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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~
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思っていたよりも

 私が思っている以上にフェニル先生はバカだったらしく、彼女は地面に直撃した。

 風の影響で落下中にメロアとレオン王子に当たらなかったのが不幸中の幸い。ただ、フェニル先生が地面に真正面から衝突した衝撃で、死んでいるかもしれない。だが少しすると……。


「いちちちち、なんでい、地面からの熱烈なキッス。さすがに砂っぽいな……」


 フェニル先生は体を燃やし、傷を一瞬で治していた。やはり、Sランク冒険者は本物。高層ビルから地面に落ちて即死しせず、即座に超回復して無傷にまで持っていくなど、もう人間をやめているよ。


「ん~、メロア? レオン王子? ここはどこだ。私はウルフィリアギルドで酒を……っ!」


 フェニル先生の姿を見た、メロアとレオン王子は即座に動きだし、フェニル先生の首を狙っていた。

 両者の動きはさきほどの人形とは全く違い、ベテランの動き。

 無駄が全くなく、命を狙いに行っているだけの攻撃だ。あまりに素早いので酔っぱらっているフェニル先生じゃ躱しきれないかも。


「うーん、二人共、私に酒をもってこ~いっ!」


 フェニル先生は両側から突き出されている鋭い突き攻撃を紙一重で躱し、両者の顔を掴む。アイアンナックル状態で、両者共に地面に押し付けられた。

 そのまま、体を燃やしにかかる。殺しにかかっている? いや、さすがに燃やすのは、そう思ったのだが。


「う、うん……。え、なにこれ。ちょ、え、は? きゃぁあああああああっ!」

「う、うえっ! な、なんで、半裸! はぇいぃあえいえっ!


 メロアとレオン王子は炎から解放された瞬間に元に戻った。

 どうやら、フェニル先生が発生させる炎は相手のスキルや魔法を打ち消し、傷まで治してしまうらしい。なに、そのチート。

 あんな酔っ払い先生が持っていいスキルじゃない。いや、フェニル先生の力と言うか、フェニクスの力か。さすがにチート過ぎるけど、それにはそれなりの代償があり。


「うげぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇええええ…………」


 フェニル先生はドラグニティ魔法学園の草原で盛大に吐いていた。

 もう、お酒と魔力枯渇症のダブルパンチで、胃がひっくり返るんじゃないかと思うほど大量にキラキラを吐き出している。

 やはり、自分の体を直した時点で結構な魔力を消費したと思われる。そこから二人の何かしらの魔法、またはスキルを燃やした影響で魔力が少なくなってしまったようだ。

 フェニクスの能力は紛れもなくチートだが、それなりの大量の魔力を消費するらしい。私がフェニクスと組んだら、どうやっても死なない化け物に成り代わってしまうだろう。


「な、なんで、私、ここにいるの。しかも、なんで、脱がされて。レオン、あんた、私を犯そうと……」

「し、してない、してない! するわけないでしょ! なんで私がメロアを犯す必要があるんだ! 君に全く興味ないってのに!」


 メロアとレオン王子は半裸状態で、いがみ合っていた。

 どうも、レオン王子のメロアに対する認識も以前と違う。

 もしかするとあれが素なのかもしれない。じゃあ、つまりレオン王子は入学当初から何かしら攻撃を受けていた……。

 ローティアさんの思っていた彼と違ったのは初めからだったのか。メロアがいなくなって露骨におかしくなってしまった可能性もあり得る。


「め、メロア、み、水……」

「私、水属性魔法が苦手なの。無理! 今日も飲み過ぎて、そんなふうになっちゃったんでしょ。反省しなさい!」

「うえぇ。ひ、酷い……。うぐぅ、ぐえぇぇぇっぇぇえ……」


 フェニル先生にSランク冒険者の貫禄はなくなっており、飲んだくれの危ないお姉さんになってしまった。

 でも、フェニル先生なら、奇行に走っても酔っぱらっているし、彼女ならやりかねないと敵も思ってくれるかもしれない。

 私の行動をフェニル先生が全て身代わりになってくれている状況に感謝しかないが、申し訳ないとおも思っているので、彼女の恋もまた、成就できるように手を回そう。

 結婚できれば、今までの行為も全て水に流してもらえるかもしれない。


 私は両手を握り、フェニル先生への感謝の気持ちを送る。届かないと思うが、それでも問題ない。感謝の気持ちが大切なのだ。


「キララ様、バートン車が動き出し、王城の中に入っていきます」


 私が祈っているとベスパが連絡してきた。どうも、正教会かドリミア教会と思っていたバートン車は王城に入れるバートン車だということが判明した。

 つまり王城の中にいる何者かが、メロアとレオン王子をくっ付けようと策略したわけだ。

 既成事実さえ作ってしまえば、学生の内からでも婚約ではなく、結婚の流れになるだろう。

 さすがに一二歳で既成事実を作れと言われても素面の状態では難しい。

 だから、遠隔で操っていたのか。でも、人間に対してあのようなことができるということは、魔物が相手でも使用できる可能性が高い。

 プテダクティルを操っていたのも二人を操っていたものと同一人物の可能性が出て来た。


 バートン車は結界が張られており、内部でスキルや魔法を使っても外部から探知出来なかった。

 王都の中に敵はいないと思っていたが、結界内にいる者なら話は別。でも、結界を張るのは技術面から考えて、もの凄い高度のはずだ。

 私でも、結界は張れない。ブラットディアとビー達を使って疑似結界は作れるが本当に他者の攻撃を完全に妨害する結界は張れない。

 ライトなら出来るかもしれないが、この場に彼はいない。


 ドラグニティ魔法学園のキースさんやフリジア魔術学園のフリジアさんも結界を張れるだろう。

 二人が敵ではないため、他にそのような高度な技術を持った者がいるとすれば、王城と正教会くらい。

 王城の中を知っているわけじゃないので、どんな猛者がいるのだろうか。

 アレス王子なら結界が張れるだろうか……。いや、彼は剣術の方が得意。魔法も使えるだろうが、結界が使えるほどの魔法使いならもっと魔法を使うはず。

 メロアとレオン王子がくっ付いて喜ぶものがだれか。それが問題を解決する糸口のはず。でも、二人がくっ付いて利点があるのだろうか。

 八男の王子と末っ子の大貴族の令嬢。たして大きな権力が生れると思えない。

 でも、フレイズ家の者達は誰も王家と結婚していないと考えたら、二人の繋がりを欲するのは、王家とフレイズ家の人間。どちらかが何かしら関与しているのか。


「うぅーん、頭の中が、こんがらがる……」


 私は倒れ込むようにベッドに寝転がる。フルーファを手招きし、むぎゅっと抱き着いて頭の痛みをモフモフで癒してもらった。

 ベスパからの連絡はなく、結界を張れるほどの魔法使い相手に雑魚のビー達は手出しできない。

 手出しすれば、その時点で気づかれる。だから、何もできず見張っていてもらうだけ。

 私は防犯カメラを放置して、眠りにつく。

 眠りについた時刻は午後一〇時頃だったと思われる。もう、いい時間だ。


 朝起きると、午前七時。寝る時間がいつもより遅くなってしまったので、起きた時間が少しずれてしまった。

 出来るだけ、起きる時間は統一しておいた方がいい。


「しゅぴぃ~」


 ミーナは私より早く眠っていたはずなのに、未だに眠りこくっている。寝る子は育つというので、きっと大きくなるだろう。どこがとは言わないが。


 私は今日の授業の準備を終え、制服に着替える。軽く勉強して八時過ぎに食堂に向かった。

 朝から大量の料理をお腹の中に入れているメロアは昨日と変わっただろうか。

 どうも不機嫌そうな表情で、大量のステーキ肉を噛みちぎりながら飲み込んでいる。


「メロアさん、おはよう。えっと、機嫌悪い?」

「ええ、最悪。もう、本当に最悪。なんで、私の体があんな男に。んんっ、な、何でもない。はぁ、ニクスお兄ちゃんに叫び散らかして逃げるとか……、なにを考えてたんだ」


 メロアはニクスさんに怒りを覚えていなかった。どうやら、普通のメロアに戻っている。フェニル先生が炎で燃やしてくれたおかげだろう。

 私が触ってもメロアの体の中に他者の魔力らしき存在がなかったのに、フェニル先生の炎で一体何を燃やしたのだろうか。

 もしかすると、体の中ではなく、外部から操る系なのかな。それとも、催眠系。


「はぁー、眠たい、眠たい……」


 フェニル先生が大きなあくびをしながら、ぼっさぼさの赤い髪をそのままの状態で、食堂にやって来た。

 とりあえずエールと言わんばかりにジョッキを受け取る。さすがにエールではなく、中身は水だった。

 一気飲みしてお腹に水を落としこみ、体の中のアルコール濃度を下げようとしている。

 普通にアルコールを炎で燃やせばいいのでは? 

 昨晩も体を燃やしたのなら、アルコールも飛んでいるんじゃ。

 頭の破壊された細胞まで治せないのかな。あまりに、色々なことが起こりすぎて全てを理解できていないので、朝からもやもやが胸の内側で渦巻いていた。

 一番はやはり、メロアとレオン王子がベロチュウを……。って、あの場面を見ていたのは私だけの可能性が高い。

 メロアとレオン王子は全く覚えてない様子だった。上裸の姿を見られただけでも怒っていたのに、実はなかなか卑猥なキッスしていたという事実は私が墓の中に持って行くべきだろう。


 私も食堂で一人分の食事をとる。肉とパン、スープ、野菜、どことなくいつもと一緒と言ったらあれだが、味気のある料理が食べられるだけありがたい。

 しっかりと感謝しする。ローティア嬢から教わった基本中の基本だ。

 そんなローティア嬢が朝のこの場にいないことに気づく。彼女はどこに行ったのだろう。いつもなら、この時間帯に食事をとっているはず。大貴族中の大貴族の彼女が生活習慣を変えるとは考えにくい。何かあったのか……。

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いや、学園長に報告しなくていいの…?
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