天才とは?
「ふ!!」
「はぁ!!」
そこには魔法を連発するライトの姿と、魔法を切って回避を繰り返しているシャインの姿があった。
切られた魔法は、シャインの後方へ飛んで行き爆発する。
爆発の範囲は狭いが地面は半月型に抉れているので威力は十分残っていた。
「ね? 遊んでるでしょ」
――いや…遊んでいるというか…殺しあっているというか…。とりあえず止めないと、ここはネ―ド村の敷地だし…。
「2人とも、何してるの! ここはよそ様の敷地でしょ。ライト、そんなに何発も魔法を放って、村人に当たったら危ないでしょ。シャインも木剣を振り回していつもみたいに折て飛んで行ったら危ないし。やるならもっと人けのないところでしなさい!」
「あ、姉さん! 聞いてよ。シャインがデイジーさんに剣術ばっかり教えるんだ! 体幹が大事だとか、動きはこうだとか、僕に全然話させてくれないんだよ!」
「そりゃあ、魔法よりも剣術の方が圧倒的に使いやすいでしょ。ライトみたいに皆が魔法の天才じゃないの!」
「それを言うならシャインみたいな動き出来る人、僕はアイクさんくらいしか知らないよ。そっちこそ天才なんだからもっと自重したら!」
「私のどこが天才なの! 私は努力してるの、天才の一言で片づけないでくれる!」
「そっくりそのままお返しするけどね。僕だって努力してるの! 天才ってのは、姉さんみたいな人を言うんだよ!」
――いやいや…私のどこが天才だって言うの。どう考えても2人の方が天才にしか見えないんだけど…。
「それは否定しないけど、ライトはもっと体を鍛えなさいよ! 魔法打つとき体ブレブレだし! そんなんじゃ当たる魔法も当たらないでしょうが!」
「シャインこそ剣だけに執着するのやめろよ、もし剣が奪われたときどうするのさ! 魔法の1つでも使えたら戦況だって有利に進められるだろ!」
――喧嘩しているように見えて…何だかんだ仲がいいんだからこの2人…。
2人を何とか落ち着かせ、デイジーちゃんの家庭教師を再開させる。
「だからここはこうなって…最終的にこうなる」
「フムフム…なるほど」
「剣を構えて、強く振り下ろす」
「ふん!」
殺し合いを止めた2人は1日中デイジーちゃんに文字や魔法、剣術などを教えていた。
2人は楽しそうに教え、学んでいるデイジーちゃんの方も楽しそうだった。
楽しい時間はすぐ過ぎてしまうので、あっという間に日は西へ沈んでいく…。
「さてと…西日も大分赤くなってきたし…今日はそろそろ帰ろうかな」
「え~、もう少しいようよ。まだまだ教えたりないのに~」
「僕もまだ教えられてないところがあるんだけど…」
2人はデイジーちゃんにべったりくっ付き、離れようとしない。
「また7日後に来たらいいでしょ、人生はまだまだ長いんだから」
「ん~、7日後か…長いような…短いような…」
「大丈夫、7日なんてあっという間だから」
「ほんとかな…僕たちだまされてない…」
「だまして無い、だまして無い。事実を言ってるだけだよ。楽しみは取っておいた方が幸せになれるんだから。ほら、帰るよ」
2人を荷台に乗せ、私達の村へ帰る。
ネ―ド村の人たちは荷台が見えなくなるまで手を振り続けてくれた。
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