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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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声の聴き方の違い…

「お…おいしい…。なにこれ…ありえないんですけど…。え…もし今この瞬間に『牛乳瓶1本で金貨1枚です』と言われても否定できない…。『あ…すみません今はお金持っていないんです…』って頭下げるしかできませんよ…」


コロネさんは牛乳瓶を口の上で逆さにして、一滴の牛乳も残さないように飲んでくれた。


「だろ。ここの乳は格がチゲえんだよ。パンが売れてるのは俺自身の実力もあるが…この牛乳の力も相当影響している。街の住民には『幻の白パン』と言われてるが…ただこの牛乳を入れて混ぜ込んでるだけの代物だ。久しぶりに牛乳を飲んだが…やべえなほんと…。同業者や料亭、レストラン、菓子屋の奴らもこぞって買いたがるぞ…」


「お…俺…こんなにおいしい飲み物、初めて口にしました。す、すごすぎて言葉に出来ません…」


――ただの牛乳なのに…皆そんなに感動してくれると、嬉しくなっちゃうな…。


「あの、今日はもう遅いので配りに行けませんでしたが、この牛乳瓶を他のお店の人に試してもらってくれませんか。もし他の人も『買いたい』と言ってくれるのなら、今の所オリーザさんと同じような体制で売りに来ようと思ってるんですけど…」


――残りは9本…。9つのお店に試飲してもらえるかな。半分くらいの人が買いたいと言ってくれたら万々歳。3人でも嬉しい。1人でも喜んで、運ばせてもらいます。


「それは構わねえが…相当きつくなるぞ」


「へ…何がですか? ああ…私たちの仕事量なら心配してもらわなくても大丈夫です。何とかギリギリのところでやってますから。まぁ…いつ倒れるか分かりませんけど」


「いや…それもやばいが…。俺が言いたいのはどう考えても嬢ちゃんの牧場を利用する店が増えるって話だ。その分配達はきつくなるがいいのか?」


「はい、大丈夫です。とりあえず7日後にもう一度ギルドに行って相談してきますので。その時まとめて進捗を聞こうと思います。もしかしたら牛乳の値段が上がるかもしれませんけど…」


「ああ、値段は気にしなくてもいい。今の値段のほうがおかしいんだ。これからはきっちりと適正価格で買わせてもらうよ。嬢ちゃんの牛乳は同業者殺しだからな…」


「同業者殺し…私、そんな行動しませんよ」


「『同業者殺し』と言うのは、『同じ職業をしている人にとって自分たちの商品よりも格段に良い物を売られると自分たちの商品を買ってもらえなくなっちゃう』という事態を皮肉って付けた言葉なの」


コロネさんは私の知らない言葉の意味を教えてくれた。


「あ…ああ、そう言う意味ですか…。つまり私たちの牛乳は他のところでモークルの乳を売っている人たちを上回る良い商品だと言っているんですね」


「上回るどころか何もかもが違う。同じ土俵にすら立ててない、まぁギルドで聞けばわかるさ」


「はぁ…」


――そこまで言われるのって…いったいどんな風になってるんだろ他の同業者の人は…。


「嬢ちゃん、悪いがレイニーとパンを教会にまで届けてやってくれねえか。さすがにこの量は手で持ちきれないと思うからな」


「え、いや…俺が持って行きますよ。牛乳まで飲ませてもらったのに」


「はい、別にいいですよ。それくらいならすぐ終わりますし。まだ外は明るいですからね」


「そう言ってもらえると助かる。おっと、まだ料金を払ってなかったな、ちょっと待っててっくれ」


オリーザさんは勢いよくお店の奥の方へ向かい、小さな袋を持って戻ってきた。


「この中に銀貨10枚入ってる。まぁ今回でこの特別料金は終了だろうが…」


私は小さな袋の口を結んでいる紐をほどき、中の銀貨10枚を確認する。


――うん…ちゃんと銀貨10枚入っている。


「はい、確かに受け取りました。では牛乳瓶の方お願いします」


「ああ、任せてくれ。俺の知り合いがどんな顔をするのか今から楽しみで仕方がないぞ」


「その時の反応も今度聞かせてください」


私達はパン屋さんの外に出る。


オリーザさんはパンを荷台まで運んでくれた。


軽々と持ち上げ、一瞬で載せるのだからさすがだ。男の人はやはり力が全然違う。


2 Lでふら付いていたのが恥ずかしい。


「それじゃあ、私達は教会まで行ってきますね」


「教会の子供たちとレイニーを頼む、それとマザーにもよろしく伝えておいてくれ」


――マザーまた初耳の単語だ…。人の名前かな…それとも役職かな…。


「はい、分かりました。心配しないでください!」


―まぁ、行けば分かるよね。ベスパ、教会の位置は分かる?


