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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~
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生活習慣

 リーファさんはマルティさんの手にそっと手を乗せ、胸のドキドキを抑え込んでいるように見えた。

 マルティさんは何してもリーファさんをドキドキさせちゃう行動をとってしまう。

 計算しているとは思えないので、天性のやさお……。


「え、えっと、もう、離れても良いかな……」

「だ、駄目。寒いの……」

「えぇ……」


 マルティさんとリーファさんは向かい合って抱き着き、体を密着させていた。

 この場面を他の生徒が見ていたらいったいどう思うのか。

 憧れの的のリーファさんが冴えないマルティさんと一緒にいるだけで、暴動が起きそうだけれど……。


 私は両者のイチャイチャを間近で拝みながら、見ていた。

 もう、心がパンクしそうなくらい熱々で一五歳になったらいったい何人の子供が出来ちゃうんだろうと想像が止まらない。

 両者の学園生活は残り一年。その後、結婚してどういうふうに生活していくのかな。

 わからないけれど、何かしらでお金を稼いでいくんだろうな。


 私達はバートン術の厩舎に移動し、レクーたちを元に戻した。


「今度の授業参観、お父様が見にくるって。マルティ君は?」

「僕はお爺様が来てくれるって。荷が重すぎるよ……。寄りにもよって、お爺様が来るなんて。一番気楽な父さんが良かったな……」

「私はお母様が良かった。と言うか、お父様、マルティ君を見にくるのかも……」

「うぅぅ、胃、胃がぁ……」


 マルティさんはお腹に手を当て、顔色を軽く悪くする。

 両者は同じクラスなのか、授業参観の観覧者が婚約者の相手もいるとなると、そりゃあ緊張するだろう。

 お見合いとは違うが、悪い所は見せられない。

 ものすごく辛いだろうが、こういうところを乗り越えないと、強くなれないのもまた事実。


「リーファさんのお父さんとマルティさんのお爺さん、どちらも重鎮ですね。他の方も重鎮なんでしょうね」

「そうだね。でも、教室にいる大貴族は私だけだから、皆、お父様にペコペコするんだろうなと思うと、なんか申し訳ない。お父様は別に普通の人なのに……」


 リーファさんの考えはどうも大貴族っぽくないというか、どちらかと言うと市民よりだった。誰かが影響しているのかな。


「リーファさんって、大貴族というよりか、市民っぽいですけど、そういう教育を受けているんですか?」

「ううん、そうじゃないけど、私のお兄さんが冒険者だから」

「あー。でも、カイリさんって貴族っぽいですけど……」

「冒険者の仕事している時は自然体になれるんだって。多分、大貴族の仕事はしたくないんだと思うけど……、自分がしないとする人がいないから我慢しているの。その我慢する気持ちは私もわかるから、他の人も我慢しているって思えると、寄り添いたくなるというか」


 リーファさんはマルティさんにくっ付き、微笑んでいた。

 マルティさんはリーファさんの肩を抱きながら優しく撫でていた。

 すでに、ラブラブなんですが……。


「なるほど、他者の気持ちを理解できるから、庶民っぽい訳ですか」

「多分。もちろん、貴族相手には貴族相手に何も失礼がないように心がけているよ」

「僕も一応貴族なんだけどなー」

「マルティ君は、夫だから……特別だよ」

「うぐぅ……」


 マルティさんは心臓を打ち抜かれてしまったかのような声を出し、リーファさんをぎゅっと抱きしめる。

 リーファさんはまんざらでもない表情を浮かべ、頬を紅色に染めていた。さっさと結婚しやがれ、そのまま爆ぜろ。


 心の中で起爆スイッチを押し、目の前のバカップルを吹っ飛ばしたい気持ちは静める。そんなことしてもむなしいだけだ。


 私は午後七時頃に寮に戻る。戻ってきても、部活に入っていない生徒くらいしかない。

 私とフルーファは食堂で夕食を受け取る。

 焼かれたパンとコーンスープ、肉と野菜の炒め物。美味しい料理は心を満たし、疲れを癒してくれる。

 日々は食がなければ続かないし、食は私の体を作り、心まで安らかにしてくれる。

 このような素晴らしい品を作ってくれて感謝しかない。

 この学園に来てから大変なことばかりで、自分の時間を全然作れていない。

 学園のお金を使って、お菓子作りでも出来ないだろうか。

 もし、出来るのならば、私は心置きなくお菓子作りができるのに……。

 まあ、ウトサが高いから甘い品は無理かもしれないけど、ソウルなら美味しい食事を作れるようになるはずだ。

 あぁ、家庭科部が何でないんだか……。


 私は食事しながら、悶々としていた。そのまま、ビー達の視界を使ってゲンナイさんとリーファさん、サキア嬢、レオン王子の姿を盗撮する。


 ゲンナイ先生は未だに剣術部の中で剣を振るっていた。

 パットさんやライアン、パーズと共に研鑽を積み、まだまだ現役でも通用しそうな剣捌きを見せている。


 リーファさんはマルティさんと別れ、騎士女子寮に向っていた。上級生なのに最後まで乗バートン部の練習には参加しなくてもよかったんだろうか。


 サキア嬢の方はスージアと図書室の暗所で二人っきりになり口づけを……、しようとして、スージアに止められている。

 そこまではさせられないか。でも普通に口づけしちゃってもよかった気がするけれど……。

 と言うか、口づけしようとするほど、スージアが好きなのか?


 レオン王子は第三闘技場で乗バートンを練習していた。

 三年生や二年生が部活から帰る中、自主練しているようだ。

 近くにローティア嬢もいる。監督の先生であるカーレット先生も一緒だ。一年生の居残り練習かな?


 私が観察している間、特に不可解な点はない。まあ、キスしようとしているサキア嬢が何を考えているのか気になるところだが、本人に聴いたら、盗撮しているのが丸わかりになってしまうので出来ない。


「はぁー、がんばって、耐えるしかないか……」


 私は忍耐力は結構ある方なので、毎日欠かさずできる限り覗いた。

 皆の生活習慣が何となくつかめてくる。


 ゲンナイ先生は午前五時に目を覚まし、体を動かして仕事の準備、昼に仕事の休憩がてら大食いしてそのまま夕方の剣術部の監督までして午後八時に騎士寮に戻る。

 その場で、大量に食事して仕事を部屋で済ませて午後一〇時頃に眠っていた。

 健康的な生活と、他の生徒が先生はサボっているじゃんといえないくらいの訓練量、力量は磨かれ続けている。


 リーファさんは午後六時に目を覚まし、一時間ほどでマルティさんと食べる料理を作り、半日で勉強と生徒会の仕事、開いている時間に乗バートンの練習。

 昼はマルティさんと食事をとり、イチャイチャして元気をチャージ。

 午後は午前中よりもバリバリ頑張り、乗バートンの練習後、マルティさんがいるバートン術場に移動し共に練習。

 そのまま、騎士女子寮に戻って夕食後お風呂に入り勉強して午後一一時頃に眠っていた。

 こちらも、頑張りすぎているんじゃないかと言うくらい一日の内容が濃かった。

 さすが生徒会長。時間の使い方が上手くて、無駄な時間が一切ない。まあ、最後の時間は一人部屋なのでマルティさんの姿を思って、体を労わっていたけれど……。まあ、お年頃の女の子だから、仕方ないか。


 レオン王子も、操られていると思えないほどしっかりとした生活習慣だった。

 午前五時に起き上がり、すぐに着替えてランニング、素振り、魔法の練習、勉強を三時間の間に詰め込んでいる。

 午前八時から食事をとり、夕方まで私と同じように講義を受け、夕方から乗バートンの練習。

 騎士男子寮に戻り、食事をとってお風呂に入り軽い勉強の後午後九時に眠っていた。

 前の八日間と今回の五日間を調べたがほとんど変わっていないように思える。


 何者かが外部から侵入している可能性は低い。

 つまり、この四名以外に何か情報を運んできているものがいるということだろうか。


 ☆☆☆☆


 学園に入学して二度目の休みがやって来た。四月二二日。

 今日はスージアと会う約束していた。彼の得た情報と私の情報を照らし合わせるのだ。

 ただ、私が持っている情報というのは、レオン王子とメロアが王族の誰かに操られている可能性があるという話と、リーファさんとマルティさんがラブラブすぎるということくらい……。


 午前五時に目を覚まし、いつもと同じようにフルーファの散歩に出かけて剣術の鍛錬と無詠唱魔法の鍛錬を欠かさない。

 勉強も五日分の総復習。やっと朝食に行ける。


 椅子に座りながら後方を見れば、呑気に涎を垂らして眠りこくっているミーナの姿がありありとわかる。

 あまりにも可愛いので、抱きしめたい気持ちがあるが、寝ぼけて本気で抱き着かれたら体がグシャグシャになるので遠慮している。

 以前、フルーファが寝ぼけて抱きしめられながら拉げていたので、怖くて近寄れない。

 にしても、良い情報はすぐには見つからず、王城からレオン王子とメロアに命令しているものが誰なのかわかっていない。

 四六時中王城の中にいるっぽい。加えて、毎度見られていると思うと気が気じゃないし……。

 スキルとスキルなら敵は二名。スキルと魔法なら一名。


 千里眼とかいうどこでも見渡せるみたいなスキルがあるなら、見られていると仮定してアンテナの方が魔法? という可能性もある。

 考えながら食堂に向かい、料理が乗ったお盆を持ちながらテーブルに座る。

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