表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
160/1149

大口契約

「それでは本題に入らせてもらいます。皆さんが欲しいのはこの、牛乳ですよね」


私は、机の上に、数本の牛乳瓶を置いた。


「そうそう! これが欲しかったんです!」


一番早く反応したのは、お菓子屋さんのショウさんだった。


「へぇ……これが牛乳ですか、オリーザさんの話は聞いていたのですがまだ飲んでいないので、よく分からないんですけど。ただ……モークルの乳ですか、なかなか攻めた商品を売りますね」


商人のルドラさんは物を見定めるような眼で、牛乳瓶を凝視する。


「それなら一度飲んでみてください。商人さんの意見も聞いてみたいので」


「そうですか……、では一本いただきますね」


「自分も貰いますね……、調べる対象ですから……」


ルドラさんとスグルさんはテーブルの上に置かれた牛乳瓶を手に取り、ふたを開けた。


まず牛乳を目視する。


「これがモークルの乳ですか……。こんな綺麗な白色をしている飲み物でしたっけ。僕の見てきたモークルの乳はもう少し澱んでいた気がするんですけど」


「本当ですね……、自分もよく仕事を任されるので、モークルの乳は見慣れてますけど、ここまで綺麗な白色は初めて見ました……」


私以外の人たちは、初めて牛乳を飲む2人をにやにやと見詰めている。


この後どうなるかを知っているかの様に……。


ルドラさんとスグルさんは牛乳を一口飲んだ。


そして目を大きく見開き、残りの牛乳を一気に流し込んだ。


「何ですかこれ! 絶対にモークルの乳じゃないですよ!」


「う……美味い。全く臭くないし。これがモークルの乳なら……、今まで飲んできた液体はいったい何だったんだ……。もしかして……泥水だったのか……」


「どうだ? ルドラ。このモークルの乳なら王都でも通用しそうだろ」


オリーザさんは、にやつきながらルドラさんに話を振る。


「は! それで僕に声を掛けたんですね。オリーザさん……」


「なるほど……、王国で売るためにはそれなりの調査文章が必要ですから……自分が呼ばれたという訳ですか……」


大人たちが勝手に話し合いを初め……私は話が分からなくなっていく。


「え……え……何、どういうことですか。私はただ、配達先を増やしたいと思っていただけで。王都で牛乳を売るなんて全く考えてなかったんですけど」


「あ、すまねえな嬢ちゃん。今の話はまだまだ先の話だ。そこまで気にしなくていい。まぁ、どう考えても100%売れる気しかしないが、最低限の情報収集は必要なわけだ。この2人に任せておけば、勝手に事は運んで行く。見ろ……商人の表情になったルドラの顔。目が金になってるだろ。流石、商人なだけある。この牛乳がどれだけ凄いのか、分かってるみたいだな」


――王都でこの牛乳を売ったらどれくらいの値段になるんだろう……。


「あの、ルドラさん。牛乳は王都ならいくらで売れると思いますか? えっと、王都までは大分遠いので、それなりの時間が掛かりますし、冷やし続けないと質が悪くなるので、頻繁には出荷できないと思うんですけど……」


ルドラさんは顎に手を置き、ブツブツと何かを唱えながら考えている。


そして、少しずつ話始めた。


「そうですね。この品質で味。王都なら、金貨5枚でも出す人はいるでしょうね。何なら10枚でも出すでしょう。これほどの商品が買えるのなら、貴族も飛びついてくると思います……」


「そ、そんなに」


「飲んだだけで大分わかるが……相当品質も良い。これほど質の高い飲み物は見た覚えがない……。これ……自分が調べる必要ありますかね……。それに、この容器も面白い……。軽くて強度もありそうだ……。いったいどうやって作ってるんだ……気になる……」


