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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~
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闇ギルドをつぶす

 キースさんが戻ってくる間に、ベスパに頼み、ビー達に闇ギルドの基地を探してもらう。

 建物の中や地下など、結界の張られていない場所は王都の隅々まで探す。

 すると、闇ギルドと堂々と描かれた看板を今日見つけた箇所あわせて八箇所見つけた。


 もしかするともっとあるかもしれないが、今日見つけられた分は八カ所。

 でも、こういう奴らは多くの場所を転々とすることが多いはずなので見つかったとわかるや否や、別の場所に身をうつす。

 その場所も見つけないと駄目だ。

 調べつくしてもらうと、使われていないが闇ギルドがいた痕跡のある場所が七二箇所もあった。

 全てで八〇箇所。普通のお店もあり、閉店となっているが敵の根城になる可能性がある。用意周到な連中だ。


 ほんと、闇ギルドを経営してお金を稼ぐくらいなら、普通に経営してお金を堂々と稼いだ方が綺麗なのに……。

 闇ギルドのてっぺんに君臨している者はそれ相応のカリスマ性と知識を持っているはずだ。

 真面な仕事をすればきっとすごい大企業になっていただろう。

 王都だけでも八店舗経営出来るんだから、凄い力だ。


「キースさん、闇ギルドが使っている場所をある程度見つけました」

「す、すごいな。まだ、一時間も経っていないと言うのに……」


 キースさんは闇ギルドの者を留置所に送ってきた後、椅子に座りながらパンを貪っていた。

 呑気に夕食なんてとっている場合ではないのだけれど……。


 王都の地図に八カ所印をつけ、それ以外の建物の七二カ所にも印を付ける。

 八方位に丁度良い具合に散らばっている。


「キースさん、使われていない部屋に人を配置しておいて逃げ込んできたところを一網打尽にする作戦はどうですか?」

「逃げ道を塞いで袋叩きにするのか。普通、出来ないが今の状況なら出来るな……」


 キースさんは私が当たりを付けた地図を見下ろしながら、笑っていた。

 闇ギルドがなくなったら、ローティア嬢が襲われる心配が少なくなるはずだ。

 そうあってほしいけれど、執着心が強い者はどんな方法でも使ってくるので、気休めにしかならない。

 でも、多くの民が闇ギルドに怖がっているのは確かだ。

 裏稼業の人には悪いが、闇ギルドを潰させてもらう。

 正義執行という訳ではない。

 ただたんに、友達の安全を守るため。

 それだけのために、多くの闇ギルドを潰す理由になり得るだろう。

 犯罪者に慈悲はない。

 キースさん曰く、闇ギルドに手を出す者は冒険者ギルドに登録できないような罪を犯した者達だという。

 殺人を犯しながら釈放された者や、大量の薬物をばらまいた者まで、犯罪者は漏れなく冒険者ギルドに入れない。

 普通の荒い者なら問題ないが、犯罪者はお断りのようだ。


「えっと、闇ギルドを潰すために人手が必要ですけど、誰に頼めば……」

「そうだな、無難に騎士に頼めばいいだろう。たとえ正教会がローティア嬢を狙っているとしても、騎士達に関係のないことだ。実際、正教会と騎士団に国家間の繋がりはほとんどない。まあ、繋がっているのは確かなんだがな……」


 キースさんは信頼できる騎士に地図を見せると言い、地図をたたんで窓から飛び出し箒で飛んで行った。

 どこに行ったのかと思えば王城。

 アレス王子の側近に渡す様子がビーの目からはっきりと映っていた。

 キースさんは王城に張られた結界を抜ける。

 彼についていたビーも同じように結界を抜けた。

 ほぼ無断で王城に侵入し、アレス王子の部屋の前で立っていた顔に傷のは行った男性に話しかけている。

 以前、街のカロネさんの喫茶店で会った覚えがある、近衛騎士の男性だ。


「キース殿、結界を破ってまで何の用ですかな?」

「これを渡したくてね。有効利用してもらいたい」


 キースさんは近衛騎士の男性に私が印をつけた地図を渡す。


「これは……」

「闇ギルドの基地だ。マルの印が今利用されている場所。バツ印が使われていないが、使われた痕跡があり、逃げ場所となっている可能性のある場所を示している。アレス王子は闇ギルドの捜索を自らしているようだったが、これでさらに人気を獲得してくれ」

「……まさか、ほんとですか? 騎士が血眼になって探しても常にも抜けの殻だと言うのに」

「わしも信じられないが、遅れると先手を取られる。出来る限り少数精鋭で動くんだ。キアン王子に悟られるな……」

「了解しました」


 近衛騎士の男性は信頼できる仲間を集めているのか、城の中で警備している騎士に話しかける。

 走らず騒がず、単なる業務連絡のように話をしている。


 騎士達に任せるのは少し怖いので、闇ギルドの逃げ場にビーとアラーネアを配置し、逃げ込んできた闇ギルドの者達を拘束する算段を立てておいた。


「ふぅ、今、キースさんのおかげで結界の中に無理やりビーが入り込めた。ベスパ、王城付近にビーの巣でも作って監視を増やしておいて」

「了解です」


 ベスパは開いている結界に数匹のビーを入れ込み、王城内でもビーが活動できるようにしておく。

 結界が閉じている間は連絡出来ないが、ずっと閉じているわけではない。

 加えて、人にくっ付きながら、出てくれば情報を持って外に出ることも可能。

 すでに私も犯罪者に一歩近づいているが、警察だって犯人を見つけるために人を知らない場所から監視するのだから、お相子だ。

 犯罪の意識があるか、ないかで変わってくる。


「これで、王城の中の様子も多少はわかるようになるかな」

「そうですね。結界の中からの情報を随時受け取れないのが難点ですけど」

「でも、得られないよりはマシだよ」


 私はベスパと話しながら、学園長室で待っていた。

 すでに午後八時を超えており、寮で確実に怒られるなと項垂れる。

 でも、ローティア嬢の身の安全を少しでも上げられるのなら、怒られるのだってかまわない。


 キースさんは三〇分も掛からず、学園長室に戻って来た。


「ふぅー、これでよし。今晩じゅうに、闇ギルドの者たちは痛い目を見るだろうな」

「そうだと良いですね。悪は滅びるべし」


 私は拳を握りしめ、微笑んだ。キースさんの方は笑っておらず、苦笑い。

 どうも、近衛騎士すら驚くことを一学生、一二歳の少女が成し遂げたと言うのが未だに信じられていない様子。

 もし、闇ギルドが壊滅したら、どのようにして国民に発表しようかと悩んでいた。


 アレス王子の手柄になるのは間違いない。加えて、闇ギルドの脅威を払ったとなればアレス王子の王位継承は確実のものとなるだろう。

 すでに人気なのに、国民が恐れる組織を潰したとわかれば、国民の熱は一気にアレス王子に向かう。

 そうなれば、キアン王子の考えているであろう思惑はついえるはずだ。


「じゃあ、私はそろそろ寮に帰ります。そうじゃないと怒られるので」

「わしに捕まって長話に付き合わされたと言えば、多少は叱られずに済むだろう。老人を上手く使いなさい」

「はは、ありがとうございます」


 キースさんは自分が、犠牲になるといって笑っていた。

 職場に行きたくない人が祖父が死んだと言い、会社に有給を貰おうとする手段に似ているな。


 私は学園長室を出て暗い園舎の中を歩き、レクーを厩舎にもどしてから冒険者女子寮に帰る。待っていたのは、腕を組み仁王立ちしている者達……。


 寮長のパットさんに、仲が良い先輩のモクルさん、担任の先生のフェニル先生、同級生のメロアとミーナ。さすがに午後九時に帰ったら、怒りもひとしお。


「うぅ、すみません……。キースさんが私を捕まえて舐めまわすような視線を向けてきて、逃げられなかったんです」


 皆は私の話を聞き、同情してくれた。

 加えて、キースさんの評価は著しく下がった。


 ――すみません、キースさん。ただの長話では私も同罪になり得るので、全て被ってください。


 私は小悪魔のような笑みを作り、舌を出して何も知らないであろうキースさんに謝っておく。

 すぐさま、ローティア嬢の部屋に走る。彼女はハルシオンの効果で未だに眠っていた。

 服を着せ、寝間着の状態にさせる。

 起きたら、闇ギルドに捕まったのは夢だったというつもりだ。

 あんな光景トラウマになるに違いない。怖い夢だったと思ったほうが、心の傷は少ないはずだ。


 ベスパが流したハルシオンの量が多かったのか、今日中に目を覚ましそうにない。

 体に問題はなく、ほっと一息……。

 私のせいで彼女の一生がおえてしまったら、あまりにも申し訳がない。

 守れてよかったと、ベスパの力を与えてくれた駄女神に心から感謝する。


 きっと、ベスパの力がなかったら、ローティア嬢を見つけるのは無理だった。

 そう考えると、ネアちゃんやディアの力も本当に頼りになった。

 私がしたことと言えば、逃げて騙して会話しただけ。

 私が活躍したというより、皆が活躍したといったほうが正しい気がする。


 冷えた夕食を得て、お風呂に入り、自分の部屋に戻って軽く勉強してからベッドに寝転がる。

 もう、今日は本当に疲れたよ……。


 ずっと部屋の中にいたフルーファは私の横にぼふんっと寝ころび、モフモフの毛を差し出してくる。

 ありがたく抱き着き、抱き枕にして安眠した。


 次の日。


「きゃあああああああああああっ」と言う大きな声を聴いて、目を覚ました。

 一体何事だと思い、声がした場所に向って走っていく。

 声の主がローティア嬢だった。

 私は自分が半裸にも拘らず、メロアとローティア嬢の部屋に駆け込んだ。

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