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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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三角関係

 商人なら出来るだけ皆を平等に扱うだろう。

 とある商会は獣族を積極的に受け入れるほど偏見を持っていない。

 バートンから好かれていれば、動物から好かれていると言えるか。

 部活に一生懸命取り組んでいれば頑張り屋かな。

 バートン術がすごく上手い男を知っている。


「い、いやー、まさかな。ないない。こじつけにも程があるよ~」


 私はあははは~っと、笑った。

 モクルさんに限ってあの人を好きになるわけがない。

 まあ、人を好きになるのは自由だけどさ。

 でも、モクルさんが好きになった人なら、いい人で間違いないな。

 恋がうまくいってくれるといいな。

 たとえかなわぬ恋だとしても、学生なのだから、バカしてもいいじゃないか。

 当たって砕けろ理論を伝えようか。

 振られて泣いている時に、すっと紅茶やお菓子を出して慰めてあげよう。

 うん、出来る後輩だな~、私~。


「キララ様、妄想が暴走しておりますよ。勉強が全く進んでいません」


 ベスパは私の頭上をブンブン飛び回る。

 すーっと降りてきて紙の上に乗る。問題を指さし、私に注意してきた。


「ごめんごめん。ちょっと考え過ぎちゃった」


 私は勉強を再開し、午後一〇時頃にベッドに寝ころぶ。

 次の日も疲れながら一日の授業を終え、ビーの喫茶による前にバートン達の様子を見に行く。


「キララさん、こんにちは」


 マルティさんが笑顔で挨拶した。

 私は私が園外授業でドラグニティ魔法学園にいない間にバートンのお世話を彼にお願いしたはずなんだが。

 彼は待ちきれずにバートンの世話に来てくれた。

 すでに、バートン術の方の練習は沢山したと言っており、厩舎内にいるバートンにブラッシングをかけていく。

 ビー達でもブラッシングは出来るが、やはり人間にしてもらったほうがバートン達も気持ちが良いらしい。

 愛情が籠っているんだとか。

 さすがにビー達に愛情を込めるのは難しい。


 マルティさんがブラッシングしてくれると助かる限り。

 彼のブラッシング技術はもうプロ並みだ。そのため、多くのバートン達が喜んでいた。

 少しすると、リーファさんが駆けてくる。

 マルティさんと共にバートンのお世話を始め、ちょっとするともう一人やって来た。


「キララちゃん、バートン達の世話に……」

「ああ、モクルさん、ありがとうございます。丁度よかった。私が居ない間、モクルさんと一緒にバートンを世話してくれる二人を紹介しておきますね」


 私はモクルさんの前にマルティさんとリーファさんを呼ぶ。


「あ、モクルさん。もしかして、もう一人の方って、モクルさんだったんですか。それは、心強い」


 マルティさんはモクルさんの手をムギュっと握り、微笑んだ。

 モクルさんが獣族だから一緒にいたくないというような偏見がない。


「ま、マルティさん、り、リーファさんも……」

「ど、どうも、モクルさん、よ、よろしく……」


 モクルさんのどぎまぎした表情と、リーファさんの引きつった笑顔を見るに何かちょっと、いや、大分嫌な予感がする。


「えっと、皆さん、仲良くお願いしますね」

「任せておいて、キララさん。モクルさんがいれば力仕事も問題ない。彼女のバートンに対する愛も本物だって知っている。自然委員の手伝いで毎回頑張っている姿を見て来たからね」


 どうやらマルティさんはモクルさんの自然委員の仕事を手伝っているらしい。

 へぇー、繋がりがあったんだ。まあ、三年生同士だし、人数が減っている状態なら知り合っていてもおかしくないか。


「も、モクルさん。ささ、一緒に頑張りましょう」


 リーファさんはモクルさんの手を握り、マルティさんから離れさせる。


「あ、ああ、そうだな」


 モクルさんの少々悲しそうな視線がマルティさんに向けられた。そのまま、厩舎の中に行く。


「マルティさん、モクルさんと仲が良いんですか?」

「うーんと、モクルさんは自然委員でバートン達の世話をする時が多々あったんだ。その時、僕もバートンの世話が好きだから一緒に手を貸していたんだよ。僕、その時は、ほぼ平民みたいな感じだったから気さくに話せる中だったんだけど……」


 マルティさんは少し笑い、中級貴族になってから少し距離が出来てしまったと言う。


「僕はもっとモクルさんと仲良くなりたかったんだけど、あまり接点がなくて。だから、今回、一緒にバートンを育てられるって知って、凄く嬉しかった。ありがとう、キララさん」


