表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
166/1148

黒光りする虫

「結構暗くなっちゃったな……。ベスパ、光れる?」


「はい、魔力を流してもらえれば」


「分かった」


私は魔力をベスパに流し込むよう意識する。


するとベスパは白色光を放ち、一帯を照らした。


「うん、見えやすくなった。これなら前を気にしなくても安全に走れる」


私達も街の出口にまで到着し、兵士のおじさんに挨拶する。


「こんばんは」


「はい、こんばんは」


「おじさん。ちょっと聞いてもいいですか」


「ん? なんだ」


「私達よりも前に男の子が通りましたよね」


「ああ、通ったぞ。そう言えば、嬢ちゃんの友達だって言ってたな。何かあったのか?」


「いえ、ちょっと確認したかっただけなので。それじゃあまた明日来ますね。さようなら」


「はい、さようなら」


どうやらウシ君達は無事に門を抜けられたらしい。


私達は村までの道を進み、約3分の2進んだところでウシ君達と合流した。


「はぁはぁはぁ……やっと追いついた。結局暗くなるまでまでかかってしまった。大丈夫だったガンマ君」


「はい、無事に門を通過できたので誰にもバレませんでした。兵士のおじさんに大分睨まれたんですけど、僕何か間違った行動してませんよね?」


「う、うん。してない……していないよ。兵士のおじさんが睨んできたのは多分、私の行いが影響しているだけだから……。ガンマ君は何も気にしなくていいよ」


「そうですか。ならよかったです」


私達はベスパの灯りを頼りに外灯の無い荒道を進んで行く。


――暗い夜道はやっぱり怖いよね。なんでなんだろう……。ベスパの灯りがあるとはいえ人の気配も無ければ、誰かが住んでいるという痕跡も無い。こんな道を進んで行くと私達の村があるんだけど、何で遠くの山付近に作ったんだろうか。まぁ……殆どの家が林業をしていたみたいだから、ベースキャンプが大きくなった感じかな。


「あ! お兄ちゃん見て! 灯りが見えてきたよ!」


テリアちゃんが帆から顔を出して、目を輝かせながら村の灯りを見る。


「ああ、見てるよ。寝てる子もいるんだから、もう少し静かにしてて」


「は~い!」


「大きな返事だな。元気があってよろしい」


――ガンマ君とテリアちゃんは相当仲がいい兄妹みたい。私は今まで一人っ子と姉しか経験がないので、兄や姉がいると言った感覚がよく分からない。頼りになる存在なのだろうか……。そもそも、私は頼りにされているのだろうか……。


「さ、皆。もう少しで村につくから、心の準備をしておいてね」


私達は何事もなく街から帰宅した。


私は移動中に不慮の事故が起きなくて胸を撫で下ろす。


村に入ると各家庭の灯りが窓から逃げ出しており、外灯の無い荒道よりも周りがよく見える。


「ベスパ、周りが十分見えるようになったから、もう光らなくていいよ。あ、一応いつでも光れるように準備はしておいて」


「了解です」


「ウシ君、レクーの後ろに付いてきて。今から皆が住む家に案内するから」


「分かりました……」


「それじゃあ、レクーは私の先導で動いてね」


「はい。分かりました」


私はレクーを先導し、皆が住む予定の空き家が多くある場所を目指す。


道を照らしていた家の灯りが段々と弱くなっていき、灯りの付いている家が周りから無くなった。


つまり、家の中に人がいなくなったということだ。


「やっぱり、ここら一帯は人が住んでいないんだ……。凄くもったいないなぁ。えっと……数日前、見に来た家がもう少し行った所にあるはず」


私は以前訪れたときの記憶をたどり、何とか目的の家に到着した。


「あ、ここだ。レクー止まって」


レクーはしだいに減速していき、目的の家の前で止まった。


ウシ君もレクーの後ろに止まる。


「さてと、鍵は持ってたっけな」


私は服のボケットに手を突っ込むが、何も入っていない。


入っていたのは、牛乳瓶の蓋だけだった。


「やっぱり持ってないや。ベスパ、家の中に入って開けてきてくれる?」


「了解です。すぐに開けてきますね」


ベスパは木の扉をすり抜けていった。


すぐに家の中でガチャガチャと音が聞こえ、ガチャン!と大きな音が鳴る。


その後、ベスパは木の扉を再度すり抜けてきた。


「開きました」


「ん、どれどれ……」


私は扉に手を添え、少しずらす。


『ギギ……』


建付けは悪いが一応開いている。


「この家の中には誰もいないよね?」


「はい、人物らしき者はおりませんでした。その代わりに私の友達が大量に住んでいるのですが……どうしましょう。出て行ってもらいますか?」


「友達って、虫だよね」


「はい、そうです」


「それなら……あまり出会いたくないし、この家から出て行ってもらいたいかな」


「そうですか、了解しました。友達の皆さんには、この家を出て行ってもらうよう説得してきます」


ベスパは家の中へ再度入って行く。


数秒後、私の背筋に凍り付くような怖気がゾゾゾゾゾゾ……と走る。


家の入口から黒光りする輩が現れ、私は目を疑った。


――うっわ……。気持ち悪……。どう見てもゴキブリじゃん。まさか姿形がほとんど一緒だなんて。さすがゴキブリって感じ。それにしても、何匹いるんだろう。パッと見た感じ、200匹は優に超えてるよね。でも、久しぶりに見たな、ゴキブリみたいな虫……。


私はゴキブリに似た虫を見て、懐かしい気持ちが少し込み上げてきた。


――蜂より、ゴキブリの方が全然ましだよ……。だってゴキブリは何もしてこないもん。逆にゴキブリが何をしてるって言うのさ。ゴキブリたちは、身を静かに隠しているだけでしょ。それを人は『ゴキブリが気持ち悪い』というだけの理由で、殺しちゃうんだから。何て可哀そうな虫達なんだろう。


私はぞろぞろと出てくる虫たちに同情していると、子供達が大きく反応する。


「あ! 『ブラットディア』だ! いっぱいいるよ! 早く捕まえないと!」


――え?


「ほんとだ! 今夜はお腹いっぱい食べられそうだ! よし、皆で沢山捕まえよう!」


――え……え……?


ガンマ君とテリアちゃん、他の子供達は荷台から一斉に飛び出し、ゴキブリに似た虫たちに飛びついていく。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