3-13 10月のバラ園
10月最初の日 レオナは久しぶりにガーデンへ行った。
”ローズガーデンでは10月ころからが秋の薔薇のシーズンです ぜひ 見に来てください”
自由研究の最後に書いた ボランティアさんの言葉を思い出すが 残念ながらまだバラは殆ど咲いていなかった。
「残念…」
あまり残念そうでもなく呟くレオナの目の端に 黒い物が転がって来る! 深淵? っと ポケットに手をやりながら近づいて確認すると 園芸ポットだった。
それを拾い上げたレオナは思い出し笑いをする。
前の時は理央が拾い上げたね。
ソラと手をつなぐトキ可愛かったね 二人とも。
誰も居ないテラスを通り カフェで買うのは温かいミルクティ
テラスのいつもの席へ座ったら いつものメンバーが集まる。
ナンテハズ ナイ
テラスで 一人サンドイッチを広げる
母親に頼んで作ってもらったいつものサンドイッチ
ユキとの会話がよみがえり、ユキの姿が再現される。
「どうぞお召し上がりください。僕はもう済ませてきちゃったからね」
「師匠が召し上がらないのに かたじけない」
師匠はいつも「僕は済ませてきた」って言ってたなあ
「おねーさんのサンドイッチ 綺麗ですね ここで売ってるんですか?」
前を通りかかった少年に突然 尋ねられビクリと肩が上がる。
ユキの事を考えていて人が来る事に気が付かなかった。
「あ これは違います」
顏をあげると どこかで見たことがあるような顔だ。
薄いグレンチェックのシャツは錬心の中等部のシャツだ 学校で会った事がある子だろうか?
視覚情報と記憶力には自信があるはずだが 学校では見覚えのない顏だ…
「驚かせてスイマセン ありがとうございました」
軽く頭を下げて 少年はカフェに入って行った。
少年を見送り バラ園に目を戻すと ひょろりとしたメガネをかけた人物が目に入る
理央だ!
「レオナちゃん はろー お久しぶり」
理央はレオナが居る事に驚く素振りも無く レオナに手を振りカフェに入って行く 入れ替わりに先ほどの少年と その母親らしい女性が出てきた。
レオナと目が合った少年は 軽く目礼して去って行った。
なんかソラっぽい ソラが真面目になったらあんな感じになりそうだ
カップを持った理央が レオナの隣に座る
「お サンドイッチ美味しそうじゃん」
「一つ いかがですか?」
「いいの? イタダキマース」
「あ!ここで 誰かとサンドイッチ食べるの初めてです。」
なんで?という顔を一瞬した理央はすぐに納得したようで頷いた
ありがとうございました コチラはさくらが盛です




