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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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地下水路の少年少女

「今日はやけに早かったな、何時も夕方ごろに来るのに」


「いえ、今日も夕方ごろに来る予定なんですけど、もしかしたらこれなくなるかもしれないと思いまして。先に牛乳だけでも届けておこうと…」


「そうか、分かった。それで、牛乳の値段は変わったのか? ギルドに聞いてきたんだろ」


「それが…値段が低すぎるから上げろって。3倍くらい上げても良いだろう、そうしないと他の同業者が潰れるって…言われました」


「ま妥当だな…、それじゃあ3倍の値段を払うぜ」


「え、良いんですか? 3倍の値段ですよ…」


「もちろん。3倍だろうが5倍だろうが俺は嬢ちゃんとこの牛乳を使わせてもらう。じゃあちょっと待っててくれ、今持ってくる」


オリーザさんは店の中に戻って行き、袋を持ってきた。


「この中に金貨3枚入っている、確かめてくれ」


「は、はい…」


――うわ、ほんとに金貨3枚入っているよ。


「はい、確かに金貨3枚入っていますね。それじゃあ、私はこれで…」


「あ、そうそう。今日の夕方にもう一度来るんだったよな?」


「え、あ…はい、一応」


「その時、他に声を掛けた店の奴らが来るからよ。そいつらの話を聞いてやってくれ。多分…いつもの感じだと5時か6時あたりだと思う、その時間になったら来てくれ」


「分かりました。5時くらいですね。覚えておきます」


私はオリーザさんのお店を離れる。


「金貨3枚…凄い…。こんなに貰えちゃったよ…」


「本当ですね。昔のキララ様からしたら大金です」


「ほんと…教会で掃除してた時の4年間を優に超えてしまった…。まぁでも神父様にはいろいろと教えてもらったからそっちの方が価値高いかもしれないけど。よし、それじゃあ…他の子供たちの所へ行こう。ベスパ案内してくれる?」


「はい、勿論です。それでは向かいましょう」


私はレクーの荷台に乗りベスパを追いかける。


「そうだ、ベスパ。もう一回子供たちの映像を見せてよ。ウシ君の方も気になるからさ」


「了解です! それでは今から向かう子供たちの映像とウシ君達の映像をキララ様に共有します」


私は、眼を閉じてビー達の視界を借りる。


「おーい! 皆、はぁはぁはぁ…これ見て!」


男と太った男に襲われていた少女は腕に多くの商品を抱えて地下水路を走っていた。


「おー! セチア。よくこれだけ盗めたな。流石だよ…」


少女と殆ど同じ身長の青年がランタンを持ち、待っていた。


「どうだー凄いでしょ! 私だってやる時はやるんだよ。 そう言えば他の皆は?」


「ああ、あっちで飯食ってるよ。お前も食べるか?」


「うん、食べる!」


少女と少年は地下水路を歩き、奥へ進んで行く。


暗く湿ったその空間は日の光も届かない。


少年がランタンを持ち、放射状に広がる光を頼りに闇を照らしながら進む。


「おーい! 皆ー。見てよこれー。私が盗んできたんだよ!」


「あ! セチアお姉ちゃんだ!」 「ほんとだ! ラルフのお兄ちゃんもいるよ!」


地下水路の一角にある待機所に10人ほどの子供たちが集まり食事をとっていた。


「ほら! これを売ればもっといっぱい食べられるよ。黒パンなら皆一個ずつ食べられるかも」


少女は盗んできた品を子供たちに見せる。


「ほんと! 嬉しい!」 「僕、もっと食べたい!」


子供たちの食事は途轍もなく貧相で、1つの黒パンを10人で分けて食べ合っていた…。


その量は手のひらに収まる一欠片…。


きっと子供たちのお腹は膨れていないだろう。


「ラルフお兄ちゃんの方は?」


1人の子供がランタンを持つ少年に話しかける。


「え…ああ…ちょっとへましちまってな…。食べ物を盗んでこれなかった…。雨のせいだな」


「そんなの言い訳だよ~、どうせ普通に盗めなかったんでしょ。ラルフは無駄に正義感が強いから」


少女は少年の横に立ち、自身の盗んできた品をチラチラと見せながら、からかう。


「な! 俺は皆の為に盗もうと努力してるさ! ただ…」


「ただ、なに…? 」


「やっぱり俺には盗みなんてできない…。こんな所にいても俺たちに未来はない…。ちゃんと仕事しないと…。盗みをいつまでも続けてたら、誰か死んじまう」


「そんな綺麗事を言っても、私達にはどうしようもないじゃん。子供だからまだ働けないし、働けたとしても使い潰されてボロボロになるだけだし…。私達は物を盗んで生きて行くしかないんだよ。ここから出たら…それこそ死んじゃうじゃん。もうちょっとここで生活していようよ。ね、ラルフ」


少女は、盗んできた品を地下水路の床に置く。


「……」


少年はその場から離れていく…。


「ちょっと…どこ行くの? ラルフもまだ食べてないんでしょ。少しでも食べないと、体もたないよ。私達これでもギリギリなんだから…」


少年の骨と皮だけにしか見えない細くなった右手を少女は掴む。


「放してくれ、俺は今からギルドに行ってくる」


「え? 何でギルド…もしかして、冒険者になるつもり…。無理だよ…私達にはまだ早いって! もう少し鍛錬してから2人で行こうと言ってたでしょ!」


「このままの生活を続けるよりも、冒険者になって、危険を冒してお金を稼いだ方がこの生活から抜け出せるよ。皆も助けられる」


「ダメだよ! 私達じゃゴブリンだって倒せないんだよ! それなのにラルフだけが冒険者になっても出来る仕事無いじゃん!」


「うっせーよ! 女は黙ってろ! 俺は行く…」


少年は右腕を掴む少女の細腕を薙ぎ払って来た道を戻って行った。


「セチアお姉ちゃん…ラルフお兄ちゃんどうしちゃったの…」


「ごめんね…、ラルフは多分お腹減りすぎて頭おかしくなってるんだよ。今から止めてくるから。皆はもう少しここで待っててね…。もう…あのバカ…」


「おねーちゃん、こんな所にビーがいるよ。エイッ!」


『パン!』


地下水路にいるビーは幼女にあっさりと潰された。


その瞬間、ウシ君達の方に映像が移り変わる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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