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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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大雨の日のギルド…

「今日はいきなり降り始めちまったな。大丈夫だったか嬢ちゃん」


兵士のおじさんは、ずぶ濡れになりながら門の前に立っていた。


「はい、地面が沼っていて少し焦りましたけど、何とか来れました」


「荷台には、滑り止め防止用に使う鎖を乗せて置かねえと危ないぞ。持ってないならちゃんと準備しときな」


「そうですね、準備不足でした」


「あといつも言うが速度の出し過ぎだ。万が一、前から人が来たときにすぐ止まれないだろ。出来るだけ安全に配慮しながら操作しな。あんなもんに衝突されたら人なんて一発で吹き飛んじまうからな」


「はい…毎度申し訳ありません…」


私は兵隊のオジサンに頭を下げ、門を通り抜ける。


ウシ君が街の人に怖がられないよう、事前に作っておいた革製のお面をつける。


仮面舞踏会で使う、目もとだけ隠すお面だ。


お母さんに頼んで花柄の刺繍も入れてもらった特注品で、遠くから見れば、モーグルだとすぐには気づけない程度に変装している。


「何だよこれ…。変なの付けやがって…」


「まぁまぁ、紙袋よりマシでしょ。ウシ君はなぜか怖がられちゃうから目元だけでもかくしてないと…」


「キララ様…さすがにそれだけじゃバレるんじゃないですか…それに、ちょっとダサい気もしますけど」


ベスパは牛君の周りを数回見たあと、愚痴を言ってきた。


「え? そう…可愛いと思うけどな。まぁ、大丈夫大丈夫、きっとバレないよ」


私の言った通り、ウシ君は他の人に全く怖がられなかった。


普通に道を歩けている。


「ほんとに怖がられていませんね。前は道の端によるほど怖がられていたのに…」


「でしょ、これくらいでも十分効果があるんだよ」


確かに怖がられなくなった。ただ…大型の動物が列になって歩いている光景が珍しい用で私達を眺めてくる人は、増えてしまった。


荷台も大きいため無駄に目立ってしまう。


「なんか恥ずかしいな…。さっさとギルドまで行こう。雨も強くなってきたし。レクー達も雨に打たれ続けたら風邪ひいちゃう」


道は土を押し固めただけなので少し緩い。


それでもしっかりと固められているのか、車輪はそこまで沈み込まなかった。


速度に気を付けながら、レクー達を進ませる。


ベスパに周りの人がいないか確認させながら出ないと曲がり角は怖すぎて動けない。


大きな荷台は街だととんでもなく不便だった。


それでも私達は何とかギルドまで到着した。


レクー達を厩舎に入れたあと、乾いた布で付着している雨を拭き取り『ファイア』とライトに教えてもらった『ウィンド』の合わせ魔法『ドライウィンド』(乾いた風)で2頭の体を乾かす。


「よし…これで風邪は引かないかな」


「キララさん、ありがとうございます。全身濡れちゃって気持ち悪かったのですっきりしました」


「どういたしまして、私の方こそここまで運んでくれてありがとう」


私はレクーとウシ君の頭を少し撫でたあと、荷台にある牛乳瓶とカッテージチーズを持ってギルドへ向かう。


「さてと…行きますか。あ、そうだベスパ。この街で放浪している子供たちがどうなってるか分かる?」


「はい、到着したころより調べていました。子供たちの数は7日前よりも5人増えています。放浪している子供の数は25名のようです。未だ亡くなった子供はおりませんが、危険な状態が続いています」


「そう…5人なら何とかなるか。ベスパは出来るだけ全員の居場所を把握しておいて。そうすれば、すぐ迎えるから。いちいち探してたら大変でしょ」


「お任せくださいキララ様、既に居場所は把握済みです。子供一人に対し、数匹の『ビー』たちで見張っております。子供の中に魔法を使える者はいません。それに、天候が雨ですのでそれほど移動もしないと思われます」


「確かに、雨の日は動こうとしないだろうけど…、その分濡れて体力を奪われちゃうから心配で…」


「それもそうですね、では先にこのビーの子が入った小袋を落としてきましょうか?」


「そうだね…それが良いかもしれない。少しでも栄養補給になると思うし」


「了解しました。キララ様がお話の最中、配っておきます」


「よろしくね」


私はベスパと別行動することになり、私だけでギルドへ向かう。


――まぁ、べスパなら多分すぐ戻ってくると思うけど。


綺麗になった扉の方へ歩いて行く。


すれ違うように変わった服装をしている人たちが行きかう。


ローブや、露出の多い服、鎧、など多種多様。皆冒険者なのだろうか…。


私はいつも通り、継ぎはぎの多いオバーオールに薄い黄色のロングシャツ。


どしゃ降りの中、傘もささないでよく歩けるものだ…。


私は当然のように傘をさしている。


傘をさすと命の危険があるらしい…。


――まぁ命の危険が迫って来たらベスパが教えてくれるでしょ…。あ…今はベスパ…いないんだった。


私は急に怖くなり、周りを見渡す。


人はおらず、通り魔のような存在は見当たらなかったが、ベスパのいない中で傘をさすのが少し怖くなってしまった。


「急ごう…」


傘を差さなくても雨が当たらない位置まで私は移動し、折りたたむ。


軸を真っすぐ立て右左180度回転させ水気を飛ばす…。


こうすると雨水が自分にもかかるのだが…、ギルド内を濡らすわけにはいかない。


少し濡れてしまった髪を手櫛でさっと整えた。


そのあと、綺麗になったギルドの扉をノックし、開けようと手を伸ばすのだが…。


「また…なんか嫌な予感がするな…」


以前と同じ嫌な感覚が私を襲い、扉を開けさせるのを一瞬戸惑わせた。


今回は左側へ移動し『ちょっと待とう』と思っていた矢先…。


『ゴッキャン!!』


せっかく新しくなった扉がまたしても吹き飛んできた誰かに壊された。


吹き飛んだ人は雨によって濡れている地面へ3回跳ねたのち、顔面から木壁へ突っ込んだ…。


「バッカやろー!! だから言っただろうが。金は貸さねえぞ馬鹿垂れ。これからみっちり働いてもらうからな。ギルドの社畜Aランクの『ブレイクさん』よ!」


ギルドの中から怒号が聞こえ、私は思わず身をびくつかせる。


そのまま先生に怒鳴られたがごとく体を硬直させた。


「だ~、も~頼みますよ。もうお金が全く無いんですよ~。社畜なんて言わないでお金貸してください!」


吹き飛ばされた人は私も知っている人だった。


どうやら、今回は寝たふりをしないらしい。


男性は一瞬で木壁から脱出し、グチャグチャになった服装のままギルドへ戻っていく…が。


『ヘデブ!!』


よく分からない効果音と共に、男性は再度吹き飛ばされ、今度は濡れた地面へ突き刺さった。


「バカ野郎、そんな状態でギルドに入ってくる奴がいるか! ここは今飲食店なんだぞ。最低限の礼儀を持って行動しろ!」


地面に突き刺さっている男性は少々痙攣していた。


頭を抜き出す気配はない。


「はぁ…仕方ないな…」


私はこのままだと突き刺さっている男性が死んでしまうのではないかと思い、引っ張り上げることにした。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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