――なんか、すごい大絶賛されてるみたい。良かった。


「それで、私達の牛乳はどうなるんですか?」


ショウさんは待ちきれなかったのか、早く帰って試作品を作りたいのか、少々せっかちなのかもしれない。


「そうですよ。私たちにも売ってもえるんですよね」


喫茶店をやっているカロネさんも、早く牛乳を試したくて仕方がないといった表情をしている。


「はい、もちろんです。えっと……これから人手が増えそうなので、今までよりも多く出荷できるはずです。ですが、とりあえず初めの7日間は1リットルの牛乳パックを10本の配達にしようと思います。牛乳パックというのは、これですね」


私は牛乳パックをテーブルの上に出し、皆に見せる。


「牛乳瓶と比較すると、約4倍の量になります。オリーザさんは知っていますよね」


「ああ、すぐ無くなっちまうがな」


「皆さんの手もとにいきとどくよう、出来るだけの配慮は致します。個数制限も出来るだけなくして行きたいと考えています。その話は牛乳を使った商品がどれだけ売れるかによって決めさせてもらいますね」


「まぁ、それでいいか……。ここにいる皆、その牛乳っちゅう乳を使わせてもえるっちゅう話やな」


今まで黙っていた、板前気質のウロトさんが腕を組みながら目を細めている。


「はい、それで値段の方なんですが……。ルドラさん、どれくらいが妥当ですかね」


「そうですね。王都で売るには、値段を大分高くして良いんですがこの街で売るとなると、王都よりは安くしないといけないですし。かと言って高すぎても、低すぎてもいけませんからね……。そもそも、モークルの乳は飲める品であれば結構高めで取引されるんですよ。他の動物たちに適量を飲ませると成長度合いが、格段に良くなるみたいなので」


「そうなんですか、初めて知りました」


「ただ、牛乳ほどの品となると……、僕も見た覚えが全く無いので一概には判断出来かねます。でも、牛乳パックの大きさで10本なら、金貨5枚でも良いのではないでしょうか」


「金貨5枚!!」


「ああ、いいんじゃねえか。この牛乳っちゅうんが金貨5枚で買えるのなら、俺は買わせてもらう」


ウロトさんは、組んでいた腕を崩してテーブルの上に両手を置いた。


「もちろん私もです! 何ならそれ以上出しても構いません! モークルの乳はお菓子にとって命そのものですから!」


ショウさんはテーブルの上に両手を身を乗り出す勢いで置いた。


「私もです。絶対に女性から絶大な人気を得られると思うので、今すぐにでもいろんな紅茶と合わせてみたくなってきました」


カロネさんはテーブルの上に両手を静かに置く。


「もちろん俺の店も同じ値段で買わせてもらうぜ。今までの金額があり得ないくらいだったんだからな。これからはキッチリ払わせてらもうぞ、嬢ちゃん」


オリーザさんは、テーブルの上に両手をドカッと置く。


「これ、僕も買っていいんですよね。王都のもの好きに少し飲ませてみたいので……」


ルドラさんは、テーブルの上に両手を綺麗に置く。


「まず、検査のために10本……。金貨5枚はデカいが……、経費で落とせばいい。それに、後を考えたら……安い出費か。今日はやけに頭が回るな、牛乳を飲んで疲れが飛んだか……」


スグルさんは、テーブルの上に両手をそっと置く。


「えっと皆さん、牛乳を購入されると言うことでよろしいですか?」


「はい!!」×6


――うえ……どどど、どうしよう。大口契約がいきなり取れてしまった。料理に使ってくれるのが4人、牛乳の検査をしてくれるのが1人、いろんな人に発信してくれそうなのが1人。よく考えたら最高の人選なのではないだろうか。ここまでそろっていると、狙ってやっているとしか思えない。もしかして、オリーザさんが選んだ理由って……。


「わ、分かりました。今日はオリーザさんの分と、試飲用に少ししか持ってきていないので、配達は明日になってしまいますが大丈夫ですか?」


皆さんは、私の都合に合わせてくれて構わないと言ってくれた。


すぐさま明日から、7日おきに牛乳の出荷先が決まった。


このままうまくいけば、子供達を難なく引き受けられそうだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