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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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美味しい朝食

「肉、柔らか。うっま。なに、この肉。わけわかんないっ」


 メロアは情緒不安定なのかなと思うほど、料理を貪り食った。

 スープも口に含む。


「うぅっまぁ……、もう嫌だ。全部美味しい。わけわかんないっ」


 メロアはエッグルのスープを飲んだ。まあ、卵スープと言っても良い。ソウルとエッグル、キャロータにトゥーベル、ビーンズなどの野菜がふんだんに入った品。

 質の良い野菜から取れた出汁はソウルでまとまり、エッグルのコクが深みを出している。


「家の料理ってこんなに美味しかったの……」


 メロアはすでに完食しており、放心状態になっていた。お替りのパンを口に含み、幸せそうに口を動かす。

 ミーナは無言で料理を食べきり、両手を握りしめて神に感謝していた。


「キララさん、この食材……、いったいどこの品なんでしょうか? 私、すごく興味があります」


 サキア嬢は目を輝かせ、超美味しい料理を得て嬉しそうだ。

 シーミウ国にこういう料理はないのかな? まあ、食文化は国独自だし、どういう料理があってもおかしくない。


「食後のデザートをお持ちいたしました。料理人たちが腰を抜かした自信作だそうです」


 料理人が腰を抜かしてどうするんだと思うが、私の知っている香り高い紅茶がカップに注がれる。

 差し出されたデザートはケーキ。

 生クリームが塗り手繰られ、ぶどうのような果実が乗った一品。もう、見るからに美味しそう。すでに、夕食ぐらいの料理を食べている気がするが、まあ、美味しい料理は朝食からバンバン胃の中に入ってしまう。


