゃんが倒れてから知りました。僕、何もしてなかったのが情けなくて……」
「そうだね。でもね、カイト君。メリーさんがずっと頑張って来れたのは、大切な弟を守りたかったからだよ」
「次は僕がお姉ちゃんを助ける番です。僕、お仕事いっぱい頑張ります。たくさん働いて、お姉ちゃんに楽させてあげるんです」
「うん、そうしてあげるとメリーさん、凄く嬉しがると思うよ」
――カイト君はメリーさんの手を握りしめて誓った。今度は僕が守る番だと……。まだ小さいのに意思をはっきりと持っていて、凄くたくましい。
メリーさんは私が病室に入って数分経った頃に目を覚また。
「う……うう~ん……」
「あ、お姉ちゃんが起きた」
「カイト……おはよう。今日は元気だね……良かった~」
メリーさんはむくっと起き上がり、カイト君を抱きしめる。
「ふぐぐぐぐ!」
メリーさんの豊満な胸で抱きしめられ、カイト君は苦しそうに手をバタバタと振っている。
「あ、キララちゃんもいたの~、それならおはようのハグをしないと~」
メリーさんはカイト君を窒息させた後、私の方を向き抱き着いてきた。
「ふぐぐぐぐぐ!」
――く、苦しい……何という大きさ。これはもはや凶器なのではないだろうか! あ……、でもなんか、すごい落ち着く。気がだんだん遠くなってきた……。寝そう……。
「キララ様、そのまま行くと死にますよ! 窒息死まっしぐらです!」
――!
私はメリーさんの体をぐっと押して何とか空気を吸い込み窒息死を免れる。
「はぁはぁはぁ……。メリーさん、すごく元気になりましたね……」
「そりゃあもう、元気元気~。一日寝れば元気になるよ~」
「そうですか、それならよかったです。目が覚めたら退院しても問題ないらしいので、今日、私と一緒に村に来てもらいますね」
「うん、了解です! バリバリ働かせてらいますね~!」
メリーさんは胸を張り上げ、手を兵隊さん見たく額へと当てた。
――これだけ元気ならもう心配なさそうだね。でも一日でここまで元気になるなんて、さすが魔法。医薬よりもすごいな。でも、魔法やスキルが凄いから国の上下関係がハッキリしちゃってるんだろうな。頭のいい人がいたとしてもスキルが弱かったら認めて貰えないんでしょ。あまりにも悲惨すぎないかな。でもそれが国の規則なのか。私達は規則に沿って生きていかないといけないんだな。暮らしにくい世の中だ。
「まだ、時間はあるのでベッドでゆっくりしてもらってもいいですよ」
「いやいや、私は他の子よりも遅れちゃってるんだから、その分早く動かないと。ただでさえドジしちゃうのに」
メリーさんは胸を弾ませながら、ベッドから降りる。
――なんとも、バインバインと聞こえてきそうな動きですな。ん? もしかして……。
「あの、メリーさん。ちょっといいですか?」
「へ?」
私はメリーさんのメロンをむぎゅっと握る。
「ひゃんっ! キ、キララちゃん、気が早いよ~」
「え? 何言ってるんですか。えっとブラジャーは着けてないんですか?」
「ブラジャー? あんな高い物買えないよ。ただでさえ、無駄におっきくなっていくのに毎回買ってられないし」
「まぁ、そうですよね。ブラジャーは確かに高いです。高いですけど……メリーさんは着けた方がいいと思います。そんなに動いてたら仕事になりませんから……」
メリーさんが動く度、大きな胸が跳ねる。
――これを見た男はいったい何人が悩殺されるんだ……。
「そ、そうですか~。それなら……どうにかしないとですね」
――ベスパ。メリーさん用に簡単でいいからブラジャー作れないか試してみて。私の頭の中を覗いてもいいから。
「分かりました。では、ぬぬぬ……」
ベスパは私の頭の中を覗いた後、メリーさんの体の周りを飛び回った。
特に胸あたりは念入りに観察し、構図を確認している。
「なるほど、なるほど。胸の出っ張りと乳房の付け根の差は27センチほどですか。キララ様の頭の中にある数値だとHカップくらいですね。では作成してきます!」
ベスパは窓から飛び出していった。
――いや……スゴ……。何、Hカップって、まだ13歳でしょ。いったいどこからそんな大きく実る程、栄養を得られたの。羨ましい……じゃなかった。いや。まだまだ希望はある。女の子の成長期は15歳くらいまであるはずだから、私にもあと5年残ってる。大丈夫、Dカップなんて贅沢は言わない、Cカップあれば十分です。何ならCカップ寄りのBカップでも構わない。神様、Aカップはもう沢山経験しました。だからちょっとくらい大きくしてもらってもいいですか。きっとお母さんが大きいから、大丈夫ですよね。いや、フラグじゃないですよ。
私はメリーさんの大きな胸を見て前世のトラウマが呼び戻されていた。
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