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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
綺麗な街だと思っていたのに… ~街の裏側は真っ黒だった偏~
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ソロAランク冒険者

「もっと優しく放てくださいよ。も~汚れちゃったじゃないですか。これから昨日知り合った女の子とデートなんですよ!」


「知るか! またボッタクられて、俺に泣きついてくるのが落ちだろ!」


「いや! 今回はガチっす! ガチなんですよ! あの子は俺に絶対好意を持っているんですよ! もう話す前から分かるんです。いや~楽しみだな『また一緒に飲もうね♡』なんて普通興味ない人には言わないでしょ! これはもうゴールイン待ったなしっすよ!」


「はぁ~なんでこんな奴が…俺のギルドで一人しかいないAランク冒険者なんだか…」


「失礼っすね…。俺は実力があってこのランクなんです。ソロだと珍しいんですよAランクわ。この街じゃあAランクすら俺しかいないじゃないですか」


「あ~分かってるよ。その金はさっさと散財してこい。あとで泣きついてきて、その分働け…それでいい。お前と話すのは無性に疲れる」


「こっちは無性に腹が立ちますけどね」


男は私の方に近づいてきて顔を覗き込んだ。


「ん~、……」


「あ…あの…何か…」


「あと15年くらいしたら美人になりそうっすね…」


「へ…?」


「ほら靴だ! さっさと履け」


強面のおじさんは、男に向って靴を投げる。


「…ほいっと」


男は、受け取った靴を地面に放り投げる。


靴底は綺麗に地面へくっ付き、靴占いでいう晴れの状態になった。


「それじゃあ、人生の幸せをつかみに行ってきます!」


靴をさっと履き、そのまま目にも止まらぬ速さで走り去ってしまった。


「いったい何だったんだ…あの人…」


「すまねえな嬢ちゃん…。巻き込んじまって…」


「い…いえ、私は怪我してないので問題ないですよ。それよりも…この木壁の持ち主に謝罪とあのギルドの扉を直した方がいいんじゃないですか…」


「そうだな…あいつの金で治させたいところだが…仕方ねえ。殴ったのは俺だ。ギルドの経費で落とすしかねぇな」


――ギルドの経費…つまりギルドを運営している人…。


「あの…ギルドマスターですか?」


「ああ、そうだが」


――やっぱりそうだった…。思ってたより数倍強面だったから、ベテランな殺し屋さんかと思ったよ。


「ちょっとギルドの中で待っててくれな嬢ちゃん…。壊しちまった2つを直さないといけないからな。お~い! トラ~! ドワーフの爺に1通出してくれ!」


「了解にゃ~」


ギルド内から鈴なり声が聞こえた。


多分ギルドの従業員か何かだろう。


私はギルドマスターに言われた通り、ギルド内で待つためその場に立ち上がる。


服に着いた砂埃を叩き、歩き始めた。


バキバキに壊れた扉を跨ぐようにしてギルドの中に入ると、そこはおしゃれなカフェテリア…のような場所だった。


――へ~凄いおしゃれ…もっとむさ苦しい感じだと思ってたのに。さっき一瞬覗いたけど、ちゃんと見る余裕なかったし…全然気づかなかった。


バーカウンターの方には多くのお酒らしきビンがズラッと並んでいる光景から察するに、カフェでもありバーでもある、いわゆる『カフェバー』というやつなのだろう。


「大丈夫でしたかにゃ~」


ギルド中に入ると、メイド…とまでは行かないがそれなりに可愛らし服装を着た人…ではなく猫耳と尻尾の付いた獣人さんがおしぼりを持って来てくれていた。


猫耳と尻尾は動いているので本物なのだろう。


もしここがメイド喫茶なのだとしたらコスプレかと思ったが…それにしてはお店の可愛さが足りない。


「は…はい、大丈夫です」


「ギルドマスターはすぐ手が出るから、こんなごたごたはしょっちゅ~にゃんですよ」


首にはチョーカー…首輪、どちらか分からないがそれらしき物と銀色の鈴が付いている。


――あ…昔飼ってた猫のメルちゃんが付けてた鈴と似てる…。車に引かれて死んだけど…。


私はカウンターに案内され、冷えた水を出してもらった。


「あの…えっと、気になったので聞いてもいいですか?」


「はいにゃ~」


――はいにゃ~…は、はいと言う意味でいいのかな。


「えっと、その耳と尻尾は本物なんですか…」


「ん? そんな質問にゃ~、勿論本物の耳と尻尾なんだにゃ~」


尻尾とフリフリと揺らし、耳をぴくぴくと動かしている所を見るとどうやら本物らしい…。


「いや…初めてしっかりと見たので…」


「お嬢ちゃん、この街の人じゃにゃいの?」


「え、あ…はい。ちょっと離れた村から来ました。用事があったんですけど時間が掛かりそうだったので先にギルドによろうと思って…」


「にゃるほど…だから本物かどうか聞いたのにゃ~。にゃ~はトラスって言うにゃ、よろしくにゃ」


「は…はい、よろしくお願いします」


「にゃ~見たいな獣人と会うのは初めてかにゃ? 街には結構多いと思うけどにゃ」


「えっと…見た覚えはあったんですけど。こうやって話すのは初めてですね…」


――なんだろう、凄く落ちつく。実家みたいな感じでなごんじゃってるんだけど。これはトラスさんのせいなのか、このギルドの雰囲気がいいのか…。


「うわぁ~、キララ様~見てください! でっかい角の生えたデリーの顔面標本がありますよ!!」


――あ…。ベスパが話しかけてきちゃったから、雰囲気が壊れちゃった…。せっかくなごんでたのに…。


「ほんとだねー」


「あれ? キララ様怒ってます?」


「別にー、怒ってないよー」


「そうですか、ならよかったです!」


――こういう所では1人になって優雅なひと時を送りたい…けど無理なんだよね…今の私は。


カウンターで水を少し飲んだあと、私はトラスさんにもう一度話しかけた。


「えっとトラスさん、ここはいったいどういう所なんですか?」


「ん~と…、冒険者たちに仕事を振って…お金を稼いできてもらって…稼いできたお金を会費として10%いただくという蟻の巣みたいな所にゃ!」


トラスさんがそう言うと、丁度戻ってきた強面のオジサンが怒鳴った。


「おい! その言い方だと滅茶苦茶悪そうな所じゃねえか! いつも教えてるだろう、俺たちは冒険者たちの手助けをしてその報酬の対価として10%の対価を払ってもらっているんだよ。ちゃんと仕事しての対価なんだ。さっきの言い方じゃ、俺たちが何もしてないみたいだろ」


「ん~トラ~よく分かんないのにゃ。だってバカだからにゃ~」


トラスさんは自身の両手を握りしめ、口もとへ持っていく。


――なんともあざといぶりっ子ポーズ…。口元で光る八重歯が可愛い。


「おいおい…。しっかりしてくれよ…」


「あ…あの…えっと、ギルドマスターの名前はなんて言うんですか。私はキララ・マンダリニアと言います」


「あ? ああ、すまん。まだ名乗って無かったな俺の名前はシグマ・ダナトス。シグマと呼んでくれ」


「シグマさんですか…えっと、ここは冒険者ギルドなんですよね」


「ああ、そうだが」


「どうしてこんなにおしゃれなカフェみたいになっているんですか?」


「そりゃあ、こっちの方が効率良いからな、俺の冒険者ギルドは街の人にも来てもらいんだよ。むさ苦しい感じじゃ、冒険者以外の人が来てくれないだろ」


「確かに…そうですね。それじゃあ、ここはカフェでもあり、酒場でもあり、ギルドでもあると…」


「ああ、そうだ。俺はギルドマスターであり、一応料理長って感じだ。そうだちょうど昼頃だな、さっきのお詫びに何か食っていくか?」


「いいんですか!」


「ああ、好きなメニューを頼んでいいぞ」


「こちらがメニューになりますニャ~」


トラスさんはメニュー表を持って来てくれた。


――ちゃんと味するのかな…どうなんだろう…。ん?…全く食材の名前が分からん…。適当に選んだら勿体ないしな…。


「えっと、じゃあ…とりあえず、一番人気のメニューをお願いします」


「そうだな…一番人気なのは、川魚の素揚げだな。ちょっと待ってろすぐ作ってくる」


シグマさんは奥の方へ行ってしまった。


「魚の素揚げ…なんか普通だぁ…」


料理が出来るまで少しの間、ギルド内を見て回り暇な時間を潰す。


内装は凄く綺麗にされている。


テーブルは…8つあり、4人掛けが6つ、6人掛けが2つ置かれていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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