「はい! 先ほどのお話をお聞きしている最中から既に最短距離を把握しております。いつでも案内可能です」


――さすがに早いね…。それじゃあお願い。私達を教会まで案内して。


「了解しました!」


ベスパはレクーの前に飛び出し、少量の魔力を放ちながら体を発光させる。


「レクーは街の人と他のバートン車に注意して安全走行でよろしく」


「はい、任せてください!」


「俺の時は全く動かなかったのに…キララさんの命令は素直に聞くんだな…」


「そりゃあ、僕のお姉さんみたいな人ですから」


「はぁ~ん…慕ってるんだな」


「そりゃあ、いつまでもお供したい人ですよ」


――レクー…そんなふうに思ってくれてたんだ…。


「ねえレイニー、私を『キララさん』って呼ぶのなんかおかしくない? レイニーの方が一応年上なんだし」


「確かに…、でもそれを言うならキララだって俺を『レイニーさん』と言うべきじゃないのか?」


「いや…でもレイニーは、さんを付けるほど目上の人って感じがしないし」


「なら別にレイニーで良いよ。俺もさん付けで呼ばれるのは慣れてないから、変な感じするし」


「そう、じゃあレイニーって呼ぶようにするから」


「俺はキララって呼ぶよ。ガキって言って済まなかったな…」


「まぁ…、私は誰が見ても子供だからね…。見かけは…ね」


私達は荷台の前座席に座り、色々と喋りながら移動していた…。


「レイニーって、バートンと喋れるんだよね。さっきも話してたし」


「ああ、俺のスキルの効果だからな。『バートンと仲良くなれる』スキルらしい。今まで乗ってきたバートンはすぐ命令を聞いてくれてたんだが…このレクーってバートンに初めて拒否された。スキルって完全に発動するわけじゃないんだな…」


「スキルよりも絆の方が強かったんだよ。私とレクーにはそれだけ強い絆でつながっているんだ~」


――そう思うとすごく嬉しいな。『スキルに打ち勝つほど仲が良い』って言うの~。新しいことわざにしようかな~。意味は『強い力で促されても変わらない絆』って感じか~。うんいいね。


「はぁ~ん…絆ね…。」


「レイニーはバートン以外に話せる動物と虫はいないの?」


「は…。 いや…バートン以外の声何て聞いた覚えないぞ。キララには聞こえるのか? 俺は話したくないけどな…虫の声が聞こえるとか、何かキモくね…」


「いや…別にただ聞いてみただけ…」


「あっそ…」


「グぬぬぬ…。私達をキモい呼ばわりは酷いですね~」


ベスパはレイニーの目の前に居る。体から発する光は怒りの熱を現すように揺れていた。


――ベスパ…そんなに睨みつけてもレイニーには見えてないよ…。


「そうですが…。私はこんなにも美しいのに~。一度見せてやりたいです。物体化してもいいですか?」


――ダメに決まってるでしょ。



私はレイニーのスキルが『バートンと友達になれる』と聞いて、自分のスキル『虫使い(ビー)』と似ていると思ったので比較してみた。


レイニーはレクーと話せてるのに他の生き物と話は出来ない。


私はレクーと話せるし、他の生き物とも話は出来る。


この点は結構違う。


レイニーにはベスパのような魔力体の存在がいないようだ。


その為、レイニーは直にレクーの声を聞いている。


そうか…私はベスパの聞こえた声を聴いているだけで実際にレクーの声を聴いている訳じゃないんだ。


私とレイニーでレクーの声を聴いている工程が違った。


それぞれの利点も違う。


私はベスパが近くにいないとレクーの声は聞こえない。


でもレイニーはいつどこでも近くにバートンがいれば声を聴ける。



結論…私とレイニーのスキルは全くの別物…。『声が聴ける』って部分は同じなのに…。スキルはここまで違ったなんて…。


それにしてもベスパって…結構優秀なんじゃ…。


でも…これ以上考えるとベスパはまた調子に乗るので、止めておこう…。


私達はベスパの先導にそって進み、街の細く光の入りにくい道を進んでいく。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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