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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
大口契約が決まって順調そのもの! ~でも、街の様子がやっぱりおかしい偏~
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ブラッディバードの卵をエッグルと言う

――人の多い時間帯はやっぱり避けるべきだったかな。全然進まないや。まぁ、まったりしながら行こうか。


私達は、仕事へ向かう人たちを狙った露店を見てまわる。


野菜や果物、パン、干し肉、小麦、大麦、…結構いろんな食材が売られていた。


――やっぱり街は新鮮な食べ物でも手に入るんだな。生になればなるほど値段は高くなっている気はするけど、ウトサやソルトほどじゃない。でも、調味料はやっぱり少ないな。


「良い干し肉が揃ってるよ~。冒険者の方々の食事にいかがですか~」


「焼きたてのパンはいりませんか~。ホカホカでとっても軟らかいですよ~」


「新鮮な野菜はいりませんか~。しゃきしゃきでみずみずしい野菜だよ~」


多くの露店が商品を紹介する中、私の眼の端が白い物体を捉えた。


――ん? これは卵。……卵だよね。いや、卵かな……。


そこには卵と全く同じ白い楕円形の物体が売られていた。


ただ、あまりにも大きい。


鶏の卵の50倍はありそうだ。


言うなればダチョウの卵をさらに一回り大きくしたくらいの物体だった。


「あ、あの……、これは卵ですか?」


私は露店のおじさんに、卵を指さして聞いてみる。


露店に売られていたのは動物の皮や生肉、加工した干し肉なんかが売られていた。


「あ~卵? 確かに卵だがこれはエッグルだよ。ブラッディバードが産み落とす貴重な食材なんだ」


「ブラッディバード……って、あの大きな怪鳥ですか?」


――ブラッディバードは前に闘技場で見た覚えがある。参加していた冒険者さん達が棄権するくらいの魔物だ。ダチョウの2倍は大きくて、顔がものすごく怖い。色は黒と赤を基調としており、頭から血を被ったような真っ赤な毛が生えている。まさに怪鳥という名に相応しい鳥だった。


「ああそうだよ。気性が荒く巣に近づけないから中々手に入れることは出来ない。それにデカすぎて運びづらい。さらに割れやすい。王都くらいでしか手に入らない貴重な食材なんだ」


「そんな貴重な食材がなぜこんな所にあるんですか?」


「たまたま商人が通りかかってな『自分の専門外だ』と言っていい値で売ってきたんだよ。俺もその場の乗りで買っちまった。だが、高すぎて売れやしない……」


私は値段の掛かれている紙を見る。


「えっと、値段は金貨50枚。……いや、高っか……」


「王国で売られているエッグルの単価はもっと高いんだ。これでも、値段をだいぶ落としているんだよ。でも、そうだよな……。街で売るにはもうすこし安くした方がいいか。だが、これ以上落とすと売り上げが無くなる。ただ、そもそも売れなかったら無駄金になるのか。……はぁ……」


露店のおじさんは頭を抱え、大きなため息をつきながら卵を恨めしそうに眺めていた。


頭のてっぺんも薄くなってる。


きっと苦労しているのだろう。


「このエッグルは、いい食材なんですか?」


――卵だ。どう考えても、食事に使える。お菓子作りなんて、卵が無いとほとんどやっていけないくらいなんじゃなかな。需要はあるはずだ。


「ああ、この食材が無いと菓子は作れないからな。王国では重宝されている食材だ。ただ、いかんせん見つけるのが大変な食材でな。この街で買える場所は限られてくる。露店で売っている所なんて、ここしかないんじゃないか」


――やっぱりそうなんだ。


「このエッグルの状態はどうですか? 何か他のエッグルと違う点とかあったりしますか?」


「ん~、そうだな。普通のエッグルよりは一回り大きいと思う。殻にも罅が1つもなく状態もいい。王国で売っていてもおかしくない代物だ」


――なるほど。状態が良いなら、問題ないね。


「そうなんですか。えっと……そのエッグルを私に預けてもらえませんか?」


「ん……預ける? 買ってくれるんじゃなくてか?」


「はい、このままここに置いてあっても誰にも買われなかったらもったいないです。私はこの後にエッグルを使いそうなお店を回ってくるんですよ。そのお店に、このエッグルを見せてきます。誰かが買うと言えばお金と交換してきますし。……どうしますか?」


「そうだな……、ここに置いてあっても売れなければただのエッグルだ。食べようと思っても、きっと俺みたいな庶民には味が全く分からないだろうからな。嬢ちゃんにおねがいできるかい?」


「了解しました! 任せてください! その代わり、売り上げの二割をもらいますね!」


「はは……。ちゃっかりしてるな。売れ残った商品だ。元手さえ戻ってくれば、十分だよ」


「そうですか。では、このエッグルを預からせて貰いますね」


私は慎重にエッグルの乗っている籠を持ち上げる。


――ベスパ、起きて。この大きさに合った箱に木くずを詰めて、今すぐ持って来てくれる? あと文字が書けるだけの石炭もおねがい。


「ふが……。りょ、了解です! すぐお持ちします!」


私はエッグルを荷台に慎重に乗せた。


すぐ近くに置いてある牛乳瓶を1本取りだしてエッグルを売っていたおじさんのもとに戻る。


「おじさん、これ私の売っている商品です。よかった飲んでください。賞味期限が短いので、ふたを開けたらすぐ飲んでくださいね」


「あ……ああ、分かった。なんだかよく分からないがありがとう。あとでいただくよ……」


おじさんは見覚えのない形の容器に戸惑いながらも、牛乳瓶を受け取ってくれた。


私は牛乳瓶を手渡したあと、荷台に向ってすぐさま駆ける。


荷台に到着すると、エッグルの隣に木箱がすでに置かれていた。


「さすがだね、ベスパ。寝起きでも、仕事が凄く早いね」


「もちろんです。私の長所ですから」


ベスパは胸を反らせて誇らしげに決め顔をする。


「仕事をするうえでは最高だよ。でも、そんなに威張らないでほしい……」


木くずが大量に入った木箱に、私はエッグルをすぐ入れる。


「こうすれば、簡単には割れないはず。取り出した木くずを入れ直して蓋が取れないようにしっかりと閉めれば……よし! これで移動中に割れずに済むぞ。あとは蓋の上にそれっぽい字でエッグルと書けば、高級な食材に見えるはず」


「おお……なんかすごいですね。高級感が一気に増したんじゃないですか」


「でしょ。まぁ、エッグルをいつも見ている人たちなら、良い品か悪い品かの判断は出来ると思う。だから、見かけだけ綺麗に繕っても意味ないんだけどね。このエッグルが粗悪品だったらすぐばれちゃうだろうし。私達が買うわけじゃないから、ついでに見せて買ってもらえたらいいな~くらいの気持ちで持ってこうと思う」


「そうですか。でも買ってもらえたら幸運ですね」


「うん、金貨50枚で売れたら私達の元に金貨が10枚も入ってくるんだよ。しかも、ただでだよ。こんな美味しい話はないよ。まぁ、売れるかはまだ分からないけどね」


私は木箱の蓋を再度しっかりと閉めて出来るだけ揺れ動かない場所に置く。


「よし、レクー。少し寄り道しちゃったけど、リーズさんの病院に向かおう」


「了解です」


私は手綱を握るとレクーは動き出す。


私達は綺麗に整備された道を進み、リーズさんの病院に向かった。


先ほどよりも通行人が少なくなっており、移動はしやすかった。


移動しやすくなっただけで進む速度は相変わらず遅い。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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