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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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廃墟の兄妹

「お話があります。メリーさん」


「え? お話…いったい何の…」


「私達と働きませんか、もちろんカイト君も一緒に」


「働く…、でも私…ちゃんと働いたことないし…。私が役に立てるかどうか…」


――精神…相当削られているみたい。そりゃそうか…。


「仕事の内容は動物のお世話が中心になります。この街じゃなくて少し離れた所にある私の住んでいる村なので移動してもらわないといけません。もちろん私達が運びます。それに働いてくれた分だけお金も払いますし、寝床も食事も出します。辛いときは辛いと言っていただければ私の方で何とかしますし…」


――どうだろう…。いい返事がもらえるだろうか…。特典をもっとつけた方がよかったかな…。福利厚生とか…。


「行きます!!」


ベッドの上で上半身を起こしているメリーさんは、先ほどまで垂れきっていた目尻を上げて、凛々しい顏で返事をした。


「え…あ、はい…」


私はメリーさんの早すぎる決断宣言に驚いてしまい、あとの言葉が詰まる。


「キララさん、僕も行っていいの!」


カイト君は目を輝かせながら私を見てきた。


「もちろん、カイト君も一緒に働いていいんだよ」


「ほんと! なら僕も働くよ。お姉ちゃんばっかりに無理させたくないし!」


――カイト君はこの歳にしてよくできた子供だ…。きっと好青年になるだろう。


「えっと、それじゃあ、メリーさんとカイト君は村に来てくれると言うことでいいですね」


「もちろんです! もう、寝床と食事があるってだけで行かせてもらいます! さらにお金までもらえるなんて…。たとえ銅貨1枚でも働きますよ! 何なら全裸で働けと言われても働かせてもらいます!」


「いや…そんな命令しませんから…」


――メリーさんは少し変わった性格なのか天然なのかよく分からないが、これで従業員が2人増えた…。それに2人の命も守れたし順調だ…。


「それじゃあ。メリーさんとカイト君はここでしっかりと体力を回復させておいてくださいね。仕事は体力を使いますから」


「はい! 分かりました」


「私は今からまだ行かないといけない所がありますので、明日にまた様子を見に来ますね」


「頑張って1日で体力を回復させます!」


――意気込みが凄い…。それだけ熱量を出せるなら入院しなくても問題ないんじゃなかろうか…。


私はメリーさんの病室を出ると、ベスパが報告してきた。


「キララ様、次の子供たちの所へ向かいましょう。ビーの子で大分体調は良くなりましたが俄然危険な状態には変わりありませんので」


「そうだね、次はどこに向えばいい」


「教会の近くにある廃墟の中に兄妹でうずくまっている2人の子供が居ます。この子たちから迎えに行った方が良いかもしれません。廃墟が倒壊する可能性があります」


「あの子達か…。分かった、向かおう」


私は急いで出発の準備を整えた。


レクーの荷台に乗り、ウシ君も連れて行く。


「よし、出発するよ」


革製の手袋をはめて、手綱を握る。


7日前にうかがった教会を目指し、狭い道をたどり、うねる道を進む。


向かう途中でウシ君が色々と壊しかけるが何とか回避し、私達は教会近くの廃墟にようやく到着した。


「ここか…実際に見ると、家が劣化しちゃってるよ…所々瓦がはがれてるし。これじゃあ雨もしのげないね…」


私は荷台から降り、雨に濡れている地面に着地する。


この時、出来るだけ泥跳ねを起こさないよう静かに足を付けた。


「あのー、すみません。聞こえますか!」


私は廃墟に向って声を掛ける。


「あれ? おかしいな…すみませーん!」


再度声を掛けるも反応が無い…。


「ベスパ、ほんとにいるの。私もさっき見たけど時間が経ってるから、子供達が移動してるとかない?」


「はい、いるはずです。恐怖心で出てこられないのかもしれません」


「私、怖そうに見える?」


「人それぞれなのではないでしょうか」


「それもそうか…。あの~私はあなた達に提案があるんです。聞いてもらえませんか!」


『ガタン…』という音が聞こえ、何かがうごめくのが見えた。


「え…。ボール…」


私の足もとへ転がってきたのは革が剥がれ下地が見えてしまっているサッカーボールのような球体だった…。


「何でボールが…転がってきたんだ?」


「キララ様!! 回避してください!」


「!」


私はベスパに言われて気づいた。廃墟から私の方へ石が投擲されている。


私は顔すれすれでどうにか回避できたが、次々に石が投げ込まれてくる。


「え、なになに! 何で石が飛んでくるの。もしかして攻撃されてる!」


「その可能性は高いですね。彼らにとっては我々も敵に見えるのでしょう」


「そんなに追い込まれてるの…。どうしたら敵じゃないって分かってもらえるんだろう」


「こちらも何か投げ込みますか? 食料や小袋などを」


「確かに、あっちが敵だと思っていた相手から食料が投げ込まれたら『もしかしたら敵じゃない』と思うかも。それじゃあ、子供たちに当たらないようにベスパ達が子供達の上から落としてくれる」


「了解しました」


ベスパは飛んでくる石を掻い潜り、廃墟の屋根に飛んで行く。


すると、ベスパの命令に従い数匹のビーが牛乳瓶に入った水と子袋を持って廃墟の屋根に飛んで行く。


ビーたちが瓦の隙間から中に入り、下降する。


地上から2メートル付近の空中で停止し、そこで持っている牛乳瓶と小袋を落とした。


すると石の投擲が止み、もぞもぞと何かがはい出てくるのが見える。


「あ…あの! これ、あなたがくれたんですか!」


廃墟から出てきたのは可愛らしい幼女だった。


服をドロドロにしながら私に近づいて子袋を見せてくる。


「おい! テリア勝手に出て言ったらダメだろ!その人が悪い奴だったらどうするんだ!」


遠くから幼女とは違う声が聞こえた。


「でも、お兄ちゃん! この袋はさっき私たちが食べてたのと同じ奴だよ」


「そうかもしれないが、偶然かもしれないだろ。そうやっておびき寄せて僕たちを処分しようとしているのかも。あの教会の連中が裏にいるかもしれない…。容易に近づいたらダメだ!」


廃墟から抜け出し、手には錆びれたナイフを一本持った少年が私を威嚇する。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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