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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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大貴族の凄さ

 爆発の影響か、はたまた時間経過によるものか、雨が弱まった。

 移動できるようになったので、私達はバートンの背中に乗り、少しぬかるんでいる地面を進む。


 レクーは全く問題ないが、他のバートン達はやはり疲れが見えた。そりゃあ、荷物を担ぎながら沼地を走っているような状況で疲れないわけがない。

 先ほどの雨がゲリラ豪雨で水が一気に流れた。その影響で乾燥していた地面が泥になっていた。

 もっと早くフレイズ領に付けるはずだったが、少々時間がかかる。

 昼を過ぎても到着できず、夕方付近になってようやく王都ほどではないが高い外壁に守られた街が見えた。


「キララ様、また森の方から魔物が現れました」

「また……、ほんと、多いね」


 移動中、オリゴチャメタほど大きくない魔物が虫の巣を突いたように沢山出てきていた。

 ビー達がいち早く見つけ、私が魔力操作で作った矢を放つ。

 ビー達が照準をあわせてくれるので適当に放っても脳天を直撃し、一撃で仕留めた。

 周りの者はなぜ私が矢を撃っているのか理解できない様子だ。

 まあ、私が狙っているのはざっと八〇〇メートル離れた位置にいる魔物なので、見えなくても仕方がない。


 周りの騎士達は魔物が寄ってこないように牽制しているのかなと、何とも可愛らしい存在を見るような視線を向けてくる。


「キララ様、八〇頭目の魔物の討伐を確認しました。解体作業に入ります」


 ベスパはビー達から情報を受け、魔物の解体に取り掛かり素材を集めてくれた。

 彼らに戦う力はないが、雑用を任せればものすごく頼りになる。

 素材はビー達が運んでくれているので、フレイズ家の手見上げにしようかな。


「はぁ~、やっと見えて来た。到着しないでほしかったけど……」


 メロアは大きな外壁を見ながらため息をつき、うなだれていた。相当帰りたくないらしい。


「同感だが、園外授業の行き先に決まった以上、行かないと単位が貰えないぞ。園外授業の単位は卒業に必須だからな。卒業出来なくてもいいと言うのなら、一人で帰ればいい」


 フェニル先生は真顔で、メロアに叱りつける。まあ、心から怒っているわけでもなさそう。


「もう、お姉ちゃん、そんな言い方はずるいよ……」


 卒業できないと言われてしまえば、メロアも黙るほかない。


「なんか、夕日が差して燃えているように見えるな」


 ライアンは壁の中に入る日差しが反射してフレイズ領の中が燃えているかのような光景を指さす。

 確かに聖火台に聖火がともっているように見える。


「黒い煙が見えるし、本当に燃えているんじゃないか?」

「ま、まさか~」


 近づいていくと、フレイズ領の内部で火事が起こっていることがわかった。

 火事はどこでもあると思うけれど、範囲が広大で木造建築や火に弱いレンガ造りの建物は燃え移らないように取り壊されている。

 ここまでゲリラ豪雨が来なかったのか。乾燥した空気の影響で家事が起こりやすかったようだ。

 火事はすでに鎮火しており、通過しても問題ないそうだ。なので領土の中に入る手続きを取り、私達はフレイズ領の中に入る。


「ここがフレイズ領ね……。なんか、もっと燃え滾った人たちがワイワイ騒いでいると思ったけれど、何とも言えない静かな場所」


 サキア嬢は辺りを見渡し、目を細めた。何かを見定めているのだろうか。

 フレイズ領に入って私が一番に思ったのは、ドリミア教会に苦しめられていた街の雰囲気だった。通る人々の顔は暗く、どこかやる気のなさを感じる。

 覇気がないというか、諦め? 生きているだけで精一杯といったような顔だ。


「ここまで、暗い場所だったか?」

「うーん、前とあんまり変わらないと思うけど?」


 フェニル先生とメロアは辺りを見渡し、人々の姿を見て首をひねった。

 生まれ育った場所だと思うので、何かしらの変化を受け取っているのかもしれない。

 建物の多くがレンガ造り。赤色で何とも目が痛くなる。

 まあ、実際はもっとオレンジっぽいはずだ。夕日の光のせいで真っ赤に見えるだけだろう。

 道幅は広く、バートン車が通りやすい。大通りではないが整備がいきわたっており、焼け跡がある割れた石畳の上を私達は移動した。


 フェニル先生が操っているバートン車の後ろについていくと、大通りに出る。人々の活気にあふれた光景がそこに、なかった。

 人通りが少ない大通り。お店はほとんどが閉まっていて、買い物は出来ない。


「やっぱり、何んかおかしくないか。王都に人が流れてたとは言え、ここまで廃れていなかっただろ」

「う、うん……、これは静かすぎるかも……」


 フェニル先生とメロアから見ても、大通りの静けさは異常だったらしい。

 田舎出身の私からすれば、別に人がいる。お店も沢山ある。

 普通に都会じゃんって言えるが、バルディアギルドがある街よりも活気がないのはこれいかに……。


 フレイズ領は王都の次に活気のある街じゃなかったのか?