「い、いただきます……」


 皆、生唾を飲み込み、ケーキをフォークで掬って口に運んだ。


「ごはっ!」


 三名とも、殴られたかのような声を出し、後方に倒れそうになった。

 顔を殴られたのだろうか。

 私もケーキを口に含む。生クリームのうま味と少し入っているウトサの甘味がじわーっと広がる。

 ぶどうジュースが練り込まれているケーキのスポンジが香り高く、酸味と生クリームのまろやかさが調和していた。

 非常に美味しい葡萄ケーキだ。


「うん、良い腕しているねー。さすが、大貴族の料理人。こりゃ、昼と夜も期待できそう」


 やはり、大貴族の料理人というだけあって、腕前は最高峰。

 これ以上ないと思うほど、質の良い料理人だ。菓子職人や料理人、お茶の専門家などもいるんじゃなかろうか。

 やはり大貴族はお金持ちなんだなと思わざるを得ない。


「あぁ~、メロアの家、幸せ過ぎ~。こんな美味しい料理が毎日食べられるなんてうらやましいよ~」


 ミーナはケーキの皿を舐めまわす勢いで食べる。


「わ、私、こんな料理初めて食べたよ。料理人が変わったのかな……。もう、最高過ぎ」


 メロアも目の色を変え、紅茶を啜る。ぷはーっと吐息を漏らすと、ものすごく満足そうな表情になる。


「これ、どこの国でも絶対に流行りますよ。いくらかかっているんでしょうか……」


 サキア嬢はお金の話が好きなので、お金で換算したがる。

 まあ、私の見立てだとお店で食べたらケーキ一つで金貨八枚は取られるだろう。

 それを考慮して、一食金貨十枚を超える朝食になっている。やっぱり超高級ホテルじゃん。


「あぁ~、今日の園外授業も頑張れそう。昼食も頑張って食べる、じゃなくて、昼食まで頑張ろうっ!」


 メロアは両手を上げ、元気が大量に湧き上がっているようだった。

 男子の方は体調がよくなっただろうか。

 レオン王子の体調も優れていない様子だったから、さすがに危機感があった。

 ベスパに覗いてきてもらうと、料理をバクバク食している者達ばかり。

 あまり食べすぎると、動きにくいのではないだろうか。まあ、食べたくなる気持ちもわかる。沢山食べたくなっちゃうよね。美味しすぎるから。


「う、美味すぎる。なんだこれ……」

「あ、あぁ。特にこの白い飲み物。多分、牛乳だよね。ルークス王が大好きだという……」

「ま、間違いない。その牛乳だ。こんな純白な飲み物を提供してくれるなんて、さすがフレイズ家。昨晩のことなんて、許しちゃうよ」

「料理が上手いのはもちろん、食材がすごいな。トゥーベルで美味いと思ったのは初めてだ。パンも、なんでこんなに香り高いんだよ」


 ライアンとパーズ、レオン王子、スージアも料理の美味しさをしっかりと感じていた。

 どうやら、闇属性の魔力は抜けているようだ。

 なら、フェニル先生やイグニさんはどうだろうか。

 ベスパに移動させ、フェニル先生やイグニさんのもとに向かわせた。


 フェニル先生は一人部屋で料理を食べながらゴキブリのようにひっくり返っていた。

 イグニさんも仕事部屋でひっくり返っていた。

 倒れる姿がそっくりで、やはり親子なんだなと思わされる。

 起き上がると、料理をガツガツと食し始めた。咆哮を放ち、部屋の中を震わせる。それだけ美味しいと言うことだろう。


「はぁ~、昼まで楽しみ~」


 ミーナは心を躍らせており、元気な顔が表に出ていた。

 女子達は皆準備が完了した。その後、男子たちの部屋を訪ねる。


「メロアの家の料理美味すぎだろ……」

「いやー、私もここまで美味しいとは思わなかったよー」


 ライアンが目をバキバキにしながら、メロアに話しかけた。普段食べている料理も十分美味しいので、食材の差が出た気がする。


 料金はお得意様価格なので、結構安めになっているはずだ。

 まあ、ほぼ私の村の食品なので、フレイズ家にお金を払わせ、マドロフ商会にお金を落とし、そのお金は私の村に流れていく。

 なんて、最高な流れだろうか。それを私の手で促していると思うと、たまりませんなー。

 もっと、フレイズ家にお金を払わせたいが、フレイズ領の者から得た税金だと思われるので、少々気が引ける。

 フレイズ家の中で料理が行き届くくらいの量で充分なので、無駄が出ないようにしないと。


 私達はメロアの背中について行き、フェニル先生が待機している大広間に移動した。

 大広間は人々を沢山入れてパーティー会場としても使える場所。

 大広間の扉の前に来ると、結婚式場の扉ですか? と思うほど質が良く、手が込んだ細工がしてある。

 扉を開けると広々とした部屋が目に入った。

 絨毯は赤く、垂れ幕も赤い。もう、ほぼ赤と金色、ところどころ白が混ざっていて縁起が良い雰囲気。

 丸テーブルがいくつも置いてあった。パーティーでも開くつもりだろうか。


 フェニル先生が大広間で突っ立っており、腕を組んで私達を待っている。


「おはよう、お姉ちゃん。……じゃなくて、フェニル先生」

「うん、おはよう。皆、体調は悪くないか?」


 フェニル先生は私達に視線を向ける。皆、頭を横に振り、問題ない様子を見せた。


「そうか。今日の朝食はやけにうまかったな。ぶったまげた。ひっくり返るほどにな。まあ、園外授業と言っても、私がするのは冒険者ギルドに案内することと、昼過ぎに闘技場で鍛錬することくらい。別の日は騎士団と一緒に鍛錬に参加してみたり、巨大な図書館を見て回ったりとかだな」


 フェニル先生は手を腰に当て、今日の流れを簡単に説明してくれた。

 今日はフレイズ領にある冒険者ギルドに行って、社会勉強するらしい。

 私たち全員が冒険者になるつもりはないが、社会で働いているものを見るとき、冒険者が一番わかりやすいということで、そういう話になっている。それなら、何ら問題ない。


 私たちはこれから、フレイズ領の冒険者ギルドに向かう。巨大な厩舎に移動してバートン達を厩舎から出す。


「おはよう、レクー、調子はどう?」


 私は個室にいたレクーのもとにやってきた。


「うぅーん……、ちょっと眠たい気もします……」


 レクーは闇属性の魔力の効果を受け、少々だるそうにしていた。

 私の魔力を体に流し、闇属性の魔力の効果を減らしてもらう。これだけで眠気は飛ぶはずだ。

「レクー、今日もお願いね」

「今日もキララさんのために頑張って走ります!」


 レクーは私のもとにやってきて、体をこすりつけてくる。それだけでかわいらしい。

 私はレクーの背中に乗り、これからいっしょにフレイズ領の冒険者ギルドに行くことを伝える。


「フェニル様、今日はどちらに行かれるご予定ですか?」


 バートンを取りに来たのか、初老の騎士はフェニル先生に話しかける。


「ちょっと、近くの冒険者ギルドまで行ってくる」

「そうですか、お気をつけて」


 フェニル先生やメロア、ライアン、レオン王子たちもバートンを引っ張り出し、厩舎から出る。

 私たちはフェニル先生の後についてフレイズ領の中を走った。

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