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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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風邪を引いている少年

私はベスパに連れられて、病気の子供たちがいる橋の下まで来ていた。


「キララ様! この子が今一番危険な子供です。大分風邪が進行して居まして…、ただの風邪だと思うのですが栄養不足で体が耐えきれなかったのかと…」


私はすぐさまレクーの荷台から降り、橋の下に潜る。


「ほんとだ、さっき見た子供が1人いる」


「お…お姉ちゃん…、じゃない…」


少年は濡れた状態で縮こまっていた。


「お姉ちゃん? ああ…もう1人の女の子か…。えっと…少し大人っぽい女の子だよね」


その子は小さく頷いた。


「大丈夫、その子は安全な病院にいるはずだから」


「え…お姉ちゃん病院にいるの…。それってほんと…?」


「ほんとだよ。だから安心して」


少年は安心したのか、体の力を抜き、深く息を吐いた。


「さてと…君、名前は?」


「カイト…」


「カイト君か、いい名前だね。あ、そうだ…お腹空いてるでしょ、今ちょっとしたものを食べさせてあげるから。きっと元気になれるよ」


私はポケットから小袋を取り出し、カイト君に手渡す。


「これは…」


「これはとても栄養価の高い食べ物。とりあえず食べて、その間にカイト君の体を乾かしちゃうから」


カイト君は橋の下にもぐっていたものの、体を雨に打たれ濡れていた為、すぐ体を乾かして温めてあげる必要があった。


私から小袋を受け取ったカイト君は震える指先で乾燥したビーの子を摘まむ。


恐る恐る口の中に入れ咀嚼し、相当美味しかったのか1つ…また1つと口まで運んで行く。


「食欲があるならまだ大丈夫かな…。『ファイア』『ウィンド』」


カイト君のボロボロの服に魔法を当てながら乾かしていく。


「ベスパ、水を持って来て」


「了解です」


ベスパは水の入った牛乳瓶を持ってきた。


「カイト君、この中に水が入っているからゆっくりと飲むんだよ」


私は地面に置かれた牛乳瓶を手取り、蓋を取ってカイト君に手渡す。


「は…はい…」


カイト君の服は大分乾いた。


髪の毛も雨水で濡れていたが乾かすと細くて、きめ細やかなつやのある髪が復活した。


「よし…。これでしっかりと温めればすぐには死なないな…。カイト君のお父さんとお母さんはなにしているの?」


――残酷かも知れないがちゃんと1人1人に聞いて行こうと思う。どんな状況下でこうなったのか…、そして彼らに自分自身で決められるのかどうか。


「お父さんとお母さんは…いない。いるのはお姉ちゃんだけ…僕のお父さんとお母さんがいなくなって…おじさんの家を追い出されて…道で倒れていたら。そのお姉ちゃんが助けてくれた…」


「お姉ちゃんとは本当の姉弟じゃないんだね…。ごめんね辛いこと聞いちゃって…」


「ううん…お姉ちゃんとの生活は楽しかったから、全然平気…」


「強いね。カイト君は、えっとね…私の名前はキララ・マンダリニア。好きに呼んでいいよ。私からの提案があるんだけど、聞いてくれるかな?」


「提案?…」


「あ…難しいよね。しょうがない、お姉ちゃんの様子を一緒に見に行こう。お姉ちゃんと一緒にカイト君も病院の先生に診てもらおうか」


「でも病院って凄く高いんでしょ…。僕お金持ってない…」


「大丈夫、私の知り合いがそこで働いているの。お金の心配はしなくていいよ、少しずつでも返していけるから。だから、お金が無くてもちゃんと見てくれると思う。ね、一緒にお姉ちゃんの所に行こう」


「う…うん」


私はカイト君の手を取り、橋の下を抜け出した。


「カイト君はここに乗ってね。安全だから」


「…分かった…」


ウシ君の荷台にカイト君を乗せ、濡れていた布を乾かし再度巻き付ける。


「これで少しは温かいでしょ」


「うん。…ありがとう」


「どういたしまして」


――先ほどよりも顔色が良い…、だいぶ余裕が持てたみたい。それより心配なのが…お姉ちゃんの方だよね。


私はすぐさまレクーの荷台に乗り、リーズさんの病院に急ぐ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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