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3-6 テラスでユキを待つ

二話目です


テラスのいつもの席にレオナは座る 誰もいないのは想定通り トキやソラが居ないからか 日差しの入らないこの場所でも暑い


クーラーが効いているカフェの中に入ろうかな?レオナはリングノートを取り出して 眺める

最初のページには 大切な3つの約束 それから レオナの下手な絵とユキと二人で書いた 猫みたいな深淵?

ソラのページには 理央の連絡先が書いてあって…


「あ!レオナちゃん来てたんだね」

理央の声がして顏をあげる

「ユキは?」

「まだ 来てない のか 帰っちゃったんでしょうか?」


「ふーん 暑いからさぼりかな?」


理央の目が病院棟の方に向けられる


「気になりますか?ソラの事?」

「うん 本当はどんな名前だったのかな?」

「ナースステーションに居た人 多分 お母さんですよね?」

「名前 呼んでたじゃん? ちゃんと聞いておけばよかった」


「権助 とか与太郎 とかソラらしくない名前だったり?」

「よ よたろう?」

二人でクスクス笑う


「理央さんが 最初に与太郎ってつけたら ソラ怒ってどっか行っちゃっいそうですね」

「そしたら 意外とユキがフォローしてくれたかもよ?」

想像して また二人で笑う


「理央さん ソラに会いたいですか?」

「ちょっとは会いたいけどー ソラってここで会ったときに名前まで忘れてたでしょ? 今は俺たちのこと 夢だったかなってくらいにしか覚えてないんじゃない?」


「今度はちゃんと生きてほしいですね ソラも深淵も」

「夢のお告げ くらいには覚えてて欲しいな ソラ素直なヤツだったでしょ?」

「そうですね」


「ねえ 理央さん 深淵って心あるんでしょうか? ソラはパーツっていいましたよね? でも 私の指って 心を持ってるような気はしないんですよね?」



理央がポケットから碁石を2つ出して テーブルに置いて聞いた

「これって 生き物か?」


レオナが首を振る

「じゃあさ」

 と 石を二つ くっつけるように並べて置く


「お前達 仲良しだね」

と話しかけて


「なんか 楽しそうに見えてこない?」

と聞いてきた


そういわれると そんな気がしてきて ウンと頷く。


「いいんじゃん? 分からないことってあっても?

いつか分るかもしれないじゃん?」


理央らしい考え方だ


「俺ら単なる人間だもん 先の事なんてわかんないし 分からないこと考えて こうなんじゃね?って考えて で あちゃ違った?って思ったらそこから軌道修正すればいいじゃんね?

 ♪けーせらーせらー 人生は オレ次第 ♪」


突然 自作の歌を歌いだした理央に いつかのシャボン玉の中でキョトンとしていた理央を重ねて レオナは笑い出した。


笑いながら寂しさを覚える、あの時はユキも一緒に笑ったのにと


「あー 寂しいよお~ 師匠~ 早く来てくださいよお」

「え?いきなり?ユキを呼ぶの?ここに俺がいるのに?俺だけじゃダメ?」

「理央さんだけですか? いいか? トキもソラも理央さん大好きでしたもんね」

「よし レオナちゃんイイコだね トキとソラの話聞かせて」


その日は4時の鐘まで トキとソラの話を理央に語って それを元に理央が描いた二人の似顔絵は良くかけていて 二人にとても似ていた。

けれど


 とうとうユキは姿を現さなかった

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