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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~
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天然のモクルさん

 獣族の方は仕事が生きがいとでもいわんばかりに良く働く。

 冒険者になった獣族の方も、バリバリ働いて遊んでいるところをあまり見た覚えがない。

 仕事している方が楽しいのかも。

 人間はサボり魔だが、獣族の方達は仕事魔だ。

 モクルさんも、自然委員の仕事が嫌いではないから、頑張れているのかも。


「じゃあ、土を掘る作業だけ、私のスキルにさせましょう。苗は自分達で植えていけば、それなりに時短になるはずです」

「なるほど、いいね。そうしてもらおうかな」

「了解です」


 ――ベスパ、他の花壇に等間隔で穴をあけてくれる。苗が上手く植えられるくらいの大きさでね。


「お任せください!」


 ベスパが一度光ると、ビー達が草むらから現れ、他の花壇に向かう。

 私たちが移動している途中に準備が終わっているだろう。


 私とモクルさんは冒険者女子寮の花壇を綺麗に整えた後、冒険者男子寮に向かう。

 男子寮に入ってもいいのかなと思ったが、花壇だけなのだから気にする必要ないか。


「どわ、モクル先輩だっ!」

「うあぁ、本当だ……、ち、乳でけぇ……」

「獣族だけど、一度でいいから胸に抱きしめられたい……」

「く……、獣族だが、胸と尻は悪くないな……」


 冒険者男子寮の男子たちもほとんど貴族だ。

 でも、モクルさんのダイナマイトボディーに目をくぎ付けにしていた。

 外で訓練している者や窓から外を眺める者がいる。彼女は人気者らしい。

 多くの男の目が向けられるのは彼女の顔ではなく、胸とお尻だ。


「はは……、モクルさん、男の人の視線が痛くないですか?」

「まあ、さすがに慣れた。あと、一発殴れば大概解決するから、気にしても仕方ない!」


 モクルさんは拳を作り、一発空気を殴りつけた。

 空気を殴って生まれて良いい音波じゃなかった。

 前髪がふわりと浮き上がり、風が吹いたのかと錯覚したくらい、彼女のせいけんづきの一撃は強烈だった。

 なんせ、結構離れた男子たちの髪まで靡いたのだ。

 彼女の一撃はどれほどの威力があるのか。可愛い見た目に反して筋肉の塊の彼女は相当強いと一瞬でわかる。


「おおー、完璧に穴が開いている。こりゃ、さっきの半分の時間で植えられるな。さ、植えてしまおう」

「はい。男子の視線は好きじゃないので、さっさと離れたいです」


 私とモクルさんは木製の容器から苗を取り出して、花壇に植えていく。

 すべて植え終えると黒っぽい土の上に緑色の草が並んでいた。

 ぴしーっと並んだ姿を見ると、ビー達の団体行動がいかに正確か思い知らされる。

 あまり敷き詰めると養分がなくなるし、見た目も窮屈になるので、少々開いている具合が丁度いい。


 私達は冒険者男子寮から離れ、騎士女子寮に向かう。

 騎士女子寮に行くと、ほとんど部活にいっているようだ。やはり、真面目な生徒が多い。

 冒険者女子寮と同じく人が少なめだと思うので、人気が少なくても仕方がない。

 逆に、嫌味を言われないので、私としては楽だ。

 土に魔力を流し、モクルさんと一緒に苗を植え、完璧に仕上げる。

 騎士男子寮に行くと……。


「む、むむむ。あ、あれは、モクル先輩ではないか……」

「ほ、本当だ。お、おっぱいが大きなモクル先輩だ……」

「ば、バカ野郎、騎士たるもの、おっぱいなんかに惑わされているんじゃねえ」

「おっぱいが揺れている、って、だ、駄目だ、俺には許嫁が……」

「おぅ……、プルンプルン……」


 騎士男子寮の生徒達は冒険者男子寮よりもむっつりが多いらしい。

 騎士道精神と学生のとめどない欲求の魔の心がぶつかり合っている。

 欲に負けた学生たちはモクルさんの体をガン見し、欲に打ち勝っている生徒はその力を己の活力に変え、剣を振りまくる。

 やはり、モクルさんの体は誰から見ても相当卑猥らしい。


 騎士男子寮に苗を植え終え、そのまま学者女子寮に向かう。

 学者女子寮の生徒は外で鍛錬しているものはおらず、部屋の窓がちらほら開いているのを見ると、勉強中かな。

 その間に、私達は苗を植えていく。ただ、ここら辺はバタフライの縄張りなのか、ビー達がいじめられているようだった。


「この、この、この、入ってくんな雑魚ども!」

「びえ~ん、叩かないで~」


 バタフライが大きな翅でビー達を叩き、地面に突き落としている。何とも間抜けな奴らだ。

 バタフライはサキア嬢に従っているようで、私の魔力を受け取らないらしい。

 まあ、催眠の魔法のようにスキルの上下関係があるのかもしれない。

 それ特有の効果を持つ者の方が持たない者よりも強いということかな。


「穴を掘るだけだから、許してほしいんですが……」


 ベスパは物腰低く、バタフライに話かけていた。大企業の職員に話しかけている中小企業の社長のようだ。


