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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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一ヶ月も経てば

「はぁ、戦場に出たら剣だけで戦えるわけないってのに」

「まあまあ、ここは戦場じゃないよ。死地でもない。剣を極めておいて悪いこともない。そう簡単なことじゃないけれどね」

「良いよな、魔法が使える奴は。俺みたいに中途半端な器用貧乏じゃなくてさ」


 ライアンは案外にひねくれ者。

 パーズに劣等感を覚え、何でも出来るが何か突出する部分がないというコンプレックスを抱えている。

 未だに突破口が見えず、くすぶっているようだ。


「私だって魔法が何でも使えるわけじゃないよ。回復魔法は出来ないし、天才じゃない」

「俺からすれば、天才に見えるけど……」

「本当の天才は魔法を何個も作って、言語を八か国覚えて、空を一人で飛ぶんだよ」

「何言ってんだ。そりゃもう天才の域を超えてるだろ」


 ライアンの言う通り、私の弟は天才の域を超えている。

 そのことが、ドラグニティ魔法学園に入ってからよーくわかった。

 どうも、新しい魔法を作るのは簡単なことではないらしい。

 多くの魔法使いや魔導士が新しい魔法を作ろうと日夜努力しているんだとか。

 一年に一つ新しい魔法が出来たら良い方。中には何十年も魔法を生み出そうと研究している魔法使いもいるんだとか。

 言語も二か国語喋れたら十分。空を飛ぶのはべらぼうに難しいらしく、キースさん以外多用しない。

 落下しないよう魔法が付与された箒はべらぼうに高い。貴族も大概バートン車の移動を利用している。空を飛んだ方が早いけれど、落下死したら元も子もないから。


「私は天才じゃなくて秀才。ライアンだってそうでしょ。天才に勝ちたいの?」

「そりゃあ、勝てたらカッコいいだろ。多くの女子からモテモテになれるかもしれないじゃないか」


 ライアンは前髪を払い、決め顔を見せてくる。面倒臭い男だ。

 どうも、入学から一カ月以上経ち、女子達もカッコいい男に調べが付いてきたらしい。

 一年生の中で最もカッコいいのがレオン王子。

 まあ、異論はない。

 彼ほどのイケメンは地球でお目にかかれたらな奇跡と言えるほどだろう。

 テレビに出れば引っ張りだこ間違いなし。学校の王子様ではなく、世界の王子様になれる。

 レオン王子がカッコいいと言うのは言わずもがな。ただ、パーズもまた人気らしい。

 騎士女子寮や学者女子寮から絶大な人気があるんだとか。

 ひたむきに頑張る姿と、クールな印象がたまらないらしい。まあ、わからなくもない。


 ライアンの噂は聞かない……。それが現状だ。スージアは彼女持ちだし、ほぼ興味を持たれていないかな。


「えっと、強くてモテるんだったらSランク冒険者の男性に婚約者がいない人が多い状況と矛盾するけど。モテたいならあまりモテたいって言わない方が良いよ。女子はそういう男子に興味を示さないからね」

「な……、じゃ、じゃあ、俺、女になんて興味ねーし」

「じゃあ、男が好きなのかな~。むふふ~」

「ぬわぁああっ」


 ライアンは怒り任せに、剣を振るってくる。

 やはり、彼を弄るのは面白い。反応が子供なので、色々な顔を浮かべる。弟をからかっているような感覚だ。

 私の少々廃れていた心が潤う気がする。

 剣術の授業を終え、五限目の眠くなる授業を受け掃除の後解散。

 私とサキア嬢は家庭科部の部室がある森の方に足を運ぶ。

 午後六時頃から七時まで裁縫したり、料理したり、お金の仕組みを勉強したり、やることは沢山あるが、今日は普通におしゃべりして時間を潰した。


「明日から、フレイズ領ですねー。移動中に何もなければいいんですけど」

「なにか嫌な情報でもあるんですか?」

「外は魔物が出やすいですし、移動中に魔物に襲われるかもしれない」


 サキア嬢の言う通り、王都から出れば魔物が現れてもおかしくない地域に入る。

 移動中に魔物の襲われたらフェニル先生が倒してくれると思うけれど、気づくのが遅れれば自分達が対処しなければならない。

 人数の少ない私達のほかに他の教室の生徒も一緒に移動するので、先生たちも私達だけを見ていられる訳ではないはずだ。


「少しでも危険が迫って来たら、キララさんのところに逃げますね」

「やめてくださいよ。私を盾みたいに使うの……」

「キララさんの近くにいれば安全ですから」


 サキア嬢は魔性の笑みを浮かべる。両肘をカウンターテーブルに置き、頬に拳を当てた。

 可愛らしいが、腹黒い性格なのであまり信用しない方が良いだろう。


「キララさんと一緒にお風呂に入るの楽しみです~。妖精さんみたいな姿をこの目にばっちり納めないとですね」


 サキア嬢は親指と人差し指で輪っかを作り、目を覆った。

 まるで眼鏡しているような見かけ。口もとは微笑んでおり、私の貧相な体を見て優越感に浸ろうとしているのだ。なんて腹黒い女。彼女が一二歳など考えられない。

 私は胸もとを隠すような仕草を取り、身を守る。


「もう、私は女の子に興味ありませんから~。あぁ、でも、キララさんくらい可愛かったら全然射程範囲ですよ。ちゅっ」


 サキア嬢は投げキッスを私に放つ。

 真っ赤なハートではなく、どす黒いハートが飛んできた。寒気がするぜ、全く……。


 私は身震いしながら、投げキッスを回避して溜息をついた。

 一ヶ月も経てば各々の性格がよくわかってくる。

 サキア嬢も私に正体がバレて隠す必要がなくなったからびっくりするくらいフラットになった。

 ここまで、素で相手されるのも珍しい。でも、逆に新鮮で楽しいという気持ちもなくはない。


「危険だと思ったら、すぐにフェニル先生に伝えてくださいね。そうじゃないと、何が起こるかわかりませんから」

「そのつもりですよ」


 サキア嬢とおしゃべりしていたら、一時間はあっという間に過ぎた。

 ビーの喫茶の戸締りを終えたころ、彼女は寮に帰っていく。


 私は近くの厩舎に向かった。この時間帯なら、マルティさんとリーファさん、モクルさんが頑張って仕事しているはず。

 明日から、出発すると伝えておいた方が良いだろう。


「ふぅ……。良い汗かいた……」


 モクルさんは酪農家ですかといいたくなるほど似合っている作業着姿で厩舎から出て来た。

 ベスパがモクルさん用に作ったつなぎで、吸水性がよく汗がすぐに乾く生地が使われている。

 汗のにおいが気になるモクルさんに着てもらったところ、とても良いらしい。だから、すでに愛用している。

 大きな胸も隠れるように作られているので、普通に見れば胸が厚い獣族の女性って感じにまで色気が納まった。

 まあ、服を脱いだらすっごいんだけど。


「ふぅー、やっぱり皆元気でいい子だ。この子達が処分されなくてよかったー」


 マルティさんも作業着姿で出て来た。あまり似合っていないが、事務職の人が酪農家に出張に来たみたいな雰囲気を醸し出している。

 モクルさんの方が身長が高いので、子供っぽさは否めない。


「ほんとほんと、こんな良いバートン達を処分しようとするなんて、ダメに決まっているよ」


 リーファさんも作業着姿で、マルティさんの近くによる。

 ベスパが作ったインクが裏に染みにくい紙を紐でまとめた品を持っている。バートン達の体調を調べ、記載されていた。

 彼女はマルティさんの秘書みたいな雰囲気。

 元がイイから作業着も似合っており、とてもかわいい。あんな秘書がいたら、仕事の効率が何倍も上がりそうだ。


 モクルさんとマルティさん、リーファさんの関係は特に変化がなく、平衡状態。

 私が戻ってくるまで、何も起こらないでほしいが、何が起こるか想像できないのが人生だ。

 最悪の場合、モクルさんが妊娠している可能性だってゼロじゃない。多くの並行世界を辿ればどこかにそんな世界もあるだろうから。


「マルティ、じゃあ今日も失礼して……」


 モクルさんはマルティさんをムギュっと抱きしめる。

 力を入れ過ぎると人間の体など簡単に拉げてしまうだろうから、本当に赤子を抱きしめるくらい優しい手つきだった。

「モ、モクルさん、あまりぎゅっとされると胸が……」

「気にするな。どうせ、布の上から何だからわからないだろ」


 ――いや、あなたの胸は大きすぎるから、布の上からでも柔らかさを十分に伝わるんですよ。まっ平すぎて骨か皮かわからないくらいの私と違ってね。くっ……。


「むむむ……、マルティ君、鼻の下伸ばしていないよね?」

「の、伸ばしていない、伸ばしていないよ……」


 モクルさんの発情を軽くするため、男のマルティさんと軽く触れあい、慣らしているらしい。

 貴族の男は獣族に恋愛感情を持っていても家が厳しいからか、よってこない。

 ただ、体目当ての男は来るらしく全て拳で返り討ちにしているため、男と交際経験なし。

 でも、マルティさんはどの男とも違い、普通の女子生徒として扱ってくれるんだとか。やはり、マルティさんは紳士のようだ。

 モクルさんの胸で軽く性癖が曲がらないか心配だけれど。


「もう、マルティ君のバカ。そんなにおっきいのがいいの……」


 リーファさんはモクルさんに解放されたマルティさんを自分の胸に押し付けて窒息させている。

 彼女も十分大きいのに、近くに化け物がいるから少々劣等感を覚えているらしい。

 彼女の胸は大きいのに加え超美乳。もう、美の女神の乳と言っても過言じゃないだろう。

 まあ、お風呂を覗き見てしまったから知っているのだけれど、マルティさんが実際に見たら、鼻血噴出不可避だろうな。


 三人の関係は今のところ良好。何の問題もない。ただ、地面のぬかるみのようなちょっとした不安というか、何か粘っこい空気感が昼ドラを思わせる。

 モクルさんと私、マルティさんとリーファさんに分かれ、それぞれ寮に戻った。


「はぁ、マルティさんにもっと抱き着きたかった……」

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