 マルティさんは優しい顔で私に感謝した。

 その笑顔はあまりにも純粋で、温かみがある。実際、そうなのだから、非の打ち所がない。

 もし、モクルさんの好きな相手がマルティさんだったら、ちょっとまずいか。


「えっと、マルティさんは獣族に偏見を持っていますか?」

「偏見? 一切ないよ」

「そ、そうですよね。そう言うと思いました」


 マルティさんは首を傾げる。

 獣族に偏見を持っている貴族は結構多い。

 冒険者女子寮の中でも、ミーナの入ったお風呂にあまり入りたくないという者もいるくらいだ。

 だから、出来る限りミーナとモクルさんは最後に入るようにしている。

 その時、私達も一緒に入るので自然と仲良くなってしまう訳だ。


「じゃあ、僕も二人とバートンを世話してくる」


 マルティさんは踵を返し、すぐに厩舎の方に走って行った。私もその後を追う。


 リーファさんとモクルさんの位の差は天と地ほどある。

 二人が仲良しかどうか、わからない。

 まあ、リーファさんなら、モクルさんとも仲良くなれると思うけれど……。


 私が厩舎の中に入ると、マルティさんが腰を抜かすように、床にしりもちをついていた。


 目の前にいる両者が物凄い気迫を放っていたのだ。

 リーファさんの大量の魔力とモクルさんの闘気がぶつかり合い、辺りの空気を震わせる。

 両者がメンチ切るような険しい表情を浮かべていた。


「モクルさん、あまりマルティ君に近づかないでくださいね。その大きなおっぱいが当たったら危ないですから……」

「そうは言っても、バートンの世話を共にするんだ。たまにぶつかっちまうかもしれねえ。まあ、柔らかいから問題ないだろう。生徒会長さんはやけにマルティさんに入れ込んでるんだなー」


 両者は怒っているのか、はたまた罵っているのか。

 両者を見ているマルティさんは恐怖のあまり、その場から動けない。

 何とも情けない。

 そう思っていたが、マルティさんはぐぐぐっと体を持ち上げる。そのまま、両者の間に入った。


「二人共、落ちついて。それ以上辺りに気迫をまき散らしたらバートン達が怯えてしまう」


 マルティさんはバートン達が恐怖しないように、両者の間に入ったと思われる。

 どうやら、バートンのことになると恐怖心が消えるようだ。

 こうなると、本当にバートン関係の仕事に就いたほうがいいんじゃなかろうか……。


「二人共、同級生だし、ここまで残った仲間なんだから、仲良くしようよ。喧嘩はよくない」


 マルティさんはリーファさんとモクルさんの手を握り、両者の手を握り合わせる。

 すると、リーファさんとモクルさんは口をもごもごさせながら謝り合う。


 尻に敷かれそうで尻に敷かれないタイプの人かな。

 加えて、マルティさんはモクルさんの胸ではなく顔をしっかりと見ていた。

 あの人、胸に興味があまりないタイプらしい。

 バートンのような大きなお尻が好きなのかな?

 まあ、女子からするとどっちも嫌だが、胸を見られるよりはマシ。

 その点も印象が良く見える。

 モクルさんも、男性に目をしっかりと見られて、耳と尻尾を無意識に動く。


「皆さん、仲間同士で喧嘩したら冒険者パーティーはすぐに壊滅しますよ。三人という丁度いいパーティーなんですから、力を合わせて頑張ってください。それぞれの特色に合わせて仕事を分け振れば効率よくバートン達の世話ができるはずです」


 私は手をパンパンと叩き、意識を向けさせる。

 三名は私の方を向き、ピシッと立った。

 私は先生じゃないのだけれど……。

 まあ、ここの管理者だから皆の上司か。


「モクルさんはバートン達の餌の準備、マルティさんはバートン達のブラッシング、リーファさんはバートン達の体調を記録してください。力仕事、触れ合う仕事、事務仕事、それぞれ得意なはずですから、すぐに取り掛かってください」

「は、はいっ」


 モクルさんとマルティさん、リーファさんは大きな声を出し、私の合図と共に動き出した。

 指示を出されたら動いてしまうのが学生の性。

 私の女王気質から発せられた命令をしっかりとこなす。


 命令があるのと、ないのとで、仕事の効率は全然違う。

 まあ、機械でやるのか何も知らない人間がやるのかくらいの差が出るだろう。


 モクルさんは大量の牧草を運び、餌箱に補充。大量の水も運び、水溜めに補充。

 力仕事はお手の物。体の筋肉がもりもりと浮かび上がっており、胸がなかったら女の人だとわからないかも。

 プロレスラー並の巨体で、抱き着かれたら軽くひねりつぶされる未来しか見えない。


 マルティさんのブラッシングは、素早かった。それで丁寧。一頭を綺麗にしたら、すぐ次の個体に移る。


 リーファさんも一頭一頭の様子を見て、手記を残し、状態の変化を細かくまとめていた。

 これだけ、連携作業ができるのなら今後も任せていいかもしれない。

 そう思いながら、私は見ているだけ。

 社長も仕事している者としていない者がいる。


 今の私は完全に仕事を見ているだけの少々うざい社長だ。だから、さっさと退散するか。


 私は近くにあるビーの喫茶に移動した。すると、すでにサキア嬢が椅子に座っていた。

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