3-3 自由研究完成
夏休みもあとわずか
毎日の様にガーデンに来て 少なくとも午前中は机に向かっていたレオナの宿題は、いつになく順調である
自由研究も ガーデンに来る口実として使った以上 真面目なレオナは真面目に取り組み 図書室の資料と ボランティアの方のご協力により 立派に仕上がっている。
タイトルはトキのアイディア通り”四つ葉ローズガーデン・夏の薔薇”
ボランティアのおばさんともすっかり仲良しになった。
だが 「自閉症疑い」のレオナは 8月でスクールを”終了”する事になっている。
これまでの様に頻繁にガーデンに来ることも無くなるだろう。
ガーデンに来なくなったら ユキとはどこで会えばいいのだろうか?
レオナはユキの家はおろか フルネームさえ把握していない
今更 どうやって聞いたらいいのか? ”年賀状出したいので~”というには早すぎるかなあ っとレオナが考えていると 理央が声をかけてきた
「レオナちゃん 宿題は終わったの?」
「完璧です えへん」
と 胸を張る
「素晴らしい で 休み明けテストの勉強もオニイサン達が見て差し上げましょうか?」
「本当ですか?!」
レオナが食いつくのは テスト勉強がしたいわけでは勿論ない。また二人に会う口実がほしいだけだ
高校生の二人に レオナが会いたいというのは レオナの我儘だし 迷惑だろう。
だから あと数日 この夏休みだけでいい、二人に会いたい
「勿論! 中学の勉強なんてちょうど基礎固め中の基礎固めにちょうどいいじゃん? な ユキ?」
「理央は強引だなあ レオナちゃんの都合も考えろよ」
ユキが呆れたように言う
「いや 見えなかった俺でさえ トキ達が居なくなって寂しいんだから 見えてたお前らはもっと寂しいでしょ?それを和らげてあげようっていう 俺の優しさじゃん わあ 俺って優しいなあ」
うんうん と自分で納得する理央
ただし この嬉しい申し出を受けたことをレオナは ほんのちょっぴりだけ後悔することになる
ユキの教え方でさえ厳しいと思っていたのに 理央は それ以上にとスパルタでした
「レオナちゃん、大丈夫? カフェで何かご馳走しようか?」
”頭が痛い これは頭の筋肉痛だ 頭って筋肉あるんだ”っと机に突っ伏したレオナにユキが声をかけた。
図書室を出て テラスを通りかかったところでレオナは思い切ってユキに頼んだ
「師匠 お願いがあります 師匠の世界 見たいです あの輝くシャボン玉とか … あの世界を見たら、頑張れます」
「怖いモノもみちゃうかもしれないよ?」
「多分 大丈夫です ここには気配感じません。間違えそうなものも御座いません」
きっぱりと言った。
にもかかわらずレオナはやっぱり取り消そうかと思った。
我儘を言っただろうか? 師匠に嫌われたくない