「そうなら、そうと早く言いなさいよ」

「言っていた気がするんですが……」


 両者の話し合いが終わると、ビー達が土を一気に掘り起こす。

 その場に魔力を長し、栄養をあたえたら苗を植える。

 すると、バタフライは喜んでいるのか苗の上をはらはらと飛んでいた。

 弱々しい体なのに、ビー達をはたき落とすほどの力を持っているのだから、虫の中では相当強い方かな。

 色々種類がいてどれが何だかわからないけれど。


「よし、後は学者男子寮だけだね。これなら、昼食を得て部活にいけそうだ」

「モクルさん以外の武術部員は部活にいっているんですか?」

「そうだね。まあ、私も部活にいきたいけれど、仕事をほったらかしにするわけにもいかないからさ」


 モクルさんは手をはたき、いい汗がにじむ頬を手の甲で撫でる。

 きらりと舞う、汗のしずくは努力の証。

 彼女の美しさをさらに際立たせる宝石のような輝き。やはり、仕事をする女性はカッコいい。


 私達は最後の花壇に向けて歩む。

 学者男子寮は何とも陰湿な雰囲気だった。

 別に偏見じゃないが、勉強だけやっているような人達が多いのだろう。

 モクルさんの姿を見たら鼻血を垂らしてしまうのではないだろうか。


「いやー、沢山仕事して、あっつくなっちゃった」


 モクルさんは体操服の上着を脱ぎ、運動用の体のラインがはっきりとわかる内着を曝しながら顔を仰ぐ。

 でも、内着が人間用だからか、モクルさんにとっては少々小さいようで、大きな胸が今にもはち切れそう……。

 というか、外で体操服を脱ぐって。内着が内着じゃないと思っていらっしゃる?


「ごふっ……」

「おぅっ……」

「あぁ……」

「ぶふっ……」


 学者男子寮の生徒達は幸せな光景を見て、鼻血を流しながら連鎖するようにたおれていった。

 あまりにも、滑稽な姿。

 性癖を捻じ曲げられてしまって可哀そうと思える。

 それほど、今のモクルさんは破壊力が高すぎる。

 全身に汗を掻き、大きな胸の谷間まではっきりとわかってしまう。

 彼女の顔がなまじ美人なので、耳と尻尾を隠せば人気者間違いない。


「モクルさん、外で脱ぐって恥ずかしくありませんか?」

「ん? いや、服を着ているからいいだろう」

「服って、ぺらぺらですよね……」

「でも、これは人族の服だろう。特に変な部分はないと思うが……」

「普通に、内着は下着の一部だと思うんですけど」

「う、内着も下着の一部……」


 モクルさんは知らなかったのか、気にした覚えすらなかったのか、体を縮めながら丸まった。

 彼女が言うに、これで普通に歩いていてもおかしくないと思っていたらしい。

 なんなら、運動後、この服装のまま授業を受けていた時もあるそうだ。

 モクルさんは普段、強気で振舞っているから、誰もその服は内着で普通は見せないと教えてくれなかったと思われる。


「ま、まさか、このペラペラな服が服じゃなくて、内着という下着と同じ扱いの品だとは」

「ま、まあ、過去のことは忘れて今度から気を付ければいいと思いますよ……」

「一年の時から運動後は内着一枚になって、授業を受けていた。周りからの視線が痛いと思ったが、そういうことか。私、なんて破廉恥なやつなんだ」


 モクルさんは蹲りながら瞳に涙を浮かべている。だいぶ天然な方だ。

 誰も恋人にしたいとは思っていなかっただろう。でも、その体を見て、目を幸せにしていたはずだ。

 マスコットキャラ、二次元キャラ、そんな立ち位置の女性かもしれない。


「うぅ。み、皆のもとに向かうのが恥ずかしすぎる。あいつ、汗を掻くと内着になるんだぜ。とか、うわー、本当に内着になったとか、言われるんだ。ううぅ……」


 モクルさんは驚くほどめそめそしていた。ほんと、仕方がない方だ。


 私はネアちゃんとベスパにお願いして、モクルさんが恥ずかしくないような服を作る。


「モクルさん、へそ出しってできますか?」

「え……」


 私はモクルさんに陸上競技で使うような胸だけ隠すスポーツブラっぽい服を差し出す。

 まあ、モクルさん専用なので胸がデカすぎて私が着たらぶかぶかなのだけど。

 柄が入っており、六角形のハチの巣構造だ。見た目は何とも奇抜だが、逆にそれが内着っぽくなくておしゃれに見える。


「これは……」

「ブラジャーよりも胸が動きにくくなる内着です。それを着て運動すれば、いつもより動きやすくなると思いますよ。それに、間違って服を脱いでも、内着に見えません」

「ほ、本当!」


 モクルさんは立ち上がり、内着の裾に手を添える。

 そのまま、めくりあげようとしたので、すぐに即席の試着室を作り、服を着替えさせた。

 この方、天ねんにも程がある。獣族って、皆天然なのだろうか……。


「うぉぉ……、す、すごい……。こりゃ、快適だ」


 モクルさんのおっぱいを包むスポーツブラは完璧な出来栄え。

 大きさがはっきりとわかるが、伸縮性のある素材がしっかりと抑え込み、動きを封じ込めている。

 ただ、体を左右に動かすだけで、胸の攻撃を放てそうなのが、恐ろしい。

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