 最古参の大貴族なのだから、権力やお金はものすごいあるはずだ。


「早く家に行って、親父に聞き出さないとな……」


 フェニル先生はフレイズ領を牛耳っているフレイズ家の当主であるイグニさんに話を聞くべく、先ほどよりも明らかにバートンを早く走らせた。


 ――ベスパ、フレイズ領の地形をしっかりと覚えておいて。あと、魔造ウトサが流通している可能性があるから、調べてくれる。


「了解しました」


 ベスパはブーンと飛び、フレイズ領の中央に移動すると軽く光ってビー達を集めた。ビー達に話を通し、波紋状に広がらせ、情報収集に入る。

 情報収集させれば、ビー達にかなう者はいないだろう。


 私達はフレイズ家だと思われる巨大な建物が見える屋敷に入るため、門前に止まった。

 庭が広すぎて、本当に家なのかと疑う。

 ほぼテーマパークくらいの広さがあり、バートン場や訓練場、なんなら闘技場まで完備していた。

 完全に大金持ち……。まあ、ルークス王国の千年近い歴史の中で、最初の方から大貴族として名をはせているフレイズ家だからこれくらい当たり前と言えば当たり前なのかな。


 巨大な門が開くと、私達はフレイズ家の土地に入っていく。

 一人で迷い込んだら遭難する自信があった。まあ、整備された道を進めば問題ないはず。


「では、我々は基地に戻ります。皆さん、お疲れ様でした」


 赤い鎧を着こんだ騎士達は敷地内にある騎士の基地に戻ると言う。

 フレイズ家の中に騎士の基地があるんですか?

 そりゃまた、凄いな。本当にフレイズ家が保有している騎士じゃないか。

 正教会と拘わりがあまりなさそうで、安心感が大きくなる。だが、油断するなかれ。油断した途端に足をすくわれるだろう。


「じゃあ、メロア、皆を厩舎に案内してやってくれ。私は一足先に親父に話を聞いてくる」

「わかった」


 フェニル先生はバートン車を、高級ホテルですか? と言いたくなるほど糞デカイ建物の入口近くに停止させ、堅牢な鉄製の扉を開き、中に入った。


「じゃあ、皆、私について来て」

「メ、メロアって本当にお嬢様だったんだな……」


 ライアンは苦笑いを浮かべる。あまりの敷地の広さと回りのメイドや騎士、執事から頭を下げられているメロアを見て、思ったことを口にしているようだった。


「別に、産まれたのがここだっただけ。それだけだよ」


 それだけでもすごいことなのだが、メロアは何ともやるせない雰囲気。この家に生まれていたから、何不自由なく成長できたと言っても過言じゃないのに。

 まあ、産まれた場所がどうであれ、自分の不幸を環境のせいにするのはダサいからしない。


 メロアについていくと、バートン場が完備された大きな厩舎が見えた。

 多くの者が使用するのだろう。立体駐車場のような高さがあり、そんなに高くする必要があるのかと思う。

 中に入ったら、バートン達がらせん状に上ったり下りたりできる形状になっていた。

 厩舎の中にいても、運動が出来る画期的な建物だ。

 上階、中階、下階の三段構造で、食事場や休憩所、遊び場などに分かれている。バートン達からしたらリゾートホテルみたいな場所かな。


「こりゃ、凄い。レクー、じっとしていなくてもいいくらい広い厩舎だよ」

「ほんとですね。でも、周りに干渉されまくりでちょっと面倒臭そうです……」


 モテモテのバートンであるレクーは厩舎の中に入ったとたんに回りにいたメスバートン達のハートを打ち抜いていた。歩いているだけで勝手に恋させないでほしいんですが。


「メロアさん、えっと……個室ってありますか?」

「個室はあるけど、危険な子を入れるような場所だよ。息苦しいと思うけど、それでもいいの?」

「レクーは狭い所の方が安心できるそうなので」


 レクーは普通の厩舎のように、わけられた場所にいれる。そうしないと、レクーのストレスが心配だった。

 他のバートン達は問題ないらしいので、ほぼ放し飼い。でも、厩舎の中に飼育員がいるので、喧嘩などになっても怪我は負わないはずだ。


「はぁー、何もかも違う。これが、大貴族か……」


 パーズもルークス王国の大貴族という存在がどれだけ凄いのか理解した様子。

 そうなると、ローティア嬢やリーファさん、クレアさんの実家も相当やばいんだろうな。

 ただ、私の実家もブレーブ平原を含めれば同じか、それ以上にデカい。まあ、領地ほどではないので大貴族と肩を比べるのは難しい。

 でも、土地の広さが貴族の強さといってもいいので、マンダリニア家が貴族になったら大貴族に入れてしまいそうな土地の広さがある。まあ、私は女なので、そのような偉業は達成できそうにない。

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