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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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騎士団の必要性

『ビー』達は繭の状態になった青年を荷台に乗せ、その間私は全ての感覚を停止させる。


既に周りにいた人たちは、レクーが暴れ出したころからその場を離れていた。


――バートンが暴れ出したら怖いよね…。しかも特大のバートンだし。


その為、多数のビーが集まり黒い球状になっているのを見ていたのは、青年以外誰もいなかった。


「キララ様、繭の積み込み完了しました!」


「よし。それじゃあ…騎士団に向おうか」


「おい! 俺は何もしてないのになんで騎士団にいかなきゃいけないんだ」


「それはあなたが泥棒をしたからでしょ。人の物を盗んだら捕まるって知らないの?」


「はぁ~バカバカしい。この街で盗みをやってないやつはいないだろ。そこら中の人間が頭の中で『どうやって悪事を働こうか』と考えてるのが分からねえのかな。何なら領主のクソ野郎の方が俺よりよっぽどの悪人だ!」


「それが本当だとしても『悪い人がいるから自分も悪事をしていい』なんて…理屈は通らないでしょ」


「通るんだよ。そうしないと生きていけないんだからな!」


「とりあえず、あなたを騎士団に連れて行く。そこで何を言われるか、私は知らないけど…。この街があなたみたいな人をどうやって罰するのか、私は知りたい」


「おいおい、俺は実験台かよ! だが…騎士団に行っても無駄だと思うぜ…」


頭だけが縄から出ている青年は右側の口角だけを上げ、いかにもな悪人面を私に見せる。


「どうして…そう言い切れるの。盗みを働いたんだから罰則があるに決まってるでしょ?」


「甘いな…この街で盗みが起こるのは日常なんだよ…。そんなちっぽけないざこざで騎士団が出動してたら、金がいくらあっても足りない。領主のクソ野郎は騎士団の奴らに払う金がもったいねえから、小さな悪事は見逃してるのさ…。俺たちもな…」


――最後の一瞬だけ、なぜか悲しそうに俯いた彼はいったい何を思っているのだろう。私には分からない。


「あなたの発言が本当かどうか分からない。だから私は騎士団に向う。ギルドでもよかったけど、今ギルドにはギルドマスターが居ないから、騎士団の方がいい。それじゃあレクー行くよ」


「はい、騎士団ですね」


「そう、前に一回行ったよね。そこの張り紙にも書いてあるし」


『困ったら騎士団まで!』


張り紙は街の木壁に打ち付けられていた。


張り紙は等間隔で打ち付けられている。どうやら騎士団は警察のような役割を果たしているのだろう。


それならこの人を引き取ってもらえるはず…。


私達は騎士団へ向かった。


しかし…


私達は騎士団の中に入らせてすらもらえず、門の前で立っている騎士と言い合いになる。


騎士のおじさんは大分やつれていた。


言葉には覇気が無く機械の様な喋り方だ。


筋肉はついているのに、どこか弱弱しく、意思を感じない。


私は人間と話しているのだろうか…。


「何でですか! この人は物を盗んだんですよ。歴とした犯罪じゃないですか」


「この男が盗みを働いたという証拠はあるのか。盗みなどそこらで起こっているだろ。今更粛清したところで何も変わらん。それに、盗まれる方にも責任がある。良い物を持っていれば盗まれるのも当たり前だ。その事実を考慮に入れていない方にも責任はある」


「は?」


――何言ってるのこの人。訳が分からないんだけど…。


「つまり、盗まれる方が悪くて…盗んだほうは悪くないと…言っているんですか?」


「我々は泥棒などに構っている暇など無い。盗まれる物を持っている者の自己責任だ」


「自己責任って…それじゃあ…あなた達騎士団は何のために、街にいるんですか…」


「何のため? さぁ…何のためなんだろうな。私にも最近分からなくなってきたよ」


――この人の顔…やっぱり相当やつれてる…。その光の無い眼…、いつぞやのブラック企業サラリーマンだった、ファンの人に似てる…。もしかして…騎士団って物凄いブラックだったりするの。泥棒にも出動できないくらい過密な仕事が入っているとか…。


「あの…いつ寝ましたか?」


「2日前だが? それがどうかしたか、私達騎士団には寝る時間すら勿体ないのだ」


――2日前…それは相当やばいよね…。


「早く帰って寝た方が良いですよ。貴方、死んでも良いんですか?」


「私が死ぬ? ハハハ…何バカな戯言を騎士である私が少し寝ないだけで死ぬ訳が無いだろ。さっさと帰りな、嬢ちゃん」


――駄目だ…この人絶対に洗脳されてる…騎士団という大きな会社に…駒として使われてるよ、絶対に。助けてあげたいけど…私にそんな力は無いし…。騎士団を丸ごと変えないと現状は何も変わらない…。


「分かりました…帰ります。…ちゃんと休んでくださいね」


「そうだな、子供の嬢ちゃんに一つ教えてやろう『死んだらずっと休みだ。それまでは死ぬ気で働け』領主さんの言葉だ。社会に出たら初めに教え込まれるだろう。今から覚えておくといい…」


「大切な社会の理を教えてくださり有難うございます」


――この街の領主がそんな人だったなんて…思いもしなかった。死ぬ気で働け…、ハハ! 絶対に嫌。


私は悔しかったが仕方なく騎士団を離れてオリーザさんのお店に向う。


時計台を見ると午後4時頃になっており、そろそろオリーザさんのお店へ牛乳を運ばなければならなかったのだ。


道中…青年は自分の発言が間違っていなかったと言いたいのか、笑いながら話かけてくる。


「だから言っただろ~。騎士団に行っても無駄だって。それで、俺はこの後どうなるんだよ」


「どうしようか…。逆に聞くけど、どうしてほしい?」


私は盗みを働く人などいらない。善人だったら一緒に働いてもらってもいいかなと思っていたのに。


「さっさと解いて解放しろ。こんな状態じゃ身動きもできねえ」


「そうだね…、あなたはまじめに働く気は無いの?」


「俺みたいなやつが働ける場所なんて無いんだよ…。この街にはな…」


「あるでしょ、近くにバートン場が。あなた、バートンに乗るのが得意ならそこで働かせてもらえばいいじゃん。知り合いだから紹介してあげようか?」


「お前…この街で仕事できる年齢知ってるのか?」


「え…知らないけど…。まぁ普通に考えたら15歳くらいなんじゃないの」


「やっぱり知らねえのか…。この街だと15歳じゃほとんど雇ってもらえねえんだよ。18か20歳くらいじゃねえと…」


「それなら大丈夫じゃん。だってあなたは18歳なんでしょ。何で働かないで盗みばっかりしてるの?」


「あ、ああ…俺は18歳だから、そりゃあ仕事を見つけようと思えばいくらでも見つけられるけどよ…。あ~、相性ってやつがあるだろ、どこもかしこも俺を採用してくれないんだよ」


青年は明らかに動揺していた。


年齢を18歳と言った瞬間、彼の声は一瞬…喉に突っかかってた気がする…。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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