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時間と時計

「よし…、後でデイジーちゃんたちにもパンをお裾分けしてあげよう」


私は紙袋がいっぱいになるまでパンを詰め、白パンを1つ口に咥えながらパン屋さんを出た。


「えっと…今何時くらいかな…。ここからじゃ時計台が見えないよ…」


この世界に時計は無い。


いや…、有るには有る。


しかし…市民が買えるような代物では無い。


その為、時間を知るすべは限られているのだ。


腕時計や立て掛ける時計などは街の高級そうな店を見ると売っている。


だが地球の時計とは違い、魔力で動く代物らしく高すぎて市民には手が出せない。


街の皆はどうやって時間を確認しているかというと、街の中心付近にある大きな時計台を見て時間を確認している。


ロンドンにあるビッグ・ベンのような大きな時計台を見て、日々生活しているらしい。


私達の村では教会の神父様が午前7時の鐘と正午の鐘、夕方5時の鐘を鳴らしてくれている。


時計が無いと元日本人として、日々の生活を送るのは中々苦しい。


時間厳守を徹底され続けた結果、どうやら私は相当この世界で時間に厳しい性格と認識されてしまった。


「時間を見て行動するのは、当たり前だと思うんだけどな…。これは地球人の考え方なのか…、それとも私の生きていた時代が特殊だったのか…」


私はデイジーちゃんたちを迎えに料理屋へ向かっていた。


「ここからなら、時計台が見える…。うわぁ…もうこんな時間か…急がないと…」


現在の時刻は時計台を見ると8時。


デイジーちゃんを送り届けた時刻は7時くらいだったので、そろそろ食べ終えたころだろう。


「キララさ~ん! こっちです」


案の定、デイジーちゃんたちは料理屋の外で待っていた。


「ごめんね、待った?」


「いえ、今ちょうど出てきたところです! ホントにおいしかったです、ここのお店。また絶対にこようと思います!」


デイジーちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねながら幸せそうな顔をしている。


「私も…こんなおいしい料理初めて食べました…しかもデイジーが払ってくれるなんて…。もう、一生忘れません」


デイジーちゃんのお母さんは今にも泣きだしてしまいそうだ…。


「美味しかった~!」


ルイ君もデイジーちゃんと同じくとても幸せそうだ…。やはり姉弟…幸せそうにしている顔がとても似ていた…。


――どうやら相当気に入ってくれたみたいだね…。私にとっては薄味だったけど、この世界の人達には薄味で十分らしい…。それに、美味しい料理は人生を豊かにしてくれるからね。


「それじゃあ、ネ―ド村まで送ります。少し遅くなってしまいますが、安全に配慮して送り届けます」


「それじゃあ…お願いしようかしら…」


「はい! お任せください」


3人を荷台に乗せ、ネ―ド村まで続く街の出口に私達は向かっていた。


――それにしても…この街、今更気づいたけど夜なのに明るいな…。あの街灯、どうやって光っているんだろうか。火…じゃないよね…電気でもなさそうだし。


「ベスパ、あの街灯どうやって光っているのか、見てきてくれる?」


「了解です!」


ベスパは光りにおびき寄せられる虫のように、街灯へ飛んで行く。


――あ…ベスパも虫なんだった…。


ベスパは街灯を八周し観察を終えたのか、私の方へ戻ってきた。


「キララ様、街灯の中には石のような塊があり、その塊が光ってました」


「光る石…魔石ってやつかな…」


――魔石とは簡単に言うとエネルギーの塊みたいな物質らしい…。魔物の体内や地下深くに有るらしく、高値で取引されるんだとか。すごく小さな魔石は私たち庶民でも簡単に買えるくらいの値段、手のひらサイズになってくると金額が高騰してくる。この世界で一番大きな魔石がドラゴンから得られた魔石らしく…大きさは一軒家ほどの大きさらしい。それぐらい大きいと国が買えるんだとか…。いったい誰が持ってるんでしょうね、そんな大きな魔石…。魔石は色々な用途に使え、価値が落ちにくく、魔石だけで貴族にのし上がった平民もいるらしい。言うなれば、地球の金や石油、石炭のような代物だ。そう考えるとちょっと夢があるよね。昔…妄想したよな…、もし私が石油を掘り当てたら…どうしようとか。石油王になったら何しようとか。誰しも一度は考えた夢物語だろう…。


「ありがとうベスパ、気になってたからスッキリしたよ」


「それは何よりです…て! キララ様! 前…前を見てください!」


「え…ちょま!!」


私の目の前には、高速でかっ飛ばすバートン車がいた。


「オラァ! オラァ! オラァァア! 引かれたくなかったら、そこをどけや!!!」


その少年? 青年? は私達の方へ猛スピードで走ってくる。


「だ、誰か! そのバートン車を止めてくれ!! 店の商品が盗まれたんじゃ!」


バートン車の奥から大声で走ってくるお爺さん、しかし全く追いつけるはずもなく、へとへとだ。


――荷台にはデイジーちゃんたちが乗ってるし…、あまり危ない行動は出来ないな。でも…悪い人を見過ごすわけにもいかないし…。


「ウシ君…あのバートンに勝てる?」


「逆に…あのチビバートンに俺が負ける? 俺はあのレクーに力で勝てるんだぜ」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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