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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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廃墟の屋根を受け止めるビー達

「了解です!」


ベスパは発光し、魔力を集めたビー達に分け与える。


『ドン!!』


と言うすごい音がして、胸が締め付けられるような圧迫感が私を襲った。


木の柱がギシギシと大きな音を鳴らしている。


数秒間机の下にうずくまっていると、胸の苦しみは収まった。


「キララ様、我々が抑え込んでいる間に外へ!」


――わ…分かった…。


私達は机の下から出る。すると…


廃墟の屋根を受け止めているビー達の翅音が聞こえる…。


――見たらだめ…見たらだめ…。心を無にして…何も感じ取らないようにしないと…。


「うわ~凄い! いっぱいいる~、数え切られないよ!」


テリアちゃんはビー達が屋根を受け止めている光景を見ているようだ。


地獄を見てそんな感情が出てくるなんて…。


私達は何とか廃墟から脱出し、事なきを得た。


――ベスパ、もう大丈夫。


「分かりました、退散します」


その瞬間私は目を瞑り、両手で耳も塞ぐ。


大量に羽ばたくビー達の巻き起こす風は凄まじくヘリコプターの真下にいるような感覚になった。


しだいに風は弱くなり『ズシャンッ!』という音と共に廃墟が潰れた…。


「ふ~危なかった…。やっぱり壊れたか…」


「もしキララさんがここに来なかったら僕達…。潰されてたんですね…」


ガンマ君は何かを思い悩むような表情をしているが、すぐ元に戻った。


「それじゃあ、僕、友達のところに行ってきます。雨も止んでますしさっきの話をして皆を連れてきますね」


「うん、よろしくね」


ガンマ君は颯爽と走って行った。


「さてと…私はパン屋さんと他の子供たちの所に行かないと…。テリアちゃんはどうする? 一緒に来る。それともここで待ってる?」


「私はお兄ちゃんが戻って来るまで待っていようと思います。あの中で寝ててもいいんですよね」


テリアちゃんはウシ君の荷台を指さす。


「うん、問題ないよ。あそこなら雨にも濡れないし、強力な護衛が付いているからね」


「護衛? って何ですか…」


テリアちゃんは頭をかしげて、質問してくる。


「ああ…えっと、テリアちゃんを守ってくれる強い味方かな」


「え! 私を守ってくれるんですか。お兄ちゃん以外に…嬉しいです!」


「それじゃあ、紹介するね。テリアちゃんの味方」


「はい!」


私はテリアちゃんの手を引いて、ウシ君のもとに向かう。


「この子がテリアちゃんの強い味方。ウシ君です。ウシ君ならテリアちゃんを必ず守ってくれるから。それに他の子供たちもまとめて守ってくれる凄く強い味方なんだよ」


「ほんとですか。えへへ、えっとこんにちは、テリア・サリンズです4歳です」


『はぁ…どうも…。幼女を食べてもいいですか?』


「こんにちは、僕の名前はウシ君です。どうぞよろしくだって!」


「キララさん! 動物さんの言葉が分かるんですか! それに虫さんとも話してたし!」


「え…あ、いや…そのまあボチボチ…」


――動物の方は分かるかもしれないけど…。虫の方はどうしてバレた…。


「私も動物さんとお話ししたいな…。いつかできるようになりますか!」


「さ…さあ、もしかしたら出来るようになるかもね」


私はテリアちゃんをウシ君の荷台に乗せた。


「それじゃあ、ウシ君。何かあったら皆を守ってあげてね。ビー達を一応配置させておくから、情報はすぐベスパにとどくと思う。私たちが来るまでたいしょしておいて」


「ヘイヘイ分かりましたよ…。人が死なない程度に振り回しとけばいいんでしょ」


「もう、素直じゃないんだから」


私はすぐさまレクーの荷台に乗り、走り始めた。


「まず仕事を終わらせてこよう。このまま遅くなると、あとで面倒だから。ベスパ、他の子供たちは安全なんだよね」


「はい、特に今日は問題なさそうです。1人の少女が襲われそうになっていたので止めましたが、その後は特に問題ないようです。万が一何かが起こった場合には、その場を鎮圧させる方向で対処します」


「そうした方がいいね。一方的にやっちゃうとそれはそれで問題になりそうだから。えっと…今のところ4人…あと21人も残ってる。急がないと…時間が足りないな。レクー、オリーザさんのパン屋さんに向かって」


「了解です!」


私達はオリーザさんのパン屋さんに到着し、店の状況を見る。


道の端まで行列が伸びていた。


「やっぱり今日も繁盛しているな。丁度お昼時だもんな…、牛乳だけお店に置いてまた来週こようか」


私は荷台の前座席から降りる。


「よいしょっと。とりあえず『急ぎの用事があるので7日分の牛乳を置いておきます。代金は7日後で構いません。またよろしくお願いします』といった感じで手紙を書いて…。ベスパ打ち込んでくれる」


「了解です」


ベスパの針が紙を貫通しクーラーボックスの上蓋に刺さる。


「よし、これで問題ないかな…。じゃあちょっとお店の方を見てくるから。オリーザさんが見つかったらベスパはそのクーラーボックスを持って私の所まで来て」


「了解です」


私はレクーたちから離れ、オリーザさんのお店の反対側へ回ってみる。


「あ…。やっぱり扉がある。あそこから中に入ってクーラーボックスを置いておけば大丈夫かな…。いやいや、とりあえず扉を叩いてみよう」


私は扉を数回叩く。


『ドドドドド!』


扉へ駆け寄ってくるような音がして『ばんっ!』と開いた。


「あれ? キララちゃんどうしたの。あ…今日7日目だっけ、オリーザさん! キララちゃんが牛乳を持って来てくれました!!」


コロネさんは料理場の方へ大声を出す。


「分かった! すぐ取りに行く!」


オリーザさんの返答が帰ってきた。


「あ…あの、忙しいところすみません…。大変な時間帯に来てしまって…」


「いやいや、材料が無いとパンが作れないんで問題ないですよ」


「嬢ちゃん、牛乳は!」


オリーザさんが勢いよく飛び出してきて、聞いてきた。


「え、えっとあっちに…」


私はレクーの荷台がある方を指さす。


「よし! 取ってくる!」


「あ、でも今は…」


オリーザさんがレクーの荷台に付けている帆を開けた瞬間、待機していた大量のビーがその場を舞った。


「どわぁ! めちゃく大量のビーが…驚いたぜ…」


――ベスパ、皆を分散させて。


「はい、今すぐに命令を出します」


ベスパが光ると、ビーたちはその場から飛び去って行く。


「あれだけいたのに、一回も刺されないなんて珍しいな…。まぁ…いいか。よいっしょ!」


牛乳パックの入ったクーラーボックスを持ち、オリーザさんは戻ってきた。


「ビーたちも欲しがる美味さってことだな。この牛乳は」


「は、はあ…そうかもしれませんね…」


私は苦笑いしながら、その場をごまかす。